文・写真 | イシバシ ユミ
こんにちは。イシバシユミです。「CORNER PRINTING」のシルクスクリーン部署のスタッフとして働きつつ、アーティストとして創作活動をしている者です。この度「AVE | CORNER PRINTING」で私の連載企画が始まりました(笑)。テーマは“オカルト”です。怖い映画を観たり、怖いアトラクションを体験したり、不思議な場所に行ってみたりしたときの“感想記録”。
“オカルト”と言っても様々ですが、私が特に好んで興味を持っているジャンルは“心霊・怪談”の類です(もちろんUMAとか宇宙人とかそっちも好きです!)。イシバシの作品を見たことのある皆様からしたら、あの雰囲気からオカルトみを感じたことはないと思いますが、私はほぼ毎日怪談を聴きながら通勤し、帰宅すれば怖いYouTubeを寝落ちするまで観る生活をしています。昔から、ストレスが溜まったらホラー映画を観たり、怪談を聴くことで発散をしていたのですが、現在は習慣 / 趣味となってしまいました。趣味の欄にはいつも「怪談・ホラー映画鑑賞」と書きます。普段はSNS等であまりオカルト好きを発信していない私だったので、このような機会で私の興味 / 趣味について語れる喜びをじわじわと感じているところです。本当にただの私の趣味で、私の勝手な感想をつらつらと記録する予定ですので、オカルト好きのかたからしたら物足りなさを感じるかもしれません。でもこのレビューでは怖いのが苦手なかたにも「なんかいけそう」と思える内容で、いろんな人に読んでもらえたらいいけど……。文章力は“中の下”なので、そこはよろしくお願いします。
さて、初回から超無難ですみません!! 今回は「イシバシの好きなホラー映画3選~個人的クソみたいな感想付き~」でいかせていただきます(若干ネタバレあり)。今までそんなにたくさんのホラー映画を観てきたわけではないのですが(ホラーって観るのにパワー必要なので……)、個人的に好きな映画3選を「アメリカンホラー」「邦画ホラー」「アジアンホラー」のジャンルからひとつずつ紹介しながら、超個人的感想を述べていこうと思います。
| ジェームズ・ワン『死霊館 エンフィールド事件』(2016, アメリカ)
スピンオフも含めると8作品ある『死霊館』シリーズの3作目。1977年のイギリスを舞台に、家全体のポルターガイスト現象に悩まされる5人家族を超常現象研究家のウォーレン夫妻がアメリカから助けに参る!という内容です。
一言でいうと、映画鑑賞中ずっとジェットコースターに乗っている感覚!! 怖い場面は思いっきり音も映像もバンバン怖がらせにくるけど、物語には謎解き要素も入っているので2時間ずっと飽きない。最後は感動してほんの少し涙も出ちゃうような、そんな感じで感情揺さぶられた作品です。ちょっとネタバレですが、この作品では誰も死なないし、ハッピーエンドなところも好き(もちろんバッドエンドな映画もめちゃ好きだけど)。
『死霊館』シリーズには“ヴァラク”というシスターの姿をした悪魔が登場するのですが、そいつの見た目がまあ怖い。悪魔を祓うために、その名前を知る必要があるというのは悪魔祓いあるあるですが、劇中でもウォーレン夫妻の妻・ロレインがヴァラクとの対決中に「この悪魔の名前なんやっけ!」と自分の特殊能力を使って潜在意識から探って思い出そうとするんですね。実は映画の途中、ウォーレン夫妻宅でのシーン内にすでに“VALAK”という文字が景色の中に出てきていて、私たちはすでにその悪魔の名前を刷り込まれているんです。私は2箇所発見したのですが、調べてみると3箇所あるようなので、鑑賞予定があればぜひ探してみてほしいです!そして一番すげぇと思ったのが、『エンフィールド事件』は実話を基に製作された映画だということ。最も長期間続いたポルターガイストとして心霊史に残る事件で、悪魔に取り憑かれてしまった少女ジャネットも、ウォーレン夫妻も実在しています。エンドロールには当時の実際の写真が映し出され、最後まで恐怖を感じられて最高です!
| 中村義洋『残穢 -住んではいけない部屋-』(2016, 日本)
邦画ホラーって、最近は都市伝説や昔から語り継がれている怪談をテーマとして扱う“元ネタがある実話?ホラー”が多い印象で、最初はリアルで現実味を帯びているから期待十分で観ていても、終盤はファンタジー要素が強くてがっかりしちゃうことが多くて。ところがこの作品は『残穢』という小野不由美の小説(フィクションなのかノンフィクションなのか微妙なところですが)が原作で、オリジナルの作品なのにどんな映画よりもリアルさが強く、めちゃくちゃ湿度高め(ジトっとした空気感をすごく感じる)なので、「あぁ怖かったぁ満足~」と感じられる作品だと私は思います。
体験談を基にに小説を書くホラー作家の“私”と、投稿者の大学生“久保さん”の自宅で起きた怪奇現象の原因を探っていくという内容なのですが、怪奇現象の原因がわかったら、それまたその原因の原因の原因の原因の原因まで突き止めて行った結果、自宅からはるか遠く離れた土地で、何十年も前に起きた事件が怪奇現象の原因だった……!!! みたいな感じでどんどん謎を解明していくので、ミステリー要素が強いです。正直「キャーーー怖!!」ってなる場面はないんですけど、前述した通りずっとジメっと恐ろしい……。土地に残った穢れによって、調査に関わった人々みんなに呪いが移っていきます。実際ラストシーンには数箇所不可解なモノが映っています(予告編の映像編集をしていたスタッフが行方不明になったとかいう話もあるっぽい??)。
調査を進めてゆく中で、時代をどんどん遡っていくのですが、それがシンプルにおもしろくて、「自分が住んでいる家が建つこの土地も昔なんかあったら嫌だな~」なんて思いながら観ていました。
| バンジョン・ピサンタナクーン『女神の継承』(2021, タイ・韓国)
ここ数年は台湾や韓国など、アジア諸国のホラーがアツいやん~という流れですよね。特に昨年はNetflixの『呪詛』(2022, 柯孟融監督 | 台湾)とか『哭声 / コクソン』(2016, ナ・ホンジン監督 | 韓国)とか。『女神の継承』の舞台はタイですが、ナ・ホンジン監督が原案で、韓国 / タイ共同制作の映画です。
タイ東北部の村で受け継がれてきた祈祷師一族の血を継ぐミンという女の子が、急に様子がおかしくなって人格が変わってしまい、ミンの叔母で村の祈祷師であるニムが祈祷によって救おうとする、という物語です。ニムの祈祷師としての活動を記録するために撮影中の取材班が、突然のアクシデント(突如何かに取り憑かれたミンを救うための動き)に焦点を定めて追う様を、POV形式(カメラ1台を持って撮影してますよ~みたいな一人称視点)で構成しています。いわゆるモキュメンタリー(擬似ドキュメンタリー)というものです。
個人的にPOV / モキュメンタリー系の映画は大好きなんです。でも、リアルさが絶対的に重要となるので「こんなに危ない場面でもカメラ回すか?カメラなんて置いて走って逃げろよ!」とか「そもそもみんな死んじゃったのにこの映像は誰が入手したんだ?」とか、そういう考えにどうしても至ってしまうのです。その点、『女神の継承』はそういった要素が最後の最後まで少ないので観ていられます。“取材 = カメラを回さなければならない”という共通認識があったからよかったのかも。映画の内容も、“タイ東北部の村”の“祈祷師”なんて自分たちの生活から遠いものを題材としているけれど、“祈祷師の仕事を毛嫌いしている今時の女の子”にもスポットを当てているので、スッと入り込めました。あとは、自然や動物など万物に宿る精霊たちに祈りを捧げる……といったアニミズム的な自然崇拝が大きく関わっている部分も、日本にも古来からある信仰 / 考えかたと類似するので意外と共感できます。前半は緩やかに少しずつ問題が大きくなっていきますが、後半の展開がけっこうジェットコースター並み。正直ハッピーエンドを期待させられていたのですが、後半に畳み掛けてくる“最悪オブ最悪”によって私の感情も最悪。映画を観終わった後は胸焼けがすごかったです。間違いなく私史上一番怖い映画だと思っております。ぜひ。
はい、以上「イシバシの好きなホラー映画3選 ~個人的クソみたいな感想付き~」でした。非常に長くダラダラつらつらと書いてしまいましたね……。ホラー好きの人からしたらけっこう王道映画かもですよね。上記の映画を観たかたで、同じ意見や別視点からの感想があったらぜひ知りたいです。
まだまだ観たい映画たくさんなので、オススメあれば教えてください!それではまた次回~
■ CLIP ART MENACE and Such As, Gallery Presents
REFURBISHED MASTERPIECES
2023年5月25日(木)-6月18日(日)
東京 下北沢 Such As, Gallery & Home Goods
〒155-0031 東京都世田谷区北沢2-27-10
12:00-19:00
アーティストClip Art Menaceと彼の仲間たちによるアートマーケット!
アパレル、アクセサリー、アート、ほしい物が全て揃っています。
[出展作家]
Walter Parenton
Guest: Domz / イシバシ ユミ / Sun_Chome