Review | 「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022」 | サナ・レンケン『コメディ・クイーン』


文・撮影 | SAI

 みなさまお元気でしょうか。夏本番ですね。今年の7月で、AVE | CORNER PRINTINGで記事を書くようになって3年になります。今までは何周年とかあまり気に留めないタイプだったのですが、継続は力だと思うことが多くなり、3年間ほぼ毎月記事を書けて本当に嬉しいです。読者の皆様も、いつも読んでくださってありがとうございます。

 さて、今月は埼玉・川口「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022」に足を運び、スウェーデン映画を観てきました。国内外映画のコンペティション映画祭なのですが、かつてスウェーデン映画『シンプル・シモン』(2014, アンドレアス・エーマン監督)も、この映画祭での上映を経て劇場公開に至ったそうです。コンペ作品は前売600円、当日800円で鑑賞できます。オンラインでは、7月27日まで短編100円、長編300円で観られるとのこと。


『シンプル・シモン』はポスター・ヴィジュアルを見たことある人が多そうですね。

 バスや電車を乗り継いで行くので、かなりハラハラドキドキする道のりでした(笑) 。映画は時間に間に合わないといけないという制約がありますが、慣れない土地で時間を逆算して移動すると、いつも以上に本当に頭フル回転。

Photo ©SAI
会場は、川口のSKIPシティ。
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やっとチケットを購入できたかと思いきや、別の棟での上映だそうで、時間に余裕を持って来てよかった……。
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ちゃんと検温もして会場に入ります。

 高校生時代に、美大に見学をしに行くのを思い出すような道のりでした。美大も郊外にありがちでバスに乗って行く場所が多くて、ちょっと遠いんですよね。

 『コメディ・クイーン』は、母を亡くした少女と父親がテーマになっていて、悲しみが色濃く描かれている映画でした。うーん、さすがスウェーデン映画。いつかの記事でも書いた気もしますが、スウェーデン映画はとにかく“死”をテーマにした作品が多いと思います。最愛の人の死や、劇中で誰かが亡くなったり。そこからの再生みたいなテーマが多い気がする。

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明るい色使いのヴィジュアルからは想像できないシリアスなシーンも。

 先生の名前を呼ぶときに敬称をつけないことや、離婚率が高いことなど、北欧の教育などを学んだときに知ったシーンもあり、「やっぱりそうなんだ」と頷きながら鑑賞。本で読んだり、YouTubeの番組で知ったりした情報も、現地の人に聞くと本当ではないこともあったりするので、映画を観て答え合わせをするのが一番信頼できる気がします。


「Nord-Labo 北欧研究室」というYouTubeチャンネル、北欧情報をゲットするのにとてもよいです。

 一方、主人公サーシャが坊主にして同級生に笑われるシーンでは「女子が坊主にするのって万国共通でやっぱり相当なことなんだな」と思ったりしました。映画の終わりに、サーシャ役のシーグリット・ヨンソンへのインタビュー映像も流れたのですが、役が決まる段階で剃髪を知り、とてもナーヴァスになったとのこと。


隣国デンマークの映画『チーム・ハリケーン』(2017, アニカ・ベウ監督)でも坊主のキャラクターが出てくるのを思い出しました。一番くらいに好きな登場人物。

 ここからは、ちょっとネタバレなのですが……。

 コメディ・ライヴの舞台にサーシャが立つ前の緊張感は、自分がソロ・ライヴで出演する前とかぶって、こっちまでドキドキして不安になりました。感情移入ができる映画だったなあ。サーシャの父親の背景にたくさんのレコードがあるなあ、と思っていたら終盤でJOY DIVISIONのTシャツを着ていて、ちょっとテンション上がりました。音楽好きな人物の設定を演出した空間デザインと衣装を担当したスタッフさんに心の中で小さな拍手。

 コロナで停滞していた映画祭が、復活し始めたので別の映画祭にも行ってみたいなあ。地方の映画祭などにも行ってみたいので、オススメがあったらライヴにいらっしゃったときやInstagramのダイレクトメールで教えてください!

 さて、Ms.Machineの次のライブは8月22日(月)に東京・渋谷 CLUB QUATTROにて。ソロ・ライヴは9月30日に東京・下北沢 BASEMENTBARにて。なんと、あっこゴリラさんと共演します……!これから発表になるイベントもありますので、お見逃しなくね。

SHIBUYA CLUB QUATTRO presents "LAUNCH" vol.3SHIBUYA CLUB QUATTRO presents
"LAUNCH" vol.3

2022年8月22日(月)
東京 渋谷 CLUB QUATTRO
開場 18:00 / 開演 18:30
前売 3,000円(税込 / 別途ドリンク代 / 整理番号付)
一般発売: 2022年7月2日(土)10:00-
e+

出演
AMERICAN DREAM EXPRESS / MEGA X / Ms.Machine
Special Guest: TENDOUJI

※ お問い合わせ: 渋谷クラブクアトロ 03-3477-8750

Pvri presents Anthem Vol. 1Pvri presents
Anthem Vol. 1

2022年9月30日(金)
東京 下北沢 BASEMENTBAR
開場 / 開演 18:30

前売 2,400円(税込 / 別途ドリンク代)
予約

Live
あっこゴリラ / Pvri / SAI (Ms.Machine) / Strip Joint (minimal set)

DJ
1797071 (Ms.Machine, SOM4LI | Discipline) / SHIVA

SAISAI
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現在東京を拠点に活動するヴォーカリスト / リリシスト / ライター。

2015年にバンドMs.Machineを東京にて結成。近年では坂本龍一 / 後藤正文主催イベント「D2021」に出演。また、アメリカのメディア・コレクティヴ「8ball」やシンガポール拠点のCNA制作番組「Deciphering Japan」が日本の女性にフォーカスした回に出演するなど、ワールドワイドに活動している。2020年末にUMMMI.監督のMV『Girls don’t cry, too』、2021年には待望の1stアルバム『Ms.Machine』を発表し、「FUJI ROCK FESTIVAL ’21」“ROOKIE-A GO-GO”に選出される。

ソロでの音楽活動は2019年夏にスタート。『音楽と人』誌への掲載や、InterFMのラジオ番組「sensor」への出演など、大きな話題となっている。2021年はシングル『記憶喪失』『Sonatine』や、ex-TAWINGSのヴォーカリスト・KANAEとの楽曲『Myway Highway』をリリース。9月には、野中モモ、奥浜レイラとの“私たちのシスターフッドミュージック”についての鼎談記事が『Numéro TOKYO』に掲載された。

また、音楽活動以外にライター/インタビュアーとしての側面も持つ。ウェブマガジン「AVE | CORNER PRINTING」では音楽や映画などについての記事を連載しており、これまでにICEAGE、野中モモ、Elle Teresa、そしてSAIが特に関心を寄せるスウェーデンの男女平等社会について友人のVeraとNellaにインタビューした記事もある。