短歌・撮影・音響 | UNCIVILIZED GIRLS MEMORY (玉野勇希, dotphob)
「R0G0B255」
まなざしとまなざされとが交はひつ線状、いや波状にて世界は
吾失ふ乳房持たざり冬型の気圧配置に鋭利なれども
〈実在〉の二字の真下でありえうる全ての性差をなめらかにして
垂直に降下してゆく十字架を偶像たちのXが受け入る
葬列は垂直に続くまつすぐに冬は全てを清潔にする
(There is no alternative) 今、行為しろ。或いは朽ちて朽ちゆ怪獣
失明のまへのさいごにバラバラの硝子の破片のすごいキラキラ
(向こうから)「だれ鏡てる」(規律とは)「何も見えない」(けれど確かに)
降り注げコケイン、あるひは凍蝶の銀の鱗粉 いいよこわれて
spiegel im spiegel...てふ五線譜の創傷ゆびでなぞつてよmom
氷漬けのでかき感情抱きつつアルヴォ・ペルトの俯く角度
埼玉県の冬はつめたし、できるだけ早く死ぬ(嘘)降るる櫻の
触れた掌が「死体みたいにつめたい」と喩して微熱のあはき初雪
R0G0B255のそらが異形の天使で満ちて
液晶に貼り付いている文字列を汚れのやうに蔑視してゐる(んだろ)