Column「実録・KLONNS欧州紀行」


文 | SHV (KLONNS)
写真 | KLONNS

Day 6

Photo ©KLONNS
VERAにて優雅な朝食。

 気付けばツアーも折り返し地点。6日目の目的地はドイツ・ライプツィヒ!実は渡航前からライプツィヒでの公演についてはいろいろと懸念点がありました。というのも、ドイツ国内では「反ドイツ(Antideutsche)」と呼ばれる左派運動があるのですが、ものすごく簡略化して説明すると、反ネオナチの観点からイスラエルを支持するという、はっきり言って自分の感覚からすれば倒錯し切った思想(ほぼ英語の記事しかないですが、詳しくは調べてみてください)で、この「反ドイツ」もしくは親イスラエルのパンクスの温床になっているのがライプツィヒ、という情報があったためです。それ以外にも、昨今ではパレスチナ支持を表明しているアーティストやDJのドイツ公演が会場側からキャンセルされる、もしくは出演辞退などが相次いでおり、思いっきり「SMASH ELBIT SYSTEMS」なんていうシャツ(Design by Jack Sabbat!)を着てライヴをしている我々としては、実際そういう状況に出くわした場合、どう行動すべきだろうかというのは度々バンド内でも話題になっていました。

 とはいえ、あくまで東京で人から聞いた話。時間を少し巻き戻して3日前、ロンドンでBAD BREEDINGのChris(Dodd)が観に来てくれて、せっかくなのでこの話題を振ってみました。彼曰く「君たちがプレイする会場は絶対大丈夫だよ!でもハンブルクでライヴしたときはそういう奴もいたな~。」とのこと。とりあえず一安心(?)。いずれにせよ、何事も実際に足を運んでみないとわからないよねということで、フローニンゲンの美しい街並みを名残惜しく感じつつ、ライプツィヒへゴー!

Photo ©KLONNS
さらばフローニンゲン。

 そして、ここで久々の(?)トラブル発生!完全に筆者痛恨の凡ミスですが、フローニンゲンを離れて高速に乗ったあたりで、昨日の会場兼宿の鍵を返し忘れたことに気付く……(泣)。慌ててHaicoに連絡すると「ドイツから郵送してくれればいいよ~」とのこと。軽い(笑)。よくあるトラブルらしいです。しかし面倒なタスクを増やしてしまった……。それにしても、今回のツアーは鍵にまつわるトラブルが多かったですね……。

Photo ©KLONNS
ドイツにイン。

 そんなこんなでクラウトロックやRAMMSTEINを爆音で聴いてるうちにライプツィヒに到着しました。この日の会場は「ZxRx」というスクワット。スクワットとは、誰も使わなくなった建物をパンクスが占拠した場所のことで、日本ではとても想像し難いのですが、ヨーロッパでは各地に点在しています。詳しくはわかっていないのですが、国によっては一定期間住んでしまえば住む権利を得られるのだそうです。違法なのでもちろんGoogle Mapには載っていません。パッと見は普通に廃墟ですが、ちゃんと電気も水道も通っていました。余裕で近所にフライヤーとかを貼りまくっているし、もはや公然の秘密基地なのですが、写真は基本NGとのことで、今回はほぼテキストのみでお楽しみください……!

 建物はもともと学校とかだったのかな?という造りで、ボロボロだけどなんとなく懐かしい感じ。キッチンとダイニング・ルーム、寝室が最上階にあって、ベッドは思ったよりも綺麗で安心しました。あと、行きそびれたのですが、2階にはレコード・ショップがありましたね。また、建物内には住人向けのエリアがあって、そっちには入れなかったのですが、何人かパンクスが住んでいる様子でした。ちなみに、先日のDOLDREY(シンガポール)来日時、ドラマー・Farhan(Muhd)のパートナー・Miraが、DOLDREYが「ZxRx」でプレイした日の夜、寝室でガチの幽霊を見たと話していて背筋が凍りました……。霊感なくてよかった……。

Photo ©KLONNS
ライプツィヒの街並み。欧州のグラフィティはこの街に限らずすごくカラフルでした。

 さて、この日のプロモーターはMalteという「ZxRx」のブッキング担当的なポジションの男。とても気さくな人柄で、フローニンゲンへ鍵を郵送するのも手伝ってくれました(泣)。感謝!お客さんやスタッフの人たちを見る限り、Chrisが言っていた通り、親イスラエルの人は出入りしていなさそうな感じでしたね。

 サウンドチェック後、近所を散歩してみたのですが、通行人が全くいない上に、店もほとんど閉まっていて、ゴーストタウンさながらの雰囲気でした。失礼ですがグレイ・シティというワードがよく似合う感じ(笑)。あるお客さんによると、ドイツはストレスフルなので、暗くなるとみんな家に引き籠もって速攻寝るらしいです(本当か?)。

 そして、この日にようやく、我々のブッキング・エージェントであるDiegoとの邂逅を果たしました。彼はメキシコ出身で、バルセロナに移住した後に、ライプツィヒに行き着いたとのこと。何かについて肯定的に話しているときにめちゃ投げキッスみたいな仕草をしていて、リアル・メキシカンを感じました(笑)。この時点ですでに来年以降の話を振ってきたりと気が早い。ちなみに「ヨーロッパツアーで10日間は短すぎるぜ!」と再三言われましたが、その通りだと思います。今回、コペンハーゲンやらミラノやらウィーンやら、かなりいろんな都市のプロモーターからオファーがあったらしいのですが、全然日数が足りませんでしたね……。ひとまず、Diegoと彼のパートナーのAndreaとMalteと乾杯!

ライプツィヒ公演のフライヤー。近所の建物とかに貼られまくっていたが、大丈夫なんだろうか(笑)。

 気付けば夜も更けてきて、オープン時間に。外の様子から察するに、お客さん全然来ないだろうなーと思っていましたが、蓋を開けてみればけっこうお客さんが入っていて一安心。ライヴ・スペースはわりと広くて、広さを2~3倍にしたEARTHDOMという雰囲気。スクワットと言いつつ、けっこうライヴハウスっぽかったです。勝手にEINSTÜRZENDE NEUBAUTENのビデオみたいな感じを想像していました(笑)。お客さんの反応はわりとシャイな感じでしたが、アンコールもあり、まあそれなりに良かったのかな?

 寝床が会場にあると楽チン。さっさと搬出だけ済ませ、寝室へ……。しかし、シャワーを浴びようとするも、なぜか水しか出ない……!耐え忍んで冷水シャワーを浴びる岡本……!筆者は翌朝DiegoとMalteと会場で朝食を摂る約束をしていたので、明日なんとかしてもらおうということで諦めました(笑)。Ryanの恋バナを聞きつつ就寝!

つづく……

Day 5 | Day 7

KLONNS presents VERSUSKLONNS presents
VERSUS

2024年7月6日(土)
東京 新大久保 EARTHDOM

開場 18:30 / 開演 19:00
前売 2,500円 / 当日 3,000円(税込 / 別途ドリンク代500円)
U25 2,000円(税込 / 別途ドリンク代500円 / ※ 要ID)
TIGET

[出演]
BELMADIGULA / KLONNS / moreru / TIVE

KLONNS 'Heaven'■ 2024年4月26日(金)発売
KLONNS
『Heaven』

LUNGS​-​270 | BHR039
https://ironlungrecords.bandcamp.com/album/heaven-lungs-270

[収録曲]
01. Plug-In prod. by Shine of Ugly Jewel
02. Heathen
03. Creep
04. Beherit feat. Arisa Katsu, Bl00dR4y, Golpe Mortal, Lil-D, O.Tatakau, SAGO & 1797071
05. Realm feat. セーラーかんな子
06. Another
07. Nemesis
08. Drown
09. Hill
10. Replica feat. O.Tatakau & 富烈
11. Heaven feat. Golpe Mortal
12. Un-Plug prod. by Shine of Ugly Jewel