ラッパーや作詞家、文筆家としてのみならず、漫画『ハグトン』を2003年から発表し続け、今年1月には安齋 肇と共にエキシビション「アンザイさいだぁプラス ボクらの新春コト初め展」を京都・トランスポップギャラリーで開催するなど、イラストレーター / 漫画家としても活動するかせきさいだぁが、個展「かせきPOP!」を東京・渋谷 elephant STUDIOにて9月5日(日)から11日(土)まで開催。
“アートプロジェクトプロデュース集団”「WATOWA GALLERY(ワトワギャラリー)」がプロデュースする同展では、ベートーヴェンやモナ・リザなど、数々の名作絵画をモチーフにした「名画シリーズ」や、Michael Jacksonなど著名人を描いた「似顔絵シリーズ」を中心に、F10号からF100号までの新作約20点を展示販売。
「かせきさいだぁ」は、現代日本の新しいポップ・アートを牽引する旗手となる人物かもしれません。彼は、1990年代半ば以降、ポップ・ミュージックの歌詞を引用したラップで注目を集め、今日では日本のヒップホップ界で強い影響力のあるミュージシャンです。彼はエッセイや小説も執筆し、文筆家としての顔も持つ多彩な人物でもあります。
本展は、最初は仲間からの依頼に応じて開始し、徐々にカフェやレコード店でも発表するようになった、かせきさいだぁのアートワークを一挙にギャラリーで見せる初めての機会となります。「カワイイものが大好き」と公言する彼の作品は、その音楽と同様、「ポップな」スタイルで描かれる肖像や風景画ですが、そこにはゴッホやモネ、印象派、浮世絵からマンガやウォーホルまで、雑多な要素がかせきさいだぁ独自の翻訳を通じて宝石のように異種混交的な仕方で詰め込まれています。たとえば、彼の絵画では西洋近代絵画においては忌避される太い輪郭線で描かれていますが、ここには日本的な文脈である浮世絵やマンガを特徴づけるくっきりとしたアウトラインの影響を看取することができるでしょう。
洋の東西や時代を超越した「かせき・ポップ」の真髄を、ぜひ本展にて目撃していただければ幸いです。
――山本浩貴(文化研究者 | WATOWA GALLERY)
■ KASEKI CIDER(かせきさいだぁ)
ソロ・エキシビジョン「かせき POP!」
2021年9月5日(日)-11日(土)
東京 渋谷 elephant STUDIO
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-7-4 1,2F
12:00-19:00
料金 500円-(税込) | ※ 9月9日(木)は観覧無料
ARTSTICKERからの予約制
※ 自身で金額を決定するドネーション・システム(ミニマム500円から入場料を自身で決定し、それが若手アーティスト支援のためのドネーションとなるシステム。アーティスト支援と国内アートシーンの活性化を目的としたアートアワード「WATOWA ART AWARD 2021 EXHIBITION」に寄付されます)
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