第73回「ベルリン国際映画祭」フォーラム部門、第13回「北京国際映画祭」フォワード・フューチャー部門にも出品された目下最新長編『すべての夜を思いだす』(2022)が昨年の話題作となった清原 惟。その監督作品7タイトルを一挙上映する特集「七つの合図、夢のなかで」が1月17日(金)から30日(木)まで東京・渋谷 Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下にて開催されます。初日に先駆けて予告編やウルリケ・オッティンガー監督からのコメントも公開。
清原惟は画面のアーティストである。一つ一つのカットは中心軸に沿って最大限の配慮で構成され、その中で彼女の三人の女性登場人物が団地の緑地をあちこち彷徨う。2人の年配の住人はギリシャ劇のコロスの役割を演じ、場面に言葉を添える。喪失、記憶、迷走についての具体的かつ象徴的な考察は限りなく優しい言葉となる。内容的にも美的にも巨匠の作品だ。(『すべての夜を思いだす』について)
――ウルリケ・オッティンガー (映画監督)
同企画では3作の長編『ひとつのバガテル』(2015)、『わたしたちの家』(2017)、『すべての夜を思いだす』に加え、短編4作『波』(2017)、『網目をとおる すんでいる』(2018)、『これが星の歩きかた』(2020)、『三月の光』(2022)の計7作品を上映。1月21日(火)には小田原のどか(彫刻家 / 評論家と清原監督が登壇するトーク・イベント、1月29日(木)には『すべての夜を思いだす』の劇伴をASUNAと共に手掛けたジョンのサンによるライヴ・パフォーマンスも予定されています。なお1月17日(金)と18(土)に予定されていたトーク・イベントは、清原監督の体調不良により中止。代替日程の調整がアナウンスされています。
このたび、これまでの過去作を含めた7つの監督作品をまとめて上映いたします。ふと考えてみると、大学の卒業制作として撮った『ひとつのバガテル』は、もう10年も前の作品となっていました。作品が作られたそれぞれの時に考えていたことの多くは、変わってしまっていると思います。でも、映画の中にはそれらが残されている気がして、自分自身でも振り返る時間を持てること、それと同時に、観にきてくださる方々の新しい視線にふれることが、とても楽しみです。
――清原 惟
■ 清原 惟監督特集
七つの合図、夢のなかで
A Selected Retrospective of Yui Kiyohara's Films
https://www.bunkamura.co.jp/cinema/lineup/25_kiyohara.html
2025年1月17日(金)-30日(木)
東京 渋谷 Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-24-12 渋谷東映プラザ 7F / 9F
| 上映スケジュール
各プログラム 一般 2,000円 / 学生 1,500円(平日 1,200円) / シニア 1,300円 / 小・中・高校生 1,000円(税込)
※ 毎月1日 / 毎週火曜日 1,200円(税込)均一
※ 株主優待券はご利用いただけません。
https://www.bunkamura.co.jp/ticketguide/t_cinema.html
[長編]
| 『ひとつのバガテル』
監督・脚本・撮影・編集: 清原 惟
出演: 青木悠里 / 原 浩子 / 加藤周生
2015年 | 72分
第37回 ぴあフィルムフェスティバル (PFF アワード) 入選
団地でピアノのある部屋を間借りして暮らしているあき。ある時、一通の差出人不明の手紙を受け取る。手紙に示された場所を探し団地を歩くが、それは存在しない番地だった。部屋に残された音の記憶をたよりに、あきは自分の音楽をみつけようとする。音楽の調べを辿りながら、世界や記憶の断片を拾い集めるように紡いだ、後の作品への予感と新鮮な驚きにあふれる、武蔵野美術大学映像学科卒業制作。
| 『わたしたちの家』
監督・脚本: 清原 惟
脚本: 加藤法子
出演: 河西和香 / 安野由記子 / 大沢まりを / 藤原芽生 / 菊沢将憲 / 古屋利雄 / 吉田明花音 / 北村海歩 / 平川玲奈 / 大石貴也 / 小田 篤 / 律子 / 伏見 陵 / タカラマハヤ
2017年 | 80分
東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻修了作品
第39回ぴあフィルムフェスティバル (PFF アワード) グランプリ
第68回ベルリン国際映画祭 フォーラム部門 正式出品
©東京藝術大学大学院映像研究科
もうすぐ14歳になるセリは父親が失踪して以来、母親とふたりで暮らしている。ある日、目覚めると記憶をなくしていた女・さなは乗っていたフェリーで透子という女と出会い彼女の家に住まわせてもらうことになる。ある一軒の家のなかにふたつの時間が流れていた。誰も観たことがなく、誰にも撮られたことがなかった、映画を観る歓びに満たされる、驚愕の劇場デビュー作。
| 『すべての夜を思いだす』
監督・脚本: 清原 惟
出演: 兵藤公美 / 大場みなみ / 見上 愛 / 内田紅甘 / 遊屋慎太郎 / 奥野 匡
2022年 | 116分
配給: 一般社団法人PFF
第73回ベルリン国際映画祭 フォーラム部門 正式出品
第13回北京国際映画祭 フォワード・フューチャー部門 審査員特別賞受賞
第26回PFFスカラシップ作品
©2022 PFFパートナーズ (ぴあ, ホリプロ, 日活) / 一般社団法人PFF
多摩ニュータウンに住む三人の女性たちの、ありふれた、けれども特別な一日を描く。友人からの引越しハガキを頼りにニュータウンを歩き回る知珠。早朝から行方不明になった老人を捜すガス検針員の早苗。亡き友人が撮った写真の引換券を持ってその母へ会いに行く大学生の夏。それぞれが街に積もり重なる記憶に触れ、そこにいない誰かへの思いを巡らせる。忘れがたい余韻に包まれる、特別な傑作。
[短編]
| 『波』
監督・撮影・録音・編集: 清原 惟
出演: 青木悠里 / 福地脩平
2017年 | 5分
女は男に尾けられている。男の姿は離れず、波の音はまだ聴こえない。セリフの無いたった5分間に、物語、運動、そして主題である音楽が、寄せる波のようにあますことなく届けられる。屋久島で撮影された、とても短い映画。
| 『網目をとおる すんでいる』
監督: 清原 惟
脚本と物語: 青木悠里 / 清原 惟 / 坂藤加菜 / 中島あかね / よだまりえ
出演: 坂藤加菜 / よだまりえ
2018年 | 15分
河原に散歩に出かけたある日、そこに住んでいる「誰か」の家を見つける。ある日の出来事を思い出すこと、そこにいない人のことを想像すること。重層的に語られる時間のなかで、物語が立ち上がる瞬間を描く。状況だけを作り、脚本を使わずに即興的に撮ることで、物語のはじまりを見届ける実験的な短編。
| 『これが星の歩きかた』
監督・脚本: 清原 惟
出演: 村上由規乃 / 石倉来輝 / 青木悠里 / 菊沢将憲
2020年 | 26分
2020年のとある日、太陽フレアによって電波障害が発生。その影響で早めに閉店したデパートに取り残されてしまった木下花は、かつての同級生・渉と偶然再会する。スマホも使えず、閉ざされたデパートで過ごすふたり。音と光の数々が重なり夜闇をほのかに照らす、小さくも優しい一晩の物語。
| 『三月の光』
監督・構成・編集: 清原 惟
出演: 小山薫子 / 石倉来輝
2022年 | 26分
高校を卒業したばかりの莉奈は川辺に佇む。同級生の男がやってきて莉奈にしつこく付き纏うのだが、莉奈は相手にする気もない。「海に行きたい」と莉奈は言う。やってきたバイクに乗せてもらった莉奈は海に行けるのだろうか。2022年公開のオムニバス映画『MADE IN YAMATO』に収められた作品。
[トーク・イベント]
2025年1月21日(火)『すべての夜を思いだす』19:00の回上映終了後
ゲスト: 小田原のどか (彫刻家 / 評論家) / 清原 惟監督
[ライヴ・イベント]
2025年1月29日(木)『すべての夜を思いだす』18:50の回上映終了後
演奏: ジョンのサン (『すべての夜を思いだす』サウンドトラック & 出演)
※ 各イベントは対象回のお座席指定券をご購入の方のみ、ご参加いただけます。
※ やむを得ない事情により中止 / 内容は変更となる場合もございます。
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