Interview | okkaaa


DIY的アーティスト、okkaaaに聞く、音楽の今。Vol.1

Photo ©石間秀耶

 仕事を通して出会った、20歳のミュージシャン、okkaaa君。
彼の自宅から生み出される、まさにベッドルームミュージック的なローファイヒップホップに、ウィスパーボイスがとても映えるトラックを作る彼。話すととても柔軟性があり明晰である。そんなokkaaa君のヴァイブスは、最近は音楽活動を休止しているんですが、NIRVANAらが輩出したシアトルのロック・コンテストで単身優勝し、John Vandersliceにも絶賛されたpwrfl powerこと野村和孝君に似ているな、と思ったんです、先を見据えていて、頭が切れる感じが。


 okkaaa君、いわゆるZ世代。タイプビート(Type Beat)を駆使したアーティストであり、今年7月8日にはセルフ・プロデュースによる3rd EP『ID20』を配信リリースしたばかり。さまざまな数値好き、タイプビートを使っていると公言しているおもしろさ、そして、SpotifyのAPIもそつなく利用する彼に、ぜひ話を聞いてみたいと思い、コロナ禍のなか、Zoomでインタビューしました。


 ロング・インタビューになったので、今回は2回に分けてお届け。


取材・文 | 小嶋真理 Mari Kojima (gallomo co., ltd.) | 2020年7月

Vol.1 | Vol.2


――okkaaa君、結構いろんなところでインタビュー、受けられてますね!

 「いやいや、ちょこちょこです」

――タイプビートについても、J-WAVEのあっこゴリラさんの番組でも話してらっしゃったし、あと、インタビュー動画でもお話してるの、見ました。
 「ありがとうございます。ほんとにがっつりタイプビートについての話をするというのがないので、今回は気合を入れてます(笑)。なかなかこういうギミック寄りの話ってあんまりしないじゃないですか。コアな話をできるのを楽しみにしてました」

――それがねぇ、私が初心者というか、何も知らないからね、ぶっちゃけのところ。危ない感じなんですよ(笑)。いろいろ教えていただきたい!という感じなんです。最初にいろいろ質問したいことがありまして。今大学生だと伺ったんですけど、今、授業はオンラインで?
 「そうです」

――あら、大変?そうでもない?
 「グループワークとか近くにいないので、ジェスチャーとか身体性が出る会話ができないっていうのはめちゃくちゃ辛いと思いますね。最初の方は良かったんですけど。やっぱり隣の人にちょっと話したい、っていうのもできないですし。ちょっと寂しいですよね」

――ところで、okkaaa君、本名は〇〇なんですね、Zoomの画面に出てる(笑)。
 「そうです、でもそれ公表しないでください(笑)!」

――年齢は聞かなくていいと思うけど、世代間を知りたいから教えてもらえる?
 「20になりました。去年なんですけど。結構19歳と20歳の境目っていう意味では、いろいろ葛藤とか、新しくリリースしたEP『ID20』でも綴るところなんですけど、結構20をテーマにしてる作品でもありますし」

――タイトル、20が入ってますもんね。そう、数のことに関しても聞きたくて。昨日、okkaaa君のポッドキャストで数について語っていたのを聞いてから気になってたんです。ところで、okkaaa君がやってるポッドキャストの相手もいいですね、ゆるい感じで。
 「ありがとうございます。がっきー(石垣 陽)はいつもバックDJもやってくれている子です。ああいう感じでいろいろなテーマでまんべんなく語っています」

――いい感じですね、仲間もいて。外出自粛中の話もokkaa君のポッドキャストで聞いちゃったんですが、家にこもってひとりぼっちで音楽をやっていて、それがよかった、みたいな?
 「そうですね、元来こうやってずっとパソコンに向かって作っていたので、ちゃんと集中して、自分と対話する時間が増えたという面では、すごく有意義だったと思います。その反面外に行けなくてインスピレーションもないので、なかなかインスピレーションがないなぁというか、が掴みづらくはありました」

――もともとインスピレーションはどこから得ていましたか?
 「外との繋がりがめちゃくちゃ多かったところがあって、もちろん、自然的な景色から生まれるインスピレーションとか、雰囲気からもそうですが、友達と会って会話をすることももちろんですし、想像力の境界線が家に留まっていると、やっぱりどこにも広がっていかない感じはありました」

――こもりますよねぇ。
 「そうなんですよねぇ。なので、やっぱり外に出ることがすごく重要だなと思いました」

――インスピレーションの元になるというのは、メロディー的なところですか?okkaaa君は、けっこう物語も書いたりしているから、歌詞的なところへのインスピレーション含め、言葉に重きを置いているのかな、と予想してます。
 「インスピレーションは、言葉のほうによっていると思う。言語化を形成するための文脈背景を提供してくれるのが、そういう外の空間だったりします」

――経験とか?
 「まさにそうです」

――制作するものに、恋愛とかをぶち込むほう?
 「今回の『ID20』では、けっこうそれがテーマになっていて、実はいままでそういうことを語っていなかったんですよ」

――アツアツな話じゃないですか(笑)。
 「そうなんですよ、今まで、ノスタルジーというか、自分の中でもやもやしている、見通せていない物事を書くかと言われると、それはいいかなと思っていましたし、そういうことを書くことが得意ではなかったのですが、今回そういうことに思いを巡らせてみると胸がいっぱいになったというか、これを書かないと次に進めないなというか、そういう気がしたんですよ」

――恋に対してですか?
 「そうです。次のフェイズに行くために、ちゃんとリアルな話をしなければいけないと思いました」

――それを言語化することで、区切りがつくみたいな、一種の葬る儀式みたいな感じなのかな。
 「折り合い的なものでもあります。これまでの作品は、100%“今”の話だったんですよ。例えば『bubble』とか、現代に接続させながら物語を語るという方法だったのですが、それが昔の話とか、自分の話がなかったなと思っていて、これからどんどん音楽家としてアルバムを作ったり、作品を積む過程においてまだできていないことってなんだろうと思ったときに、ノスタルジーとか、昔の話とか、自分の恋愛の話のリアルな文体を書かなければいけないというテーマがありました」

――整理整頓みたいなことですかね。考えを言葉にすると整いますよね。元々は恋愛を語るのが苦手だったというのもおもしろいです。
 「こういう問題があるよとか、こういうものがあるよ、ということに対して問題提起をするのはすごく好きだったけど、自分の話だし、すごく気恥ずかしいというか、なかなか言葉にできないというか、そういうことがあって。それこそ一番最初はタイプビートを使って、街の話とか無機質さみたいなものを歌うことが好きで、自分の話は全然せず。高校生だったから、周りのこともあり、そんなに自分の話をしなかったんです。知ってるでしょ?みたいな感じであまりしてこなかったのですが、音楽家のエクスキューズとして話していかなければいけないなと思いました」

――高校のときは、何してました?自分、ちょっとコミュニティから外れてんなぁ!とか思ったりしました?
 「なんかふつうにクリエイティヴはずっと好きだったので、いわゆるものをつくる人、ちょっとクリエイティヴな人とかってクラスに1人、2人くらいはいるじゃないですか。そういう感じだったかなと思いました」

――おお、なんかいいですね。そういう存在は、周りを引っ張って文化水準をあげますよね。
 「ははは、そんな大それたことはできていなかったと思いますが」

――もともと小さい頃とか、音楽していましたか?
 「歌うのは好きでしたが、全然やっていなかったです」

――いい声をしていますよね、ささやき系というか、がなる感じではなくて、今の音楽にぴったりですね。
 「ありがとうございます。ささやこうと思っていたわけではなくて、家で録っていたので、大きな声が出せないっていうのがあって(笑)。環境的にもそうなのですが。あとは、シンガー・ソングライター的な側面から出てきた人ではないので、そんなに歌ったりする感じではないんです。そういう意味合いでは、声を張ったりすることはしなかったんですね。今作は次のステップに進むためにも、自分でも音楽家としてどう表現できるかっていうのを模索したときに、歌うっていうのが自分の音楽を続けることの意味合いにも繋がってくるかなと思って、けっこう今回は歌い上げているところも多いです」

――オートチューンも使った?
 「オートチューンは、音楽作り始めた当初からずっと入れていました」

――全然わからなかった(爆)!
 「本当ですか?今回のテーマになってくるのが、オートチューンとか機械的なもの、タイプビートもそうですけど、無機質というキーワードがあって、それに対して有機的なシンガー・ソングライター的なものという二項対立が出てきたときに、僕は有機的なシンガー・ソングライター的な幻想美を作りたかったから、機械音っぽいとか、オートチューンをめちゃくちゃ使っているものは避けようと思ったんですね。だから今回は、そういう意味合いで、そう言ってくださったのはすごく嬉しいです」

――有機的なもの、それおもしろいですね。さっきokkaaa君のポッドキャストを聞いていたら、数字で表すものに向かっていくというお話をされてたんですよね。数値化されていて、数と向き合うことが多い今の私たちの世代、個人に関しても全てが数字で割り当てられている世界になっていて。それに対して向かっていくというところで、数字に対しての意気込みがネガティヴな感じに聞こえなかったんですよ。
 「それは嬉しいです」

――ポジティヴに向かっていくみたいな。でもそこでokkaaa君がさっき話してた、有機的という相反するものが出てくるから興味深くて。あと一点、okkaaa君のポッドキャストの中でおもしろかったのが、SpotifyのAPIにはまっているという話なんだけど、それって、数値を愛している側面というか。数値と向き合わなければいけないけれど、それを嫌っているわけでもない、みたいな感じで。数値に関する捉え方がポジティヴで、おもしろい塩梅だなと思いました。
 「まさにそうです。人工知能とかを学校で勉強しているということもあるんですけど、デジタル・クリエイティヴの恩恵をずっと受けてきている世代で、新しいものの到来とか、音楽ジャンルの絶え間ない更新みたいな、そういう様式が変わっていくことをずっと見てきた世代なので、それを良く捉えたい。でも、だからといってそういうものに惑わされたり、自分をなくしてしまうことはしてはいけないなぁとも思っています。デジタル・クリエイティヴの恩恵を受けながらも、静かに抵抗していかなければいけないということが僕のステイトメントであり、やっていきたいことではあります。そういう意味ではポジティヴなことだと思います」

――共存しながらも、その反対側にあるもの、人の手でしか作り出せない有機的なところ、感じなければいけないところを大事にしていくって感じですよね。
 「それこそ、デジタルなものが普遍化していくにあたって、有機的なものが損なわれていくというのは悲しいことだし、そういうキーワードが出てきたときに、落合陽一の『デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂』などの書籍を参考にしながら、デジタルなものと自然なものが一体化する側面みたいなものをちゃんと考えていかなきゃいけないなぁと思って。それで、僕にできることは、タイプビートとかの無機質さがありながらも、自分の身体から出る声などを使って、より自然体なものへ近づけていければいいなと思って作っていました」

――プレイリストなんかもdpiとか早さとかで数値化されて、心地の良いスピードで作られている曲とか各々の好みの傾向でまとめられて自動的に提示されるみたいな世界になっていて、感情論、有機的な部分が抜き取られてしまっていることが多々あると思うので、人間しか出せない有機的なところは大事ですよね。
 「デジタル空間が広まっていくに従って、自分の中のもどかしい感情みたいなものが芽生えた瞬間とか美学みたいなものはちゃんと持っていないと淘汰されていくと思いますし、主張していかないといけないとは常に思っています」

――すごく大事ですね。デジタル化が進んでいる音楽界にいる立場としては大事なところだと思いますし、そこは絶対に残るところだと私は信じていますし、思っています。okkaaa君は、写真も撮られるんですよね。
 「そうです。最近はフィルムにはまっています。大したものではないのですが、記録として撮っています。光がすごく好きなんです。光を捉えるというか、空間の光を捉えている感覚がすごい好きで。このときの霧のかかり具合めちゃくちゃよかったなとか、この光の屈折具合が最高みたいな感じで撮っているのがすごく好きです。僕は、解像度が高いものにはあまり興味がなくて。それって、お金をかければかけるほどきれいになっていくじゃないですか。それよりかは、デジタルで何か表現されたものよりも光をちゃんととらえているものがすごく好きで、そういう面でフィルムがすごく好きなんです」

――フィルム、光が命ですもんね。
 「デジタルでは表現されないその捉え具合が、フィルムのよさだと思っています。そのときの感情とか記憶を留めておく装置としても活用していて。これは、音源ともすごく似てるんですけど、そのときの感情とかを歌詞に綴ってメロディにするのと、写真を撮るのも、あまりそういう面では大差がないかなと思って。記憶を留めておく装置として、という面では一緒だと思います」

――しかも、高い解像度のものに興味がないというか、音楽的にも解像度ががちがちに高くても……みたいな感じですよね、さっきの話題からだと。
 「あ~、それはそうかもしれません。もちろん、音楽がすごく好きなんですが、僕から出る身体的なものとしては、もっとアマチュア的なものを提唱していきたいんです。解像度を求めれば求めるほど、音楽家としては、到底たどり着けないなぁという瞬間があります。Jacob Collierとかを見ていると、ピアノのプロジェクトとかすごい数があるんですよ、もう!どんだけファイルあるの?って感じで、あれを見てしまうと、音楽家としてはさすがに……みたいな感じの。ほんと音楽一本でやっている人ってすごいって思うんですよ。その解像度には僕はまだまだ足元にも及ばないし、どちらかというとアマチュア的な手探り感をずっと探して提唱していきたいと思っているので、そういう面では少しは通底しているかもしれません」

――DIY感を残しながら、ですね。自分に合うところとか、自分にしっくりくるスタイルを見つけるために模索していくことが大事ですよね。あと、そう、tofubeatsの「水星」を聴いたのがきっかけで音楽を作り始めたんですか?
 「そうです。それこそ、tofubeatsの“水星”をDAOKOがカヴァーしたときとかは、ああいうふうにインターネットを使って、まぁニコニコもそうですが、インターネット文化が立ち上がると共に、僕もすごく共感をしたっていう感じで。“水星”はテーマポイントになっているんです。もちろんインディペンデントでひとりで事務所を作りながら活動をしていくみたいなところで、路線を引いてくれているロールモデルでもあって、tofubeatsさんは、第一線で活躍されている方だと思っています。インディペンデントな姿勢もすごく尊敬しています」

――あと、okkaaa君の好きなミュージシャン、岡村ちゃん(岡村靖幸)とか宇多田ヒカルですね。お父さんの影響ですか?
 「そうですね、父の影響はあったんですけど、僕にとって岡村ちゃんが今まで聴いていた音楽が一転するくらいの個性の出し方だったんです。個性とはなんたるかを教えてくれたのが岡村ちゃんでした」

――それでPrinceも好きなんですね。
 「岡村ちゃんからPrinceに入っていって、そこからブラック・ミュージックを聴き漁ってD’Angeloとかを聴き漁ったので、そういう面でヒップホップに出会うことができてよかったです」

――個性の出しかたのパイセンたちですね。最初からやばいの見つけましたね(笑)。
 「中学生にして頂点を見るみたいな(笑)。ルートがエリートコースでしたね」

――危ない。超エリートコース。笑 お父さん、趣味がいいですね。
 「自分でも思いますもん、若いなぁって」

――一緒にレコード屋に行ったりするんですか?ちょっとレコ屋一緒に行こうよ、みたいな(笑)。
 「それはあんまない。でもいいですね、そのラフさ(笑)。最近は僕がずっとディグちゃってますね」

――お父さんにこれいいよとか紹介しても、お父さんは、おお、いいねとかって聴いてくれる感じ?
 「そうですね、車で流しながらとか」

――めちゃくちゃいい関係ですね、もうなんか、DNA問題ですね(笑)。
 「いやぁ、刻み込まれていますね(笑)」

――ところで、日本のサンクララッパーとかもディグったりしますか?
 「サンクラは最近全然聴かないですね、韓国のラッパーとかは最近よくサンクラを使っているアーティストが多くて、たまに聴いたります」

――結構移り変わりがありますよね。
 「そうですね。サンクラはあげたら、“いいね”がくるみたいな仕組みがよかったんですよね。リツイートもできるし、そういう意味合いで、自分の音楽を出して、その音楽の承認要求が満たされてゆくという面ではすごくいいサービスだなと思っています」

――ちなみに、同じ世代だと、ラッパーでは誰がいますか?
 「ニューリー君とか、Akusa君というラッパーがいて、彼らはサンクラにもあげていて。NSKくんとかもそうですね、若い層から支持されています」

――なるほど。あ、ひとつ質問。映画もよく観ますか?
 「よく観るけど、最近あまり観なくなっちゃって。自粛期間も1本くらいしかみていません」

――Netflixも?
 「そうですね、入れてはいるんですけど」

――自粛期間中、アウトプットの時間だったのでしょうかね?
 「それはあります。ずっと作品を作っていたということもあるので、映画はなかなか観られなかったです。自粛期間のときに思ったのは、何もしないでいると、どんどん興味心が蝕まれていってる気がするということ。外に行ったりすると、いろいろな刺激がありますよね、あの人はああいうことをやっているとか、町の賑やかさから活気をもらうとか。そういうものがなくなると、もうゲームでいいやとか、好奇心がどんどんなくなっていって、単純なルーティンを繰り返していて、悲しいなと思いました。逆になんか、忙しすぎても、好奇心は蝕まれていくけど。家と仕事先をずっと行き来しているだけの人になっちゃうっていうか。たまにゆったりする時間がないと本とか読めないですよね。そういう面ではどっちもどっちなんですけど、中間が難しいですね」

――今はインプット感、戻ってきましたか?
 「戻ってきましたねぇ。好奇心がなくなっているというのを、これはやばいって音楽の友達と話して。それで、合宿でもないけど、音楽を作る旅に出ようぜって言って、旅に出ました」

――(笑)。
 「人里離れた自然の中に行ってきました。そこからやるか、となりました」

――いいですねぇ。何を持っていった?
 「パソコンだけです」

――(笑)。シンプル!
 「もちろん着替えとかもありますけど、音楽系のものはパソコンだけです。で、なんかその時期、環境音楽にはまってたんですよ。あまり気分をあげれる曲がなくて、気分が乗らないじゃないですか。僕がEDMとか、激しい音楽を聴くときって、電車とか周りの音をかき消しながら自分のところに没入したい、みないなときなんですけど、家にいれば別に没入はできるし、静かにしたいなと思ったときに環境音楽がすごく合って。この世界の音も音楽だ、みたいなコンセプトに惹かれながら環境音楽を聴いてたんですよ。それで、行った場所がまさに川のせせらぎとかが聞こえるところで、これが本物の環境音楽だ!とか思いながら、2人で録音していました」

――フィールド・レコーディング、がんがんですね。
 「そうです。ライヴが近々あるんですが(7/9に開催済)、そこにも録ったものを取り入れています」

――okkaaa君の曲を一通り聴いたのですが、「Silent Spring (Interlude)」とか、鳥のさえずりが入っている曲がありましたよね。あれは、フィールド・レコーディング?それとも、どこかからサンプリングしたやつなのかな?
 「あれはサンプリングです。ビートメイカーさんがもともとサンプリングをしているものがあって、それを使って作っているんですけど、それはに前作の“SS20”から引き継がれている環境音楽への関心が出てるっていうか。シームレスに繋がりを持った感じで、今回も有機的っていうのがキーワードとしてあって、どういう風に取り入れようかと思ったときに、浮かぶのが環境音楽でした。自然環境とか気候変動に対するTHE 1975の動きとかも参考にしながら、気候変動についてもコミットしていきたいなと思いつつ。結局、デジタルデジタルと言うものの、自然のほうが多様だし、結局自然に回帰するんだろうなとは思ってはいるんですよ。でも(デジタルも)うまく使ってきたいし、中間を狙って今回のテーマでもあるので、ああいう音を入れています」

――おもしろいですね。環境音楽とかフィールドレコーディング系の人で好きな人はいますか?
 「Gia Margaretという人は、環境音楽とロックを組み合わせている人で、すごく接合がうまいなぁと思っていました。あと、Ethan P. Flynnというアーティストがいて、サブスクになくてBandcampで販売しているアーティストなんですけど、ノイズの波形とか重厚なビートを環境音楽に接合させてる感じのバランスがめちゃくちゃ良くて、今年、自分のベスト5くらいには入ると思ってます」

――ちなみに、旅先でフィールドレコーディングをしたときは、iPhoneで録った?
 「iPhoneです」

――結構クリアに録れます?
 「部屋の空調とかうるさいなと思ったら、iZotope社のRX7というノイズ除去のプラグインがあるんですが、それを使って除去もできますし、けっこうiPhoneでもいい音になります」

――そういえば、アイディア帳を持っているか聞きたかったです。アイディア帳を持ち歩いてるか、それともボイスメモを使っているのか聞きたかった!
 「使うのはiPhoneのメモですね。蓄えています。アイディア帳まではいきませんが、気になるフレーズとか、このテーマいいなと思ったり言葉が出たときには、言葉でぱぱっと書きます」

 続きは、Vol.2で。
次回は、okkaaa君が思う自身のマスターピースや、アイドル追っかけ時代の小学生のころ始めたブログ、タイプビート、そしてSpotify APIなどについてフランクに語ってくれます。

Vol.1 | Vol.2

okkaaa 'ID20'■ 2020年7月8日(月)発売
okkaaa
『ID20』

https://caroline.lnk.to/ID20

[収録曲]
01. CODE
作詞 okkaaa | 作曲 okkaaa, Illuid Haller
02. imsodigital
作詞 okkaaa | 作曲 Okkaaa, 8Brokeboy
03. IDO
作詞 okkaaa | 作曲 okkaaa, Illuid Haller
04. Slow Field
作詞 okkaaa | 作曲 okkaaa, Young Swisher Beats
05. (twenty) sailing
作詞 okkaaa | 作曲 Okkaaa, 8Brokeboy

okkaaa Official Site | https://www.okkaaa.com