2017年制作の劇場デビュー作『わたしたちの家』が同年の「PFFアワード」グランプリ、第21回「上海国際映画祭」最優秀アジア新人監督賞、「クリチバ国際映画祭」“Other Views”グランプリを獲得し、「ベルリン国際映画祭」フォーラム部門への正式出品も話題となった映像作家 / 映画監督・清原 惟の新作『すべての夜を思いだす』が、3月2日(土)より東京・渋谷 ユーロスペースにてロードショー(全国順次)。3月8日(金)には同作のオリジナル・サウンドトラック(Digital | CD 2,300円 + 税)も「HEADZ」より発売されます。
2022年よりジョンのサンとASUNAを中心に制作が開始された劇伴には、ジョンのサンのメンバー・madoが在籍するESVや、オムニバス映画『MADE IN YAMATO』(2021)の一遍となった清原監督作品『三月の光』の音楽を担当したmado & supertotesも楽曲を提供。愛知にて松石ゲル(ザ・シロップ, PANICSMILE)、東京にて林谷英昭(八丁堀・七針)が録音を担当し、ASUNAがエストニア・タリン「eˉlektron.art」での追加録音を経てホームである石川・金沢にてミキシング / マスタリングを手掛けています。
リリースに先駆け、収録曲「ア・ラ・モード」「橋で待つ」のMVが公開中。「ア・ラ・モード」は清原監督とジョンのサン、没、「橋で待つ」はASUNAが撮影し、いずれも編集はASUNAが手掛けたもの。
また、3月17日(日)には、東京・多摩センター パルテノン多摩 オープンスタジオにてジョンのサン & ASUNAとESVが出演する「映画『すべての夜を思いだす』公開記念コンサート」の開催も決定しています。
なお、『すべての夜を思いだす』の上映開場ではオリジナル・サウンドトラックCDを先行販売。封切りに向けてグレゴリー・オーク、Hana Watanabe(tamanaramen)、井戸川射子、石原 海、夏目知幸(Summer Eye)らのコメントが公開されているほか、初日の3月2日(土)18:25~の回上映後は清原監督とキャスト陣による舞台挨拶、翌3日(日)14:40~の回上映後には太田達成監督(『石がある』2022)を迎えてのトークショウも予定されています。
人が忘れても道は覚えている。今日という日が、あらゆる時間につながっていると感じる映画でした。
――朝吹真理子 (小説家)
忙しく生きていたらこぼれ落としてしまいそうな、ゆっくり生きてる人にだけ見える宝物みたいな瞬間が、ニュータウンという街を軸に星座みたいに散らばっている。私たち観客は、街を行き来する魅力的な登場人物たちに連れられて、その星座をひとつひとつ拾い集めることになる。
――石原 海 (アーティスト | 映画監督)
緑と黄緑の何と美しい、膨らむ一面の木、形作られた道の草、土混ざる淡い芝生。鳥の鳴き声、風の音、光と暗さが私たちにも迫る。その中に穏やかで不穏な彼女らの日常、得て失ってきた時間が流れる、それも私たちに迫る。
――井戸川射子 (詩人 | 小説家)
かつてそこにあった物たちが、出来事たちが、記憶たちが、誰にも語られることもなく、至る所に生ずる亀裂から噴出してくる。それらは過去や未来もなく、現在に同時に存在している。権力とは無縁の、小さな無名の記憶たちの救済。いまの日本だからこそ見えてくる風景だ。
――ヴィヴィアン佐藤 (芸術家 | 非建築家)
バスの車窓から見た景色のようにどこまでも横にずれていく。偶然の出来事が重なりながらどこにもつながらない。こういう中心を欠いた豊かな時間が、人生には確かに存在していると思った。
――カゲヤマ気象台 (劇作家 | 演出家 | 円盤に乗る派)
魅力的なダンスシーンがある映画が好きなんですが本作はまさにそうです。ダンスシーンは映画の本筋には大体関係ないけれど、そもそも私たちが生きている時間には本筋なんてないですよね。この映画の時間の中にずっといたいと思いました。
――金川晋吾 (写真家)
ある一日の営みや喜びと悲しみ、偶然の出会いを通して、映画は見事に私たちを深い思索へと導いていく。いかに私たちの人生は予期しない形で進み、時間の中で関わり合い、その瞬間が積み重なって意味深いものになりうるか。いろいろなことを考えさせられる、そして静かに心に残る作品だ。サウンドトラックも素晴らしい!
――グレゴリー・オーク (『aftersun / アフターサン』撮影監督)
街は見知らぬ人々の記憶の総和、視認不可能なあらゆる死と生が蠢く場所。
『すべての夜を思いだす』は、画面に漂流する言葉なき空気でそれを伝える稀有な映画だった。
――児玉美月 (映画批評家)
なんでもないように見える特別な一日。
その日を乗り越えようとするあなたを、見知らぬ誰かが覚えていてくれるかもしれない。
気づいてくれた人がいたんだよ、とそんな眼差しで、すれ違う人同士が描かれていく。
だから、彼女たちが一人でいても、孤独ではない夜が訪れる。そして、この一日を見届ける私たちに、救われる思いがあることを教えてくれる。
――小森はるか (映像作家)
誰かに誘われたい気持ちと、一人でいたい気持ちの間にある感情にわれわれは名前をつけないまま、ないことにしている。
それを音楽にしようとするのがジョンのサンで、映画にしようとしたのが本作、ということかもしれない。
違ってもかまわん。傑作に変わりない。
――Summer Eye / 夏目知幸 (ミュージシャン)
心地のよい時間がながれている映画だ。
それぞれの目的を持つ三人の女性が、古くて新しい多摩ニュ―タウンのそこここにあらわれる。
まるでニュ―タウンの精霊のように――
――中澤日菜子 (小説家 | 劇作家)
画面に木や草がはみ出してくる。それはかつて人間に消されたもの。削られた山に建てられた団地でそれらだけが濃く、人間は薄い。このまま映画から人間が消えていくんじゃないかと思った。かつてこうして人間がいたんだよ、というとき見るのはこの映画のような風景かもしれない。
――山下澄人 (小説家)
人々はお互いを知らぬまますれ違い、見つめあい、想像しあう。そこには土地の歴史も死者も、観客であるこの私も巻き込まれる。私はこの映画の特に後半をかつてない動揺とともに見た。ここにすべてがあると感じた。
――山本浩貴 (小説家 | デザイナー | いぬのせなか座主宰)
引き込まれる空気感、美しく完璧に切り取られた絵、端々まで命が宿っている。
スクリーンに流れていく時間、何処かで見たかも知れない風景やシチュエーション。
ふと立ち止まり、日常ー “”生きる””ということ、我々の物語に共鳴する。
――米田知子 (写真家)
あった事、あったかもしれない事、
気づかないけど静かに交差している事、
この感情を久しぶりに思い出した。
――渡辺 花 (ヴィジュアル・アーティスト | tamanaramen)
■ 2024年3月2日(土)公開
『すべての夜を思いだす』
東京・渋谷 ユーロスペースにて公開 (全国順次)
https://subete-no-yoru.com/
[あらすじ]
高度経済成長期と共に開発がはじまった、東京の郊外に位置する街、多摩ニュータウン。入居がはじまってから50 年あまりたった今、この街には静かだけれど豊かな時間が流れている。春のある日のこと。誕生日を迎えた知珠(ちず 兵藤公美)は、友人から届いた引っ越しハガキを頼りに、ニュータウンの入り組んだ道を歩きはじめる。ガス検針員の早苗(大場みなみ)は、早朝から行方知らずになっている老人を探し、大学生の夏(見上愛)は、亡くなった友人が撮った写真の引き換え券を手に、友人の母に会いに行く。世代の違う3 人の女性たちは、それぞれの理由で街を移動するなかで、街の記憶にふれ、知らない誰かのことを思いめぐらせる。
[監督・脚本]
清原 惟
[出演]
兵藤公美 / 大場みなみ / 見上 愛 / 内田紅甘 / 遊屋慎太郎 / 奥野 匡
[プロデューサー]
天野真弓
[ラインプロデューサー]
仙田麻子
[撮影]
飯岡幸子
[照明]
秋山恵二郎
[音響]
黄 永昌
[美術]
井上心平
[編集]
山崎 梓
[音楽]
ジョンのサン & ASUNA
配給: 一般社団法人PFF
2022年 | カラー | 116分 | 第26回PFFスカラシップ作品
©2022 PFFパートナーズ (ぴあ, ホリプロ, 日活) / 一般社団法人PFF
| 初日舞台挨拶
2024年3月2日(土)18:25-の回上映後
東京 渋谷 ユーロスペース
登壇(予定): 清原 惟 / 兵藤公美 / 大場みなみ / 内田紅甘 / 遊屋慎太郎
| トークイベント
2024年3月3日(日)14:40-の回上映後
東京 渋谷 ユーロスペース
ゲスト: 清原 惟 / 太田達成(『石がある』)
■ 2024年3月8日(金)発売
ジョンのサン, ASUNA, mado & supertotoes, ESV
『清原惟監督作品「すべての夜を思いだす」オリジナル・サウンドトラック』
CD WEATHER 85 | HEADZ 262 2,300円 + 税
http://faderbyheadz.com/release/headz262.html
[収録曲]
01. ユートピアのすごろく Matchbox utopia
02. ア・ラ・モード A la mode
03. ハローワーク Hellowork
04. 貝取こぶし通り Kaidorikobushi street
05. 坂道 Sakamichi
06. 青木屋 Aokiya
07. 4-2広場へ (ニュー・シューズ)
08. 4-2広場 4-2 square
09. なくなった団地 Nakunatta danchi
10. 前ここなんだったけな? What was this place before?
11. テニスコート Tenniscoat
12. イングリディエンツ・コグニティブ Ingredients cognitive
13. みどり橋 Midori bridge
14. ラベンダー・その1 Lavender pt.1
15. ラベンダー・その2 Lavender pt.2
16. プラスチックバッグ Plastic bag
17. 壁打ちの公園 Kabeuchi park
18. 大 Dai
19. 瓜生小南側歩道橋から多摩モノレール通り Tama monorail street from the bridge on Uryu elementary school
20. 埋蔵文化財センター Metropolitan archaeological center
21. 土器パズル Puzzle of earthenware
22. 埋蔵文化財センターの帰り Return from metropolitan archaeological center
23. タウンハウス永山 Town house Nagayama
24. 高田さんの家 House of Takada-san
25. 諏訪名店街 Suwa shopping street
26. 諏訪団地 Suwa danchi
27. 電車見橋( Denshamibashi
28. さくら通り Sakura crossroads
29. 尾根環 Onekan
30. 優等生 Honor student
31. ハッピーバースデイ Happy birthday
32. ダビングされた家族 Dubbed families
33. ドム Dom
34. ぽんぴ Ponpi
35. 梅林だった公園 Night park that used to be a plum grove
36. 夜の歩道橋 Night bridge
37. 橋で待つ Wait on the bridge
38. マーシー Mercy
39. ハウトゥービーアグライダーアゲイン How to be a glider again
40. 団地のうえの飛行船 Danchi no ue no hikousen
■ 映画『すべての夜を思いだす』公開記念コンサート
2024年3月17日(日)
東京 多摩センター パルテノン多摩 オープンスタジオ
開場 13:00 / 開演 13:30
予約 2,500円 / 当日 2,800円(税込)
[出演]
ジョンのサン & ASUNA / ESV
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