Column「実録・KLONNS亜州紀行」


文 | SHV (KLONNS)
写真 | KLONNS

台湾編 2

2/23 台北

 午前中に起床。まずは台北に向かう前に腹ごしらえをすることに。ちなみに、お湯の出ないシャワー問題ですが、朝浴びた組はわりとちゃんと出たそうです。しくじりましたね……。
 
 ホテルをチェックアウトし、向かったのは「肉伯火雞肉飯」という雞肉飯ジーローハンのお店。滷肉飯ルーローハンほど日本での知名度は高くない気がしますが、台湾のド定番料理。蒸し鶏が米に乗っている丼もの料理なのですが、あっさりした味付けで最高にうまい!東南アジアのチキンライス(カオマンガイ)に少し近いですね。ソースの感じはまったく違いますが。その後、向かいのお茶屋さんでプーアル茶をテイクアウトしたのですが、なんとなく警戒して砂糖控えめにしたら何とも言えない苦味(笑)。絶対に砂糖を入れるべきでした……。

Photo ©KLONNS
ジーローハン毎朝食べたい。
Photo ©KLONNS
めちゃくちゃ苦かった。
Photo ©KLONNS
さらば台南……また来ます。

 帰りの電車は行きよりも早い特急で、2時間ほどで松山駅に到着しました。松山駅周辺は初めて行ったのですが、このエリアはオフィス街なのか建物が新しくミニマルな雰囲気。自分が知らなかった台北の一面でした。会場へ向かう前にホテルにチェックインしたのですが、レトロというかバブリーというか、平成初頭くらいの裏社会ものの邦画に出てきそうな雰囲気のホテルで最高でした。翌早朝の便で帰国するので、ほんの数時間しか滞在できないのが残念。チェックイン後、すぐにタクシーで会場へ向かいました。

Photo ©KLONNS
写真だと伝わりにくいけど、節々に感じるバブル時代のヴァイブス。
Photo ©KLONNS
バブリーなホテルでパシャリ。

 本日のヴェニューは「楽悠悠之口 光復南」。200~250人くらい入りそうな比較的大きな会場で、かなり小綺麗な雰囲気。FEVER(東京・新代田)とかに近い感じでしょうか。東京で例えると青山とか表参道のようなビジネス街に位置しており、基本土日のみの営業だそうです。サラリーマンたちがいない時間帯なら苦情も来ないとのことで、ガンガン外に音漏れしていました(笑)。パンク・シーン的にはそこまで馴染みの場所というわけではなさそう。到着するとDEFEAT THE GIANTがちょうどサウンドチェックをしており、ハコの音響としてはクリアな出音ながら低音が若干弱そうだなという印象。まあなるようになるだろうということで、ドラムの出音を主体にして4人全員の音がバランスよく聴こえるように調整してサクッとサウンドチェック終了。今回スペシャル・ゲストとしてDEFEAT THE GIANTのシンガー・Winston(Winston Liao 廖柏任)をフィーチャリングさせてもらうことになっていて、このとき初めて合わせたのですが、バッチリはまっていい感じ!本番が楽しみです。ちなみに音響スタッフで1人、少し日本語を話せるかたがいました。

Photo ©KLONNS
会場の「楽悠悠之口 光復南」入口。
Photo ©KLONNS
普通に日本語音声で放送されていました。

 スタートまで少し時間があったので、軽く軽食を摂ろうかと思い近辺を散策してみました。OOZEEのメンバーが楽屋で食べていたホットドッグが妙においしそうだったので「Salty Dog 塩狗・热狗堡」というお店でテイクアウトしてみました。ホットドッグって基本コッペパンにソーセージが挟まっていると思いますが、この店のホットドッグはトーストした食パンでサンドするスタイル。これが台湾スタイルなのかと思いきや、別にそんなことはないとのこと。数日ぶりに台湾ぽくないものを食べたので、めちゃくちゃおいしく感じましたが、わざわざ海外から台湾に来てまで食べる必要はないと思います(笑)。台湾では夜市とかでご飯を買うとあり得ないくらい安くてうまいのですが、このエリアはビジネス街。全体的に物価が高いというか、日本とあまり変わらないと思いました。

Photo ©KLONNS
めちゃくちゃうまかったけど、台湾感はまったくナシ。

 イベントは夜7時頃にスタート。1番手は台北のハードコア・パンク・バンドOOZEE!Chen(Chen Yi 陳逸 | TOXIC BALD | TWIN PEAKS Records)がヴォーカルの新バンドで、AHAMA YやDEFEAT THE GIANT、共犯結構のメンバーも在籍していました。そのサウンドはBIBやGOONを想起させる、サイケデリック度高めのノイジーでストンピンなハードコア・パンクで、個人的にかなりツボでした。TOXIC BALDと並行してガンガンやってほしいです。なぜか最後の曲だけChenがヴォーカルをギタリストとスイッチしてDビートな曲をやっていたのも意味不明で良かったです(笑)。

Photo ©KLONNS
OOZEE

 続く2番手は前回ツアーの台中公演でも対バンしたAHAMA Y。ベーシストが地藏喇牙(HETEROPOD BUDDHA)のかたに代わっていました。ロウでレイジングで、時にストンピンなサウンドはさらに磨きがかかり、こんなことを言うと偉そうですが、前回演ったときより段違いにカッコよかったです。邪悪すぎて、もはやプリミティヴ・ブラックメタルみも感じました。しかし、後から耳にした情報によると、これが彼らのラスト・ショウ(?)だったとのこと……。これからの活躍が楽しみだと思っただけにとても残念……。とはいえ、このような儚さも音楽の美しさのひとつの側面な気もしますが。

Photo ©KLONNS
AHAMA Y

 3番手は台湾を代表するハードコア・バンドと言っても過言ではないDEFEAT THE GIANT!2023年の来日ツアーも記憶に新しいですね。メンバー・チェンジして、もともとベースだったBobがギター、ベースはOOZEEやスラッシュメタル・バンドMUTATIONの楊昕燁、ドラムもOOZEEの鄧文昊になっていました。バンド掛け持ちしまくり!この日のライヴは4バンドいましたが、メンバー被りまくっているので出演者の合計人数は少なめでした。数年前と比べるとプレイヤーもバンドも減っているそうです。ちなみにDEFEAT THE GIANTは、現メンバーになってから台北で演奏するのはこの日が初とのこと。それはさておき、彼らの演奏はメンバー・チェンジの影響もあってか、元来のユースクルーやオールドスクール / 叙情ハードコアな根幹はブレずして、よりパンク度が増したように感じました。めちゃくちゃカッコよかったので、ぜひまた日本でも一緒にプレイしたいです!

 そしてトリは我々KLONNS。前回のツアーと比べて長めに滞在しているけど、楽しすぎてあっという間に最後の夜。こまめに体を休めた甲斐もあって、リラックスしてステージに臨めた気がします。ド頭のフィードバック・ノイズからモッシュ起きまくりで、Winstonフィーチャリング版「Heaven」もフロアを最高なヴォルテージに高めまくりで大成功だったのではないでしょうか。ただひとつ、ぶち上りすぎた筆者がシャウトする曲名を間違えて予定より1曲多めに演奏するというハプニングもありましたが、ツアー千秋楽なので結果オーライということにしてください(笑)。アンコールもやらせていただいて、無事終了!

KLONNS | Photo ©Willy Chen
Photo ©Willy Chen
KLONNS | Photo ©Willy Chen
Photo ©Willy Chen
KLONNS feat. Winston from DEFEAT THE GIANT | Photo ©Willy Chen
KLONNS feat. Winston from DEFEAT THE GIANT | Photo ©Willy Chen
KLONNS feat. Winston from DEFEAT THE GIANT | Photo ©Willy Chen
KLONNS feat. Winston from DEFEAT THE GIANT | Photo ©Willy Chen

 けっこう広めな会場だったのでスカスカだったらどうしようとか少し心配だったのですが、最終的には前回のツアーで友達になったみんなをはじめ、たくさんのお客さんが来てくれて感無量でした。ちなみにSIGUR RÓSの台北公演と被っていたらしいのですが、まさかのハシゴしてくれた人も何人かいたらしいです(笑)。あと直接の面識はなかったのですが、注目してたノイズアーティストのJared Xu(徐嘉駿 | Berserk)が観に来てくれたのもアガりましたね。アジアのフィルム・スター感漂う佇まいで最高でした。

 終演後は出演者 / 関係者ほぼ全員でレストランへ。円卓を囲むタイプのお店で、次々と出てくる台湾料理たち……。もはやひとつひとつをレビューするには味が豊潤すぎました。押し寄せる旨みの応酬……。あまりのうまさに岡本さんも悶絶していました。あと、台湾に来てからずっと飲んでいるのですが、台湾ビールのラインナップのひとつである、18日しか賞味期限がもたない『ONLY 18DAYS BEER(18天台灣生啤酒)』が本当に素晴らしいですね……。派手な味ではないのですが、クリアで爽快感溢れる、ずっと飲み続けられる最高のビールなので台湾に行くかたはぜひお試しください。

Photo ©KLONNS
ラスト乾杯 in 台北。
Photo ©KLONNS
毎年台湾行きたい。

 気が付けばもう深夜。朝早めの便で帰国予定ということもあり、あっという間に台湾クルーたちとお別れの時間に。別れを惜しみつつタクシーへ……と思ったら岡本さんがまさかの失踪!目撃者の証言によると、突然街へ向かって走り出したとのこと……。エネルギーがあり余ってますね(笑)。どうやら酒屋だかコンビニだかに酒を買いに行ったとのこと。怖いですね~。

 バブリーなホテルで2時間ほど寝て、Willyが手配してくれたタクシーで桃園国際空港へ。最後の最後まで手厚いサポートで本当に助かりました。帰りのフライトも行きと同じエバー航空。ほぼ着席と同時に気絶していたら、気付けば成田へワープ完了。お昼の12時頃に無事帰国して2度目の台湾ツアーも無事完遂しました。

おわりに

 昨年5月のEU / UKツアーを皮切りに、約9か月続いた週末 / 連休オンリーのアジア・ツアーも遂に閉幕……!ツアーというか、ポスターを作りたいがために、あらゆるライヴ予定を日本ツアーということに仕立て上げただけですが(笑)。関係者の皆さまや、足を運んでくれた皆さま、改めて本当にありがとうございました!実は、ありがたいことに今回のツアーで行けなかった名古屋での追加リリース・ショウが決まったので厳密には終わっていないのですが、ここで一区切りという気持ちです。この記事をダラダラと書いたり書かなかったりしている間にGAGとのアメリカ西海岸ツアーもあったのですが、そちらも気力と体力が持てばツアー・レポを書いてみようかなと思っています。読みたいかたは期待せずにお待ちください。あと、2025年も新譜のリリースがありますので、引き続きご注目いただければ幸いです。それではまたどこかで!

KLONNS 'Heaven'■ 2024年4月26日(金)発売
KLONNS
『Heaven』

LUNGS​-​270 | BHR039
https://ironlungrecords.bandcamp.com/album/heaven-lungs-270

[収録曲]
01. Plug-In prod. by Shine of Ugly Jewel
02. Heathen
03. Creep
04. Beherit feat. Arisa Katsu, Bl00dR4y, Golpe Mortal, Lil-D, O.Tatakau, SAGO & 1797071
05. Realm feat. セーラーかんな子
06. Another
07. Nemesis
08. Drown
09. Hill
10. Replica feat. O.Tatakau & 富烈
11. Heaven feat. Golpe Mortal
12. Un-Plug prod. by Shine of Ugly Jewel