KLONNS Europe Tour 2024

Column「実録・KLONNS欧州紀行」

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文 | SHV (KLONNS)
写真 | KLONNS

Day 0

　彼らを評する際に用いられる“東京を代表する――”のイントロダクションや、標榜する“New Wave of Japanese Hardcore”の看板に、もはや何人たりとも異論はないであろう存在となったKLONNS。その約8年に及ぶ軌跡の集大成にして、現メンバー4名・Miura aka Septic Necrovoid（MORTAL INCARNATION）、岡本成央（dr | 珠鬼 TAMAKI, 家主）、SHV（vo | SOM4LI, 珠鬼 TAMAKI）、Zie aka 剤電（b | 鏡, 珠鬼 TAMAKI, XIAN etc.）が持つ技量の結晶でもある初のフル・アルバム『HEAVEN』が今年4月に「Iron Lung Records」「BLACK HOLE」よりリリースされた。本稿は、同作発売に伴ってKLONNSが5月に敢行した欧州ツアーの模様を、シンガー・SHVが克明に綴った実録である。

序文 | 久保田千史


　こんにちは、東京のハードコアパンク・バンドKLONNSでシンガーを務めるSHVです。この度、我々KLONNSは2024年5月にヨーロッパ6ヶ国とイギリスを周る10日間のツアーを敢行しました。このツアーは同年4月末に「Iron Lung Records」（US）と「BLACK HOLE」（JP）のダブルネームでリリースされた1st LP『HEAVEN』のプロモーションの一環として行われ、バンド初の欧州圏ツアーとなったのですが、案の定波乱万丈の日々となったので、ツアー・レポートというかたちで皆さまと記憶を共有したいと思います！

　まずは、今回のツアーに到るまでの経緯を簡潔に。きっかけは遡ること2023年夏。「Klonns in Europe?」という件名の一通のメールでした。恐る恐る開けてみると、「Swamp Booking」のDiegoと名乗る人物からで、シンプルに「ヨーロッパ・ツアーに興味ないか？」というもの。Swamp Bookingとは、SHEER MAG、BAD BREEDING、HOME FRONT、SEXTILEといった現行パンク / ハードコア / ポストパンクの最高峰だけでなく、SWANS、CRIME & THE CITY SOLUTION（!!!）、灰野敬二やPhew（敬称略）といったアンダーグラウンド・ミュージックの大御所の欧州ツアーもサポートしているブッキング・エージェント。これは行くしかないっしょ！ということで、2024年ゴールデンウィーク付近の約2週間に決定！これに触発されて、当時絶賛制作中だった1st LPのギアも上がり、なんとか間に合わせてリリース・ツアーにしようということに。

　そして時はあっという間に過ぎ去り、2024年初春。無事ツアーがアナウンスされてホッとしていると、アメリカ在住の友人で、ポストパンク・バンドNAGなどのドラマーでもあるRyan（Fetter）から連絡が。

　「俺がドライバーやるぜ！ヨーロッパ行くわ」

　何を言ってるんだ（笑）？ありがたすぎるが、さすがに現地の交通事情に詳しい人に任せたほうがいいだろうということで、一旦断りの連絡。しかしここで早速第1トラブルが発生……。ツアー約1ヶ月前になってDiegoから「ドライバーをやる予定だった奴が急遽ダメになってしまった……」とのお達し……。さすがに焦る。とりあえず即Ryanにダメ元で「やっぱお願いできない？」と連絡すると、

　「俺はお前たちの要求に完全に応えられる！」

　スーパーマンか？ありがとうRyan！こうして無事トラブルを乗り越え、なんとかLPリリースも間に合い、いざ成田空港へ！

Photo ©KLONNS
機内にて。おおよその位置情報見られるのウケる。

　今回はUAEの国営航空会社のエティハド航空を利用し、アブダビ経由でスペインはバルセロナへの約21時間フライト。単純に価格と到着時間だけで選んだのですが、かなり至れり尽くせりで大当たり。『ロード・オブ・ザ・リング』を観たり寝たりしているうちにバルセロナへ無事到着！ちなみに今回はイギリスのみ就労ビザを取ってもらい、ヨーロッパには観光ビザで入ったのですが、ギターやシンバル持ち込みでも余裕で通過できました。むしろ人生で体験した中で一番ザルな入国審査でしたね（笑）。

Photo ©KLONNS
バルセロナ空港到着！
Photo ©KLONNS
バルセロナ到着即酒タート。

　空港でRyanとも無事合流し、タクシーでこの日泊まらせてもらうNirzarの家へ。Nirzarはバルセロナで活動する「GREETINGS FROM BARCELONA」というプロモーター・チームのメンバーで、最終日のバルセロナ公演の主催者でもあるスペイン在住インド人。てっきり初日にDiegoと合流するものかと思っていたのですが、彼は最近ドイツに移住したらしく、会えるのは翌週のライプツィヒとのこと。先に言えよ（笑）。Nirzar宅は見晴らしのいい小高い丘陵地にある一軒家で、素晴らしい居心地。NirzarのパートナーのOrgaも出迎えてくれました。巨大な犬もいてかわいかったのですが、客人を噛んでしまうらしく、中庭に追い出されていました。

Photo ©KLONNS
締め出された犬とZie。
Photo ©KLONNS
見晴らし良すぎる Nirzar宅。
Photo ©KLONNS
寛ぐ筆者とRyan。

　いい感じに寛いでいたのですが、ここで第2トラブル発生……。今回、物販用のレコードを「Iron Lung Records」からNirzar宅に送ってもらったのですが、なぜかダンボール3個中2個しか届いておらず……。FedExに電話しようにもこの日（5月1日）はメーデーなので繋がらない……。とりあえず2/3はあるので、最終日までに残りを受け取ってもらい、今ある分でツアーを開始することに。まあ、かなり多めに送ってくれたので大丈夫でしょう！

　気を取り直してバルセロナの市街地へ向かい、本場のバルで本場のタパスを味わったり、サグラダ・ファミリアに圧倒されるなど、唯一のオフ日を満喫しました。ヨーロッパはこの時期サマータイムとのことで、夜9時くらいまで日が沈まなくてビビりました。子供も普通に夜8時くらいまで公園とかで遊んでいるし、感覚バグりまくり。でも1日が長く感じて得した気分（？）。そんなこんなで帰宿し、明日へ向けて就寝！

Photo ©KLONNS
本場のバルとタパス。
Photo ©KLONNS
圧倒的なサグラダ・ファミリア。
Photo ©KLONNS
バルセロナ市街地①
Photo ©KLONNS
バルセロナ市街地②
Photo ©KLONNS
バルセロナ市街地③

つづく……

KLONNS presents VERSUS■ KLONNS presents
VERSUS

2024年7月6日（土）
東京 新大久保 EARTHDOM
開場 18:30 / 開演 19:00
前売 2,500円 / 当日 3,000円（税込 / 別途ドリンク代500円）
U25 2,000円（税込 / 別途ドリンク代500円 / ※ 要ID）
TIGET

［出演］
BELMADIGULA / KLONNS / moreru / TIVE

KLONNS 'Heaven'■ 2024年4月26日（金）発売
KLONNS
『Heaven』
LUNGS​-​270 | BHR039
https://ironlungrecords.bandcamp.com/album/heaven-lungs-270

［収録曲］
01. Plug-In prod. by Shine of Ugly Jewel
02. Heathen
03. Creep
04. Beherit feat. Arisa Katsu, Bl00dR4y, Golpe Mortal, Lil-D, O.Tatakau, SAGO & 1797071
05. Realm feat. セーラーかんな子
06. Another
07. Nemesis
08. Drown
09. Hill
10. Replica feat. O.Tatakau & 富烈
11. Heaven feat. Golpe Mortal
12. Un-Plug prod. by Shine of Ugly Jewel

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