Primula『Deep Water』 | IPTO-009


2023年10月6日(金)発売
AVE | CORNER PRINTING + CURTAIN
Cassette Tape | 1,818円 + 税 (税込2,000円)

Manufactured By ODD TAPE DUPLICATION
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Accessory | Sticker (Design By MATERIAL)

Side A (08:09)
01. Deep Water feat. Maika Loubté
02. Minzzlezz (Weightless Ver.)

Side B (05:04)
01. Viridianist (Extended Ver.)


All tracks written by Primula.
Lyrics written and performed by Maika Loubté on 'Deep Water'.

Mixed and mastered by Primula at Viridian Studio 2.

Art Direction by Masaki Watanabe.
Design and artwork by higashin0.

 近年はIll Japonia aka Taigen Kawabe(BO NINGEN)、ONJUICY、Prettybwoyを客演に迎えて「Eastern Margins」より発表したEP『Root Layers』(2021)や自身のヒーロー・Cristian Vogelによるリミックス・トラックを含むシングル『Minzzlezz』(2022)、「NTS」「Rinse France」でのスピン、「SVBKVLT」からリリースされたPrettybwoy『Tayutau』(2021)への参加、Maika Loubtéとのコラボレーションなど、これまで以上にグローバルかつあくまでナチュラルに活動の幅を拡張してきたPrimulaが、新章へのシームレスな幕開けを予感させるカセットテープEP『Deep Water』をリリース。

 コンポーズ、ミックスからマスタリングまでPrimula自身が手掛けた同作には、Primulaらしさが光る複雑なビートワークに3rdアルバム『GONE』(2019, not records)以来のコラボレーターであるMaika Loubtéのヴォーカルをフィーチャーした瑞々しいタイトル・トラックに加え、現行グライムのフィールドで浴びる脚光とオールドスクールなエクスペリメンタル・テクノがクロスオーヴァーする「Minzzlezz」のウェイトレス・ヴァージョン、“架空のカセットテープ”をコンセプトとするYouTubeチャンネル「New Easy Listening」のコンピレーション・シリーズに提供した楽曲を不可逆な現実用にアレンジした「Viridianist (Extended Ver.)」の全3曲を収録。アートワークおよびデザインはhigashin0(hellointernets)、アートディレクションは過去のほぼ全作品でPrimulaが持つ“思春期”オリエンテッドのコンセプチュアルな側面を支えてきたMasaki Watanabeが務めています。特典として同梱するステッカーは、かつてPrimulaが拠点としていた東京・西麻布の伝説的特殊クラブ「BULLET'S」(2018年閉店)にて親交を深めたMATERIAL(QUEER NATIONS | MGMD A ORG.)がデザインしたもの。

 Neil Landstrumm、Si Begg、SUBHEAD、Crisitan Vogelらがかつて集った「No Future」コレクティヴの面々、すなわち「Tresor」周辺で最も実験的かつ異端とされたテクノの影響下で音楽活動を開始しながらも、Terre Thaemlitzとの交流に象徴される「Instinct Ambient」「Mille Plateaux」「Subharmonic」アンビエントの息吹、Enyaド直球世代ならではのニューエイジ包括型ポップスによる無意識下での刷り込み、Richard D. JamesやMike Paradinasから受け継いだのであろう狂暴とさえ言えるノスタルジックなメロディなどが相まって、恥ずかしさやカッコ悪さを多分に含んだ思春期メモリーの音楽 / 音響による再構成というライフワークに辿り着いたPrimula(ある種、SUBHEADの初期メンバーであったJamie Lidellのブレイクスルーに近しい気もします)。LandstrummやBeggが00年代後半にダブステップのトップ作家として活躍した事実と、Primulaが(『Grime 2.0』やVisionist等以降における)インスト・グライムの作り手として支持を得ている現状は地続きでしょうし、ドリーミーでありながら強さも湛えたMaika Loubtéの歌唱と詞が印象的な「Deep Water」でのそこはかとない細野晴臣(細野とPrimulaはかつてBULLET’Sにて共演を果たしている)感や、「Viridianist (Extended Ver.)」におけるコロナ禍後のJulianna Barwick作品に通じる感覚も必然的に生まれたものであるように思えます。つまるところ『Deep Water』には、実はかなり長いPrimulaのキャリアや、その進行形がぎっしりと詰まっているということであります。ノスタルジー = 断片化 / 劣化しゆく記憶のモザイクという点において、カセットテープというフォーマットの特性もPrimulaの“思春期”コンセプトをより魅力的に伝えることでしょう。

文責: AVE | CORNER PRINTING

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