文・撮影 | アグネスパーラー
| 第18回: お花のコーディアル
春ですね。桃、梅、ジンチョウゲ、ミモザ、桜がきれい。そして花粉の季節……。お互いただ生きているだけのに、生命の不思議を彷徨っているだけなのに、どうしてこんなに悩まされるのか。神様は何が目的なのか。この時期のお悩みナンバー1、花粉症。不思議なことに今年はいつもよりひどくはなくて楽なほうな気がするものの、気温が高くて風がある日は外に出るのが怖いです。基本、この時期の洗濯物は部屋干しです。乾燥機付きの洗濯機が欲しいです。
春、別れと出会いの季節。カラオケに行くと卒業や別れがテーマの歌を好んで歌います。キュンとして切なくなる、繊細な心情が描かれているのがたまらなく好きです。詞の世界がどんどん自分の目の前に広がって、人混みの中、好きな人を探すあの気持ち、今はもう感じることのない様々な気持ちが蘇ってきたり、叶わなかったいろいろなことに想いを馳せたり。昔は慣れ親しんだ友達や環境と別れて新しい場所へ行かなければならないことがとても苦手で、今でもその傾向は強いけど、今ならもう少し上手に環境が変わることを楽しめたかもしれないなぁ、とふと思います。なんだかとても遠いところまで来てしまったような、センチメンタルな春。生温かい風が吹くと、何かとの別れがなくても少し切なくなって、花粉がまとわりついて、くしゃみをひとつ。
桜が満開になって、町がピンクに染まるとき、こんなに美しいことがほかにあるんだろうかといつも思います。桜を見上げている人ひとりひとりに人生があって、それぞれの思いがあって、みんな違うことを考えているのかもしれないけど、桜はどんな人のことも優しく包んでくれる。それってすごい存在かもしれない。
初めてひとりで海外に行ったとき、泊まる予定の駅にやっとの思いで着いて外に出たら、ちょうど桜が咲いていて、嬉しくて思わず声が出ちゃったことがありました。そうしたら近くにいた工事現場の人たちも笑顔で、みんなで笑い合って、いろいろな不安が安心に変わった瞬間だったなあと、今でも桜の季節になると思い出します。ロンドンの、とても小さな駅でした。
花を見て、きれいだと思う気持ちは世界共通なんだろうな。その気持ちがあれば、世界はいつだって優しくなれるんじゃないかなと思います。かわいい花がたくさん咲いて、みんながきれいだねって隣の人と話して、そんな会話が増えて人々の気持ちが明るくなる、そんな日々がたくさん訪れますように。優しい春が訪れますように。
[材料]
| 乾燥したジャスミンの花 10g
| 水 400g
| 砂糖(できればグラニュー糖) 200g
| レモン果汁 大さじ1
[手順]
01 | ジャスミンの花と沸騰させた水をボールに入れて10分程蒸らす。
02 | 01を漉しながら鍋に入れて、砂糖も入れて中火で煮る。煮立たせすぎると香りが飛ぶので注意する。ときどきかき混ぜながら、砂糖が溶けたら弱火にしてレモン果汁を入れて火を止める。
03 | 好みの分量で水、ソーダ水、牛乳などで割っていただく。漉した後のジャスミンの花を少し浮かせるとかわいい。
※ ジャスミン以外にカモミール、エルダーフラワー、ローズなどもおすすめ。
※ 砂糖の分量を多めにしてヨーグルトにかけてもおいしい。
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