2010年代後半より多くの作品をコンスタントに発表し続け、今年もすでに2タイトルのシングルを発表している神奈川出身のコンポーザー / シンガー / ピアニスト・Asami Tono(遠野朝海)が、EPサイズではフル・アルバム『Birds』からの抜粋としてリリースされた昨年の『Wing』以来となる新作『Paints』を5月9日に門脇綱生 + 鴉鷺 / 黑田依直(Sleep like a pillow)主宰レーベル「Siren for Charlotte」からリリース。BandcampおよびApple Music、Spotifyでの配信が開始されています。
同作は、ピアノでの弾き語りを中心に創作する遠野が、レーベルのコンセプトであるポストシューゲイズにフォーカスした作品。“色”をテーマにレイヤードしたという全6曲が収められています。カヴァー・アートは、ボカロ作品のアートワークも多く手掛けているイラストレーター・まつりかまつこによるもの。
Asami Tono – Paints
(SIREN : 0019)5/9にAsami Tono氏の最新EPを発表します。
曇りがちな朝の気配から静かに現れ、記憶の縁をなぞりながら、名もなき風景へと音は静かに溶ける。沈黙の奥からきこえる、祈りのかたちのひとひら。
この美しい達成を是非ご体験ください。https://t.co/GFT4sZdguo pic.twitter.com/oUrfA5vm80
— (@eneiongaku) May 2, 2025
普段、ピアノと歌の弾き語りなどを多く制作しているため、Siren for Charlotteさんが掲げている「遠泳音楽」、ポストシューゲイズをつくることはわたしにとって大きな挑戦でした。
はじめにイメージしたのは空、海、森など色彩の濃いモチーフだったため、まっさらなカンバスに絵の具を塗っていくように音を重ねていけたらと考えました。澄んだ青、霧のように漂う紫、みずみずしい緑など、色の中を泳ぐような心持ちで音を探し重ねていった楽曲たちです。
――Asami Tono
ピアノと言葉が静かに寄り添い、夢の縁で音楽を紡ぐ気鋭作家。
神奈川の、名もなき朝の湿度のような気配のなかから、Asami Tonoの小品がひとひらの影のように立ち現れる。
それは音のかたちをした余白。
どこかで途切れた記憶の縁をなぞるように、ポスト・クラシカルやエレクトロニカ、ミニマリズムの残響を仄かに連れながら、名指しえぬ領分へと音は溶けていく。
海、空、森。
ひとはそれらに還り、また始まりを迎える。
その気配を綴るように、この作品は色と色のあわいに生まれる揺らぎを、何かに定めることなく描いていくのである。境界はおぼつかず、輪郭は呼吸のたびに失われ、やがて聴く者のなかに、それぞれの静かな風景として息づいている。
声は語るものではなく、気配としてそこに在る。
まなざしのように、あるいは遠い記憶の層に沈んだ微光のように。
望郷の影、呼びかけを失った祈り、ひそやかな別れの手つき。それらは音として名を持たず、森の奥深く、ふたたび芽吹く命の傍らに、ささやかな祝福として静かに置かれている。
沈黙のうちに響くものだけが、ほんとうに届くのかもしれない。
――Siren for Charlotte
■ 2025年5月9日(金)発売
Asami Tono
『Paints』
SIREN : 0019
Apple Music | Bandcamp | Spotify
[収録曲]
01. Azure
02. Navy
03. Iris
04. Viridian
05. Rainbow
06. Beige
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