HALLCA『VILLA』Cassette Tape Edition | IPTO-004

Tweet

2022年9月2日（金）発売
AVE | CORNER PRINTING + Magellan Blue Records
Cassette Tape | 2,727円 + 税 (税込3,000円)
Random Colour | Flat White (≒White) or Pink Marble
Manufactured By ODD TAPE DUPLICATION
————————————————————————————-
Accessory | Lenticular Card
おまけ | 手作り豆本『Códice Villa』(非売品 | B9, 24頁)
※ 『Códice Villa』は仕上がりにばらつきがございます。ご了承ください。

Mastered by 大城 真 at Berlin, Deutschland.

Art direction and design by cpnnn.

01. Composed and arranged by PellyColo | Words written by HALLCA
02. Composed and words written by HALLCA | Arranged by PellyColo
03. Composed by Rillsoul and HALLCA | Words written by HALLCA
04. Composed and words written by HALLCA | Arranged by PellyColo
05. Composed and words written by HALLCA | Arranged by 東新レゾナント
06. Composed by Rillsoul and HALLCA | Words written by HALLCA | Arranged by Blackstone Village
07. Composed and Arranged by PellyColo | Words written by HALLCA
08. Composed and arranged by PellyColo | Words written by HALLCA
09. Composed and words written by HALLCA | Arranged by PellyColo
10. Composed by Rillsoul | Words written by HALLCA
11. Composed by PellyColo | Words written by HALLCA

All performed by HALLCA.
Additional instruments performed on 10 by Daioh (Guitar), 早川一平 from K-106 (Sax), 平岡タカノリ (Drum programming), 角谷光敏 from A Hundred Birds (Bass), 小林洋介 From Calmera (Trumpet)

01,07,08,10,11 Recorded by 宮本裕幸 at BASE ON TOP, Tokyo
02 Recorded by 村井 清 at islandstudio, Tokyo
03,06 Recorded by Rillsoul at Ghetto Heaven Studio, Osaka
04,09 Recorded by isao at NOSE art garage, Tokyo
05 Recorded by 西片悠人 and 大野 遥 at 東京スクールオブミュージック専門学校渋谷 SSL Recording Studio, Tokyo

　シンガー / コンポーザー・冨永悠香によるソロ・プロジェクト、HALLCAが2019年に発表した1stフル・アルバム『VILLA』のカセットテープ・エディション。完全新規アートワーク、一部意図的に変更したトラックリスト、カセットテープ・フォーマットに合わせた再マスタリング、そしてアナログならではの所作により、オリジナルのCD / デジタル・エディションに親しんだリスナーにも新鮮にお楽しみいただける新装版です。

　2012年に大阪より現れ、2017年に東京でその幕を閉じるまでの5年に亘って活動し、当時BiSを筆頭に隆盛を極めたアイドル・ムーヴメントとフィールドを共有しながら支持層を拡大したダンス / ヴォーカル・グループ、Especia。そのサウンドやテクスチャは、メイン・コンポーザーを担った鬼才・Schtein & Longerの思考 / 嗜好が多分に反映されたもの。おそらくはメインストリームにおいてのみならず先んじてヴェイパー・ウェイヴを参照し（「Hi-Hi-Whoopee」の記事に詳しい）、そのソースたるPlayStation™の亡霊、廃墟と化したラウンジ・ミュージック / ミューザック、スムーズ・ジャズ / ファンクやフュージョン、R & B / ニュージャック・スウィングの残骸、ニューエイジ / シンセサイザー・ミュージックがアセンション時に残した無意味な肉体など、同時代で言えばVisible Cloaksや『Replica』以降のOneohtrix Point Never、Frank Ocean『Channel Orange』、Washed Out『Within And Without』等とリンクするであろう素材を基盤に、クランク / トラップやサウス / チョップト & スクリュードなどにも明確に言及しつつ、山下達郎「Midas Touch」のカヴァーに象徴される軽快なポップスへと昇華（回帰）させるスタイルは、昨今のシティポップ・ムーヴメント + 派生が短期間に幾度もタイムループするかの如き異彩を放ち、ある種牧歌的なメンバーのキャラクターおよびナチュラルな歌声との乖離が特別な魅力を生み出していたのでした。KASHIF、tofubeats、鶴岡 龍 aka LUVRAW、VIDEOTAPEMUSICといったコラボレーターの人選も特異性の表出と言えるでしょう。国外での支持も厚く、「Pitchfork」誌でのレビューや、かのLaurel HaloがEspeciaの定番マーチャンダイズ「Spice Girl」Tシャツを着用する姿を目にしたかたも多いのではないでしょうか。

　そんな異常事態をブートからシャットダウンまでセンターで牽引したパフォーマーが冨永悠香。Especiaの凍結後に冨永が選んだ道は、ダンスのムーヴをクローゼットにしまい、Rolandのオールインワン・シンセサイザー「JUNO-Di」と向き合って、愛するEspeciaの世界を自らの手でリカヴァリーすることでした。地図もなく無人の巨大ショッピング・モールに放り込まれ、エレベーター（ミュージック）のどのボタンが思い描くフロアに導いてくれるのかを模索するアリス。他者の解釈に解釈を重ねて成立した事象の再構築という営みは、ある種倒錯した行為なのかもしれません。しかし、冨永の情熱が過去の幻影への憧憬を上回り、ヴァーチャルではなく冨永自身の音楽へと変貌を遂げてゆく過程が、ファンタジックでありながら意志の強度を感じさせる歌詞と共に、1stアルバム『VILLA』へと集約されているように思えます。Especiaの開発に携わった面々によるバルーンヘルプも、Especia 2.0ではなく冨永個人の未来を指し示しているかのようです。その行く末は、自作『PARADISE GATE』（2021）にてディパーチャーの暗示として描かれます。

　このカセットテープ・エディションでは、ソロ・デビューからのHALLCAの道程をコンパイルすべく、オリジナル『VILLA』ではリミックス・トラックとなっていた楽曲「guilty pleasure」「Diamond」を、2018年のデビューEP『Aperitif e.p』に収められていたヴァージョンに変更して収録。アキツユコ、池間由布子、IN THE SUN、角銅真実、preparationset、柴田聡子らの作品でも知られるベスト・エンジニアとしてのみならず、ぺシスト（Especiaファンの総称）として多くの現場で冨永の歌声を確認してきた大城 真が全編をカセットテープ用にマスタリングし、当代トップ音楽マガジン「AVYSS」や2021年のフル・アルバム『It’s All Smiles』が話題作となったNo Rome（Dirty Hit）のヴィジュアル、HALLCA作品『Private Paradise』（2021）、『PARADISE GATE』のカヴァーなどを手がけ、DJとしても知られるcpnnn（かぷぬ）がアートワーク / デザインおよびアートディレクションを担当しています。宝石類等の小箱を意味する“カセット”の語源同様、初期HALLCAのダイアモンドが詰まった決定版です。

　また、cpnnnによるカヴァー・アートを3Dレンチキュラー化したカードを没入 / 逃避補助アクセサリーとして同梱。全収録曲の歌詞を掲載し、作詞家・HALLCAにフォーカスしたリスニングを楽しめる手作り豆本『Códice Villa』(非売品 | B9, 24頁) もおまけで付属します。

文責: AVE | CORNER PRINTING

Biography

HALLCA

投稿: 09/02/2022