MIRA新伝統がZiúrリミックスを含む1st EP『Noumenal Eggs』をSubtextからリリース

Photo ©さようならアーティスト

　東京を拠点にクリティカルな活動を展開して注目を浴び、近年はYves Tumor来日公演のオープナーや英「NTS radio」への出演なども話題となったMIRA新伝統が、Ellen Arkbro、EMPTYSET、Paul Jebanasam、Roly Porterらの作品で知られる独ベルリン「Subtext」から1st EP『Noumenal Eggs』をリリース。6月17日よりBandcampでの配信が開始されています。

　MIRA新伝統は、ボディ・パフォーマー / ダンサーとしてのみならず映像エディット / 3DCGも手がけるHonami Higuchi（樋口帆波）と、フランス・パリ出身の音楽家・Raphaël Lerayによるオーディオ・ヴィジュアル / パフォーミングアーツ・プロジェクト。2018年の「TPAM国際舞台芸術ミーティング in 横浜」内で初演された舞台作品『回 – [T]orque』のサウンドトラックにあたる『Torque』（2019, AMEN）以来約2年ぶりの音源となる『Noumenal Eggs』は、「他者性と、消費経済における“資源”としての⾝体」をテーマに制作された全6曲。昨年「Subtext」ファウンダーのひとりJames Ginzburg（EMPTYSET）とのデュオMYXOMYでのフル・アルバム『Myxomy』が好評を博したZiúr（Pan, Planet Mu）によるリミックス・トラックも収録されています。ミキシング / マスタリングはGinzburgが担当。スイス・ベルンの写真家・Joelle Neuenschwanderが撮影したカヴァー・フォトには、同じくスイスの美術家・Maya Hottarekが制作したスカルプチャーがフィーチャーされています。

| 『Noumenal Eggs』楽曲 / カバーイメージについて
　“Howling Machines”では、ドゥルーズとガタリの「欲望する機械」が、Raphaelが作り上げた蛇のように蠢く破壊⾳を通じて鳴り響く。また”Hosting of Inorganic Demon”では、Honamiの絶叫がパンデミック時代に廃墟と化した商業ビルを訪れたときのような⾮現実感を伴って反響する。このトラックは、イラン出⾝の哲学者レザ・ネガレスタニが描く、⽣物のような地域や悪魔のような天然資源が独⾃の統治機関として存在するセオリー・フィクションの、奇妙で不気味な世界から着想を得て制作された。
　FMとウェーブテーブル合成を主に使⽤し作られた“Chronosis”のひび割れる様な雑⾳は、MIRA新伝統が「逆⾏するくぐもった空間感覚」と呼ぶリバーブのように、時空間が圧縮される感覚を模倣している。対をなすトラックとして、Ziúr（PAN records）が⼿掛けた硬質で破砕的な“Disembodiment”のリミックスも収録。SOPHIEの触覚的なテクスチャーとジェンダー規範的なヴォーカルの影響を感じさせるこの曲では、Raphaelが⾼⾳を歌い上げ、Honamiが低⾳の唸り声を響かせる。このリリースのポスト・インダストリアルノイズの偶発性からはCoil、Psychic TV、Markus Popp、そしてノー・ウェイブのアイコンであるイクエ・モリらの影響も微かに感じられる。
　カバーイメージは、スイス出⾝のアーティストMaya Hottarekが⼿掛け、Joelle Neuenschwanderが撮影した。つややかな釉薬に覆われたエイリアングリーンの彫刻は、⼈間の知覚では捉えることのできない物体を彷彿させる。未知の形状は、⽂化理論家であり、k-punkの名でも知られる故マーク・フィッシャーが定義したように、オルタナティヴな未来と想像を越えた新たな⾃然を⽰唆している。フィッシャーは述べている。「私たちは、まだ存在せず、どのように、どんなものにになるのか分からないものを⽣み出さなければならない」、と。
（資料より）

■ 2022年6月17日（金）発売
MIRA新伝統
『Noumenal Eggs』
SUB045
https://mirashindento.bandcamp.com/album/noumenal-eggs

［収録曲］
01. Hosting of an Inorganic Demon
02. Disembodiment
03. Noumenal Eggs Music Video Link
04. Chronosis
05. Howling Machines
06. Disembodiment (Ziúr Remix)