ASPARA編
序文 | 久保田千史
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アイディアが確信に変わったきっかけのアルバム。リミキサー含めすべてが超最高。
そこまで熱心ではない自分にとっては非凡な人だな、くらいしか思っていなかったけど、このEPだけは無視できず。現行の曲でもイルビエント的なムードで構成できそうだと思ったのはこの曲がきっかけ。
自分のパートはこのアルバムみたいな雰囲気になるといいな、と思っていた。後記するTHE SABRES OF PARADISEのEPがイルビエントへと変貌した結果というか。
イルビエントでもなんでもないが、ムードを参考に。1990年代後半~2000年代前半は陰鬱とした曲がドラマの劇伴やゲームのサントラに多用されていた気がする。自分にとってその最初の記憶が『サイレントヒル』のサントラか『ケイゾク』の劇伴だった。『ケイゾク』の劇伴を選ぶのは坂本龍一と中谷美紀の関係を肯定するようで気持ち悪いと思い、こっちを。Y2Kだなんだ言われているが、当時を知る者としては思い出したくもないことばかりである。
「Ozone」~「Tri-Eight」周辺のラッパー / トラックメイカーは一向に見向きもされず。そもそも当時から知名度なんてあったのか謎だけど、誰にも共有せず、共感を求めたくない曲。これもムードを参考に。
We can't find it on the internet officially.
四六時中全方位に怒りまくっている10代の自分にとってのメディテーションは、ドラッグや酒、セックスよりイカれた曲でした。大阪編のリリパにも出てくれたPPTVのDJを初めて聴いたときに、彼がこれをかけていたことをはっきりと覚えています。19年前、寺町 AFTERHOURS(石川・金沢 | 柿木畠に移転後、2015年閉店)。彼とはそれから今も続く付き合い。
かつてイルビエントと呼ばれていた楽曲をそのまんま使ったミックスを録ろうだなんて思わないじゃないですか。2023年ですよ。今を生きてるんで。じゃあどうすんの、となったときにおもむろに聴き直した曲。なんでかはわからないけど、イルビエントとは……と考える上で、このEPがあって本当によかった。
イルビエントってどんな音なんだと考えたときに、まあいろいろ出てくるんですけど、こういうひしゃげた上にねじり飛ばされたような音、というのも自分の中にはあって。そのイメージにぴったりな曲。
ウェイトレスって苦手なんです。極力触れないようにしてきたんですけど。無理でした。
レゲエから陽の光みたいな明るさを消した湿っぽい曲が好きで。そう、こんな感じの曲。
LORD TUSKの存在はずいぶん前に忌部さん(naminohana records)に教えてもらったものの、当時の自分にはピンとこなくて。数年後、前述した「Riddim Chango」のリリースを聴いて調べると、このサントラに辿り着いた。ダブっていろんな表現があって良いですねぇ。
2019年の終わり頃にテクノ疲れ(ブレイク)が。これまで15年以上ずっと音楽を聴き、DJもしてきたが、自分の音楽の聴きかたやその延長でもあるDJに疑問を持つようになり、わざわざ人前に立ってDJをするモチベーションが保てなくなった。『蘭丸』(2018)のリリース以降、突っ走った反動でもあると思う。雑にまとめるなら自分のDJに飽きた。
それまでは主に新譜で音楽を探し、気になるものがあればその文脈を辿るように過去の音楽を探していたが、それを一旦止め、今自分の手元にあるレコードやCD、HDDに保管してあるデータを一から聴き直そうと思った。2年間ほどは新譜のみならず聴いたことのない音楽はなるべく避けるうちに、ようやくモチベーションが上がってきたタイミングで①②を聴き、現行の雰囲気でイルビエント(イルな響き)ミックスを作れるのではと思い、obocoくんに相談した。