あだち麗三郎『水をあつめて』 | IPTO-006


2022年6月22日(水)発売
AVE | CORNER PRINTING
Book + PET Bottle | 1,600円 + 税
B6判 | 60頁 | リソグラフ + カラーレーザー

印刷・製本協力 | CORNER PRINTING SELF 三鷹店

※ 印刷の特性により、擦れや色移り等が生じる場合がございます。ご了承ください。

まえがき | 06
北海道・虻田郡ニセコ町「甘露水」 | 08
北海道・虻田郡真狩村「羊蹄山の湧き水」 | 12
岩手県・盛岡市「青龍水」その1 | 16
岩手県・盛岡市 「青龍水」その2 | 20
長野県・小県郡長和町「黒耀の水」 | 24
長野県・諏訪郡原村「阿弥陀聖水」 | 28
山梨県・北杜市「八右衛門出口湧水」 | 32
山梨県・北杜市「大滝湧水」 | 36
山梨県・南都留郡忍野村「忍野八海」 | 40
静岡県・御殿場市「沼田の湧水」 | 44
静岡県・駿東郡清水町「柿田川湧水群」 | 48
香川県・小豆郡小豆島町「湯船の水」 | 52
大分県・竹田市「小津留湧水」 | 56


著者 | あだち麗三郎
写真 | あだち麗三郎, 浮芥田毬藻, Aokid
装丁・デザイン | 田口 陵 (CIDER INC.)

 あるトラブルをきっかけに、全国各地のナチュラル・ウォーター(特定の水源から採取された地下水)の味の違いを感じたことで“水の味”に興味を持ち、今では各地の湧水巡りがライフワークとなった音楽家・あだち麗三郎(あだちれいさぶろう)が、湧き水(山間部に降った雨や雪が元となる地下水が地中に浸透し、自然に地表へと湧いたもの)にフォーカスして2021年6月から2022年5月までの1年間「AVE | CORNER PRINTING」にて連載したテキストをコンパイル。本書のための書き下ろしを加え、長野、山梨、静岡など関東近郊を中心に、北は北海道から南は大分まで、13ヶ所の湧水を紹介。みずみずしさあふれるデザインは、ASA-CHANG & 巡礼、NONA REEVES、大比良瑞希、スチャダラパーなどの作品で知られる田口 陵 (CIDER INC.)によるもの。

 地球において、蒸発→凝固→降水及び降雪→浸透→流出というプロセスで循環する“水”は、人間の生命維持に必要不可欠であり、日常にありふれた存在でもある物質。音楽家としてのみならず、自身が開業した療術院「ぽかんと」にて様々な人々に施術するあだちにとって、湧水を飲み、味わうことは、味覚ひいては肉体そのものの”感覚”を研ぎ澄まし、体内や思考のわずかな変化を味わう行為でもあります。本書は、旅のお供にも最適な「国内の湧水ガイド」としての側面を持ちながら、あだちが各地の“水”を味わって起こった肉体的、精神的な変化を丁寧に綴るエッセイ集です。

文責: AVE | CORNER PRINTING

 水の味の違いなどよくわからないと言われるが、誰だって慣れればわかるようになってくる。ぼく自身、音楽家として最近はミキシングの仕事が多いのだが、録音する機材の違いとか、楽器の違いとか、録音する空間の違い、マイクの違い、ケーブルの違い、色々と違いの種類がわかるにつれてわかってくるのだ。“分かる”とは、文字通り“分ける(分類する)”ということだから。
 真に理解するなんてことは必要なく、ただ違いがあって、それぞれの差異を感じ、そこに純粋な楽しみがあるという世界はすてきだと思う。純粋な水が存在しないように、“理解する”ことなんて自然界には存在しないのだから。
(本文より)

Biography

あだち麗三郎

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