Column「実録・KLONNS欧州紀行」


文 | SHV (KLONNS)
写真 | KLONNS

Day 1


 起床して朝食を済ませ、早速バンにNirzarから借りたアンプなど機材を積み込み、午前中に出発!ここでNirzarとOlgaとは一旦お別れ!

 まずは、ツアー・マーチを受け取るため、バルセロナ市街地にあるマーチ製作所「ARTES OSCURAS」へ。今年3月に来日ツアーを行ったIRREALのメンバーJuanとチリから移住したCromi(FARMACO)のカップルらによって運営されているお店で、プリントの出来にも大満足!ちなみにJuanもコロンビア出身なので、スペイン語圏の中で移住するパターンはけっこうよくあるみたいですね。早速初日の会場があるフランス・トゥールーズへ!

Photo ©KLONNS
ツアー・バンとRyan。

 トゥールーズはフランス南部に位置するフランス第4の都市で、レンガ造りの建物が美しい歴史ある街らしい。バルセロナから車で約5時間くらいなので、楽ちんだねーとか言っていたら、交通ルールの違いにやられ、いきなり事故りかけるRyan(笑)。ともあれ無事にトゥールーズに到着!スペインからフランスに入ったあたりの景色がとても美しく、たやすくおフランス気分に……。

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スペイン国境付近のフランス。
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トゥールーズの街並み。

 会場の「Le Ravelin」はステージ付きのバーという感じで、到着するとすでに外のテラス席で飲んでる人もチラホラ。本日のプロモーターは対バンのASPHALTのギター・ヴォーカルでもあるAurore(Roro Bitume)主宰の「Bitume Rugueux」で、フランス訛り + 超絶早口英語にいきなり喰らう一同(笑)。

 参考までにヨーロッパにおけるツアーのシステムを軽く説明すると、ツアー全体をコーディネートする役割がブッキング・エージェントで、各地のイベントを実際にブッキングするのがプロモーターという感じに分担されています。ブッキング・エージェントがバンドの情報を各都市のプロモーターに流し、反応と日程などを加味してルートを決めるという流れ。勿論、これはあくまで自分らの場合であって、シーンやジャンルによって違う部分はあると思いますし、エージェントを噛ませずに自分の持っているコネクションをフル活用して、各地のプロモーターなりバンドなりと連絡を取り、よりDIYにツアーを組むことも不可能ではないと思います。少し前まではそういったやりかたのほうが主流だったのではないでしょうか?

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Le Ravelin前①
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Le Ravelin前②

 会場に到着すると早速機材の搬入に。ヨーロッパは基本的に、日本のライヴハウスのようにアンプやドラムセットが常設されていないので、毎回搬入があたりまえ。そして、ここでドラム椅子を積み忘れていたことが発覚……。幸い会場にあったので大丈夫でしたが、この先の日程はプロモーターか対バンに椅子だけ借りることに……。恥ずかし過ぎる(笑)。積み込み時には忘れ物がないか、しっかり確認しましょう(笑)!椅子忘れ以外は滞りなくサウンドチェック完了!

 さて、気になる対バンのASPHALTは、RIXEの来日ツアーのときに帯同していて知り合ったMomoのバンド!東京で知り合った友達と向こうの地元で再会できるの最高!ちなみに彼はTHE CHISELやRIXEのツアー・メンバーとしても大活躍しています。Oiパンクの影響も感じつつ、どこか哀愁漂うパンクロックで、音出しの時点で昂まりました。

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Flyer by Nicky Rat

 サウンドチェックが終わるとディナータイム。そう、ヨーロッパではプロモーターが食事と宿を用意するのが基本なのです(これもシーンによって違うかもです)。貰っていたタイムテーブルに“Dinner”の文字があってアガりました。この日はMomoお手製の「アッシ・パルマンティエ」という、牛挽肉をマッシュポテトで覆ったグラタン的なフランス家庭料理。写真を撮り忘れましたが、めちゃくちゃうまい!ちなみに彼は以前、米にレモンの皮を塗した謎料理を作って大顰蹙を買ったことがあるとのこと。人は変われる……。

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ディナー中の我々。肝心のメインディッシュは写っていない。
午後8時でこの明るさ。

 そうこうしているうちに会場オープン!正直、フランスの地方都市で、しかも平日2マン・ショウでお客さんとか来るのかなーと思っていましたが、そんな不安をよそに溢れかえる人々……。満員御礼で嬉し過ぎる。これは自分らの知名度云々ではなく、その地域のパンク・コミュニティやバンドがしっかりと、オープンな雰囲気で存在しているからだと感じました。そもそも会場も音漏れとか1mmも気にせず爆音が街中にダダ漏れという、物理的にもオープンな感じなんですが(笑)。

Photo ©KLONNS
初日から満員御礼ありがとうございました。

 この日の客層は老若男女さまざまという感じ。自分らの演奏は初日としてはいい感じにやれたかな。最前ではスキンヘッドの若者がモッシュしまくっていて最高でした!無事初日を乗り越え、物販も好調でホクホクした気分だったのですが、この後に待ち受ける受難を誰が想像出来ただろうか……。

Live photo ©Blast Radius Photo

 みんなに別れを告げ、Auroreが予約してくれた民泊に向かうと、何かがおかしい……。キー・ボックスに暗証番号を入れて鍵を取り出すセルフ・チェックインの宿だったのですが、どこをどう探しても……鍵が……ない(笑)!!! しかも部屋の中に人の気配がある気がする……。

 時刻は既に深夜……異国でこれはキツすぎる……。仕方なくAuroreに連絡するも、刻一刻と過ぎゆく時間……床で寝始める三浦……。1時間くらい経って、オーナーらしきアジア系女性が現れるも、英語を全く話せないらしく一向に話が進まず……。するとそのオーナー、怒鳴りながら扉をブチ叩き始める(笑)。おそらくダブル・ブッキングをかましており、先に入っていた客を追い出してどこかのホテル?に移動させるらしい……。ヤバ過ぎる……。俺らがホテルに行けばいいのでは?と思いつつコミュニケーションがうまく取れないので諦め、とりあえず外で待っていると、なんと出てきたのは子連れの一家……。俺らに何の非もないけど気分悪いだろ……。しかも翌朝8時出発なのに、この時点ですでに3時過ぎ……。しょうがないので考えるのをやめ、就寝……。

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床で力尽きるKLONNS①
Photo ©KLONNS
床で力尽きるKLONNS②
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せめてもの健康的な朝食。ツアー中フルーツをたくさんいただきました。

はたしてKLONNSは立ち直れるのか!がんばれKLONNS!つづく……

Day 0 | Day 2

KLONNS presents VERSUSKLONNS presents
VERSUS

2024年7月6日(土)
東京 新大久保 EARTHDOM

開場 18:30 / 開演 19:00
前売 2,500円 / 当日 3,000円(税込 / 別途ドリンク代500円)
U25 2,000円(税込 / 別途ドリンク代500円 / ※ 要ID)
TIGET

[出演]
BELMADIGULA / KLONNS / moreru / TIVE

KLONNS 'Heaven'■ 2024年4月26日(金)発売
KLONNS
『Heaven』

LUNGS​-​270 | BHR039
https://ironlungrecords.bandcamp.com/album/heaven-lungs-270

[収録曲]
01. Plug-In prod. by Shine of Ugly Jewel
02. Heathen
03. Creep
04. Beherit feat. Arisa Katsu, Bl00dR4y, Golpe Mortal, Lil-D, O.Tatakau, SAGO & 1797071
05. Realm feat. セーラーかんな子
06. Another
07. Nemesis
08. Drown
09. Hill
10. Replica feat. O.Tatakau & 富烈
11. Heaven feat. Golpe Mortal
12. Un-Plug prod. by Shine of Ugly Jewel