短歌・撮影・音響 | UNCIVILIZED GIRLS MEMORY (玉野勇希, dotphob)
「聖域」
ぢくぢくと膿む夏の夜に孵卵器の硝子ごし眼をぢつとあわせる
祈りとかさういふものにちかいてをあわせるようにまぶたをとじる
ひとら皆愛の破片をくはえつつ悪意に色づきゆく罌粟の花
寺山はニーチェと云ふ名の猫を抱き街には弔ひの歌が流るる
祝祭は誰望まざれどおこなはれ腐肉振る舞へ℃冷国民
酷暑なれば腐敗も早し銀蝿に食まれつかたち失へ祖国
青空が白濁するまで許さない鳥の死骸を踏みそふになり
青空は残酷なればこそ青く鳥の死骸をなぞる白線
からからに渇いた鳥の死骸には日落ちど冷めぬ夏のクオリア
聖域に出口は在らず酷暑なればぬるきプールに溶けてしまへよ
少女無邪気なりて七月を瀕死にしせり遠雷を合図としていま終焉にしやう
夏に世をふかく浸して朝焼けを待たず雲雀の溺死する聲
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