アクセサリー・ブランド「High-Me TOKYO」「KAE ACRYLIC」や1点物のヘッドドレス・ブランド「WILD FANCY」を手がけ、アーティストやブランドとのコラボレーション、オリジナル・パーツを使用したアクセサリー作りのワークショップの開催でも知られるアクリル・アーティストKAEが、ソロ・エキシビション「極楽」を東京・新御徒町 mograg galleryにて2月5日(土)から20日(日)まで開催。
同地では2018年に開催した「YOAKE NO ATTACK」以来約4年ぶりの開催となる同展では、“極楽”をテーマにしたアクリル作品を展示販売。会期中にはワークショップの実施も予定されています。
湯けむりのように、合成樹脂にぼんやりと、透けて、浮かぶ、アクリルの極楽
ぶくぶくとあつーいお風呂に浸かったり
サウナでタオルを覆いながらトリップしたり
好きな人たちとお酒を嗜んだり
何気ない日常を過ごす中で
今生きているこの世界とそうでない世界が
どんどん融け合って曖昧になっているような気もするし
見えない不安も数えきれないくらいにある
けれど今日もこの場所で生きていく
「自分の機嫌は自分でとる」をモットーに過ごしている中
ふと脳裏に浮かんだ言葉は“極楽”でした
そこの貴方も、いつもお疲れ様です
息抜きがてら私なりの極楽世界をのぞいてみてください
――KAE
KAEのハイミーなTOKYO ―個展「極楽」に寄せて―
KAEがアクリルと出会ったのは、いまから15年ぐらい前。代官山のセレクトショップでみつけたアクリル製のインポートアクセサリーが始まりだった。服飾の専門学校に通って洋服もおしゃれも大好きだったけど、その初めて身につけたアクリルという素材は、大きなシルエットの主張と裏腹にすごく軽くて、なんだかつけているだけで楽しくなって、どんなビジューなアクセサリーより自分らしい気がした。
自分でも「つけるだけで気分がアガるもの」を作りたいと思ったKAEは、まず市販のアクリルパーツを組み合わせてアクセサリーを作ってみる。でもやっぱり全然物足りなくて、それで自力で工場を探して交渉してオリジナルパーツを作れるようにまでにちょうど1年。ブランド名も初期衝動のまま、身につけたらゴキゲンになってほしいと「High-Me TOKYO 」と名付けた。やりたいことは絶対やらないと気がすまないKAEの前向きな行動力がアクリルとKAEの距離をどんどん縮めていった。
それから約10年、途中でテキスタイルブランドを作ったりヘッドアクセを作ったりもしてきたけど、2018年のmograg galleryでの個展『YOAKE NO ATTACK』をきっかけに、アクリルというフレキシブルな素材だからこそ作りたいものを自由に生み出せると再認識し、アクセサリー以外の大きなアート作品にも取り組むようになった。
わたしがKAEと初めて会ったのはちょうどそのころ。やたらキュートなひとだなと思っていたら、実はラブホテルとか秘宝館とか同じものが大好きなことが判明して、だったら一緒になにか作ろうよってそういうディープなスポットを落とし込んだコラボパーツを作るようになった。最初から細かい指示はいっさいなし、すべての素材をKAEに渡して自由にデザインしてもらった。そしたらスケベ椅子もペペローションも秘宝館の看板も、いつも持ち歩きたくなるポップでアーバンなデザインに姿を変えた。耳にスケベ椅子のピアスをつけてゴキゲンになるなんて、そんなこと、ある(笑)?
でもKAEが切り取る世界は、ただポップでかわいいだけじゃない。去年、わたしとKAEは一緒にいくつかの旅をした。その旅をモチーフにしたコラージュ作品を見ると、美しい自然と抽象的でストイックなモチーフが幾重にも組み合わさっていて、KAEが見ている世界とわたしが肉眼で見ていた世界はだいぶ違うんだなと思った。
日常の中で起こる居心地の良さや違和感を誰よりも敏感に感じ取ってしまうがために、その一瞬をより明確に再表現したいということがKAEのすべての原動力のような気がわたしはする。そのためにアクリルは必要不可欠な素材だったんだろう。
この2年で世界は大きく変わって、気がついたら見えないものになんだか疲れてしまう生活が続いた。そんな中でKAEは自宅で焼き鳥をしてみたりソロキャンプにはまってみたりサウナに通うようになったり、これまでと違うひとりの時間を作り上げてきた。そしてそこで感じ取った、まるで温泉につかっているようなゆるゆるとした幸福感を「極楽」と名付け、それをテーマに今回の個展の開催が決まった。新作の立体作品も多く、「アクセサリーを身につけるのと同じように、空間の中にあることで誰かの生活がワクワクしてくれたら嬉しい」とKAEは話してくれた。
アクリルと聞くとサスティナブルな世界に逆行していると思われるかもしれないけど、わたしはこんなに身軽で自由な気持ちになれる素材はないと思う。KAEの作るアクセサリーは自分らしくいるための必須アイテムだ。あぁ、いまからKAEの極楽にどっぷりひたれることが楽しみでしょうがない。
――アーバンのママ
■ KAE Solo Exhibition
極楽
2021年2月5日(土)-20日(日)
東京 新御徒町 mograg gallery
〒111-0041 東京都台東区元浅草1-5-1
13:00-20:00 | 月曜定休
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