Column「アグネスの5次元パーラー」


文・撮影 | アグネスパーラー

| 第12回: ナシのジュース

 ここ最近ずっと考えていることがあります。よく話題になる、食べ物で何がいちばん好きか問題、特にいちばん好きな果物なんてもう話題にしなくていいかもしれないくらい迷宮入り案件なんじゃないかな、ということ。季節の食材がいちばんおいしいしそれを使って作った料理はなんでもおいしいでしょ。というのはいちばん好きな果物の話になったときに、今まではナシと答えていたけど、よく考えるとモモも好きだしブドウだってミカンだってビワだって、サクランボ、アメリカンチェリー、メロン、スイカ、イチゴ、リンゴ、キウイ、カキ……。初めてパッションフルーツを食べた時はこれがいちばん好きかもしれないと心揺らいだぐらいおいしかったし、マンゴー、グレープフルーツ、パイナップル、イチジク……ぜんぶおいしい。どうしよう。やっぱり迷宮入り、でもあれもこれも、と考える時間は楽しくて豊かではある。よだれ案件。
 
 むしろ嫌いだったり苦手な食べ物の話の方が盛り上がりそう。私の弟は鰻を食べた後にお腹が痛くなって以来、鰻嫌いになってしまいました。私も小学生のときにナシがおいしすぎて一気に5玉食べたらお腹が痛くなっちゃったことがあったけど、ナシを嫌いにはならなかった。夢中になって剥いて食べて、もっと食べたいってまた剥いて食べて、あのナシは本当においしかったな。さすがに食べ過ぎだけど、嫌いになるどころかナシが大好きになった良い思い出。

 嫌いとまではいかないけど、おいしいと思えなくて食べない食べ物がいくつかあって、その中でも長年上位に君臨しているのがちくわぶ。西日本出身の人には多いかもしれない。だいたいおでんって好きな具材を選べるからそもそも眼中にないけど、先日入った中華屋さんでサービスで出されたおでんの中にちくわぶが。久しぶりでした。「お、ちくわぶ」と一瞬怯みつつ物は試し、出された物は基本食べる精神で口にしたら、あれ、おいしいかも。いつかおいしいと思える日が来るのかな、と思っていたその瞬間が突然やって来てびっくり。いつもひとくち食べてやっぱり無理だと思っていたのに、初めて全部ひとりで食べることができた。人生の楽しみ、増えた。弟もなにかのきっかけで鰻が食べられるようになるかもしれないな。

 ナシはそのまま食べるのがいちばんおいしいと思うけど、少し熟しすぎたときなどにはジュースにしてみるといいかもしれません。さっぱり、疲労回復。

[材料]
| ナシ 1個
| 氷 3~4個
| 水 大さじ1

[手順]
01 | 冷蔵庫でしっかり冷やしたナシをひとくちサイズに切る。
02 | ジューサーで氷を攪拌して細かくなったところへナシと水を入れてさらに攪拌する。もし攪拌しにくい場合は水を追加する。

※ ナシ本来の甘味はさっぱりとしたおいしさ。少し味見をして甘みが足りない場合は蜂蜜を加える。もしくは材料の水をカルピスに変更して作るのもおすすめ。

アグネスパーラー agnesparlour

アグネスの5次元パーラー | illustration: あお木かな
illustration あお木かな
2010年よりオリジナルのシロップなどを使ってドリンクをメインにしたケータリングの活動を開始。ライヴ、展示、パーティ、蚤の市、商店街のお祭りなどに出店。執筆活動として鳥取のベーグル店「森の生活者」発行のジン『森と生活者』に寄稿中。

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