Installation view of Mayumi Hosokura “Sen to Me,” photo by Shu Nakagawa. Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art.
今年3月に『FASHON EYE KYOTO by MAYUMI HOSOKURA』(LOUIS VUITTON)を刊行し、4月から6月にかけては東京・天王洲アイル Takuro Someya Contemporary Artにて自主企画のグループ展「ジギタリス、あるいは一人称のカメラ」に石原 海、遠藤麻衣子、長谷川億名と共に出展した細倉真弓が、同地でソロ・エキシビション「Sen to Me」を9月4日(土)から10月9日(土)まで開催。
同展では、「ジギタリス、あるいは一人称のカメラ」に出展した映像作品「digitalis」シリーズに加え、自身の手の影を用いたフォトグラムに機械刺繍を施した新シリーズ「Sen to Te」も発表。刺繍は、京都拠点のオンライン・ヴィンテージ・クロージング・ショップ「OASIS II」との共同作業によるもの。いずれの作品も、“鑑賞者が自らのオリジナルな「視線」を再発見する装置”として展示されています。
「線と目」
ここにある映像たちはとても「遅い」。
同じ映像を見ていてもその「遅さ」の中では、見ている個⼈の体の中の記憶がその「遅さ」よりも早く映像へとフィードバックされる。一つの映像の中に無数の個別の体験を内包させること、そしてその別々の体験を携えながら共に見ること。
そういった自分と他者の共有できない孤独な体験に面白さを見出している。
一方でフォトグラムと刺繍のシリーズは、その行為を圧縮したようなものだ。
刺繍は京都の古着店「OASIS II」との共同作業である。施された刺繍は私がこのように見たと思った結果でもあるし、「OASIS II」がそうする時もあれば、お互いの視線の痕跡が曖昧に混じり合ってできたものもある。
機械によって印画紙に縫い付けられた刺繍は一見、「これはこうでしかない」という顔をしているが、本当はそんな確固としたものではなく、誰かの視線の可能性の一つでしかないとても曖昧なものとしてそこにある。
自分の視線と誰かの視線を重ね合わせること、そしてその結果、全く違うものを見ていること。わかりあえなさを共有するような体験の先に何かあるのだろうか。
ここ数年の私の興味はそのあたりにある気がしている。
――細倉真弓 Mayumi Hosokura
■ 細倉真弓
Sen to Me
2021年9月4日(土)-10月9日(土)
東京 天王洲アイル Takuro Someya Contemporary Art
〒140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F
火-土 11:00-18:00 | 日曜・月曜・祝日休廊
協力: OASIS II
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