成定由香沙がソロ・エキシビション「Over My Head・あたまの上で」を東京・西麻布 CALM & PUNK GALLERYにて開催


 昨年、東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻を修了し、修了制作『行方不明者の家 Radioactive Ghost House』が「トウキョウ建築コレクション2024」グランプリ、「第22回JIA大学院修士設計展2024」最優秀賞を受賞した美術家 / 建築家・成定由香沙(なりさだ ゆかさ)が、個展「Over My Head・あたまの上で」を東京・西麻布 CALM & PUNK GALLERYにて2月21日(金)から3月16日(日)まで開催。

 タイトルに頭上を超えてゆく混乱のなかにあるというふたつの意味を持たせた同展は、「核と都市」「核と私」の2パートで構成され、建築模型と写真を展示。会期最終日の3月16日(日)には、彫刻家 / 評論家・小田原のどかを迎えてのトーク・イベントが実施されます。

頭上を超えてゆくもの / 混乱のなかで
頭上を超えてゆくもの(=Over my head)、たとえば「空」は巨大な空気の塊を視認できる最小の単位であり、どれほどに「大きすぎるもの」であるかを私たちは知っています。アンドレ・ブルトンが戦時中に書いた神話「透明な巨人(The Great Transparent)」は我々の視認できないものによって大きな力が働いているということ、それによって我々が動かされているということが語られており、現代の環境哲学において言及される「ハイパーオブジェクト(Hyper Object)*」との関連性が見られます。本展覧会「Over My Head」は、そんな我々の周りにある我々の手には負えないもの、ここではすなわち「放射能」について私たち人間が100年以上にも及ぶ混乱のなかにある(=Over my head)ことをテーマとし、時代が病む時、ブルトンが想像した「巨人」が私たちの生きる空気を共に震わせているということを背景に、建築と写真という視点から表現します。
本展覧会は1つの部屋に2つのパートから構成されています。1つ目は、「核と都市」。第二次世界大戦中マンハッタン計画において開発された核施設群「ハンフォード・サイト」に残る原子炉について、塵の拡散による放射能汚染を防ぐために原子炉に鋼板を被せる廃炉作業によって、広大な平地であるハンフォードに生まれた新たな輪郭を引用し、その中に新しい建築を想像するプロジェクトです。2つ目は「核と私」。ハンフォード・サイトのプロジェクトを構想する際、東日本大震災で放射能被害にあった福島県がハンフォード・サイトを理想的な復興都市として掲げていることを知り何度かリサーチに出向きました。2つ目のパートは実際に福島第一原発および帰還困難区域へ行った際に撮った写真と、普段日常で「あたまの上」を撮り溜めていた写真を組み合わせ構成されています。

* = ハイパーオブジェクト:ブラックホールや放射能など、我々にとって大きすぎるが故に我々の手には負えない物質の事
――成定由香沙

成定由香沙 個展
Over My Head・あたまの上で

2025年2月21日(金)-3月16日(日)
東京 西麻布 CALM & PUNK GALLERY

13:00-19:00
日-火休廊 | 最終日曜開廊

入場無料 | 上記時間外アポイントメント制にてオープン可
協賛: クマ財団
展示コンサルティング: 佐藤熊弥

[トーク・イベント]
2025年3月16日(金)
18:00-19:00

登壇: 成定由香沙 / 小田原のどか

Gallery

成定由香沙 Official Site | https://www.yukasanarisada.com/