Column「実録・KLONNS欧州紀行」


文 | SHV (KLONNS)
写真 | KLONNS

Day 9

 8時前くらいに眠い目を擦りつつ、なんとか起床。起きるとReneさんが朝食を用意してくれていて感謝……。「お前ら最高だったからいつでも戻って来てくれ!」とありがたいお言葉をいただき、フランスはサン=テティエンヌへ出発!

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朝食会場に様変わりしたKafe Kult。たしかにカフェ感ある。
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毎日こういう朝食食べたいかもしれない。

 本日のルートは、オーストリアとスイスを通過してフランスへ向かう9時間越えコース。あと2日あればウィーンとチューリッヒでも演奏できたのですが、残念ながら叶わず。正直どちらの都市も現在のシーンについては全くわかりませんが、景色を眺めつつ、まだ見ぬ人々に思いを馳せながら通り過ぎました。

 ちなみに、ヨーロッパは基本的にシェンゲン協定によって、一度圏内に入ってしまえば入国審査なしに隣の国へ移動できるのですが、スイスに入ったときだけ軽い入国審査がありました。入国審査といっても高速のゲートみたいなところでパスポートを見せるだけですが。入管の人に「どんな音楽やってるの?」って聞かれて、何故か咄嗟に「ロック」と答えてしまった……(笑)。

 Ryanが連日のヴィーガン・フードで肉が食べたくて仕方がない様子だったし、2日前に本国で発生したバン事故でショックを受けていたのもあり、スイスのサービスエリアでランチを摂ることに。スイスの通貨は€ではなくSFr(スイスフラン)なので、クレジットカード一発勝負。普段QUICPayとか使っている人はそのままApple Payとしても利用できます、ちなみに。そしてSFrも€に負けず劣らずバリ高い……。$の比ではない……。一番安そうなハンバーガー屋でも1人¥2,000近くしました……。バンドのツアーなので基本朝食と夕食にはありつけるし、余った食材ももらえるので、その気になればほとんどお金を使わずに過ごせるのですが、旅行とかだとけっこう貯金して行かないと厳しいと思いました……。ただ、もちろん有料トイレは日本の百貨店並みに綺麗だったのには感動しましたね。しかしこの先、地獄のトイレが待ち構えていることを我々はまだ知らない……。

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スイスのSA。デパート並みにたくさんのお店が入っていました。上りサイドへも下りサイドへも渡り廊下で移動できるの便利。
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スイスにて。次はライヴやりたいね。

 ロング・ドライブの末に、なんとか夕方頃サン=テティエンヌに到着しました。本日の会場は「Entre-Pots Cafe」というステージ付きのバー。天井が高いRuby Roomのようなイメージの場所でした。1990年代にDROPDEADがプレイした会場らしいです。プロモーターはフレンチDビート・パンクDELETÄRのメンバーとしても知られるBefaさん。来日もしてるので、日本でも知っているかたは多いと思います。

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Entre-Pots Cafe。

 とりあえずトイレ行くかーと思ってドアを開けてみると異変が……。一般的な洋式トイレなのですが、便座が……ない……?! おわかりいただけただろうか?蓋ではなく、用を足すときに座るプラスチック樹脂の部分がないのです……。腰を浮かせて使うのか、気にせず直に座って使うのだろうか……。しかし、後ほど知ることになるのですが、この街のトイレの中では全然綺麗なほうだという悲しい事実を誰が予想できただろうか……。

 さて気を取り直して、サン=テティエンヌがどんな街なのかというと、周囲を工場に囲まれた、いわゆる工業都市。比較的歴史の浅い街なのですが、UNESCOの「Creative Cities of Design」に指定されているだけあって街並みは整った感じでした。しかし、そこいらで小競り合いや喧嘩っぽい場面を見かけたり、治安は良くなさそう(笑)。

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洒落たデザインの市庁舎。さすがデザイン都市。
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広場にあった噴水。
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欧州で一番直線距離が長い路面電車の線路らしい。

 搬入やらを済ませた後、Zieさんと公衆トイレをチェックがてら散歩してみることに。とりあえずGoogle Mapを頼りに最寄りのトイレに行ってみたのですが……。待っていたのは筆舌に尽くしがたいほど酷い光景……。汚いので詳しく描写はしませんが、Google Mapのレビューに「まるで地獄のようだ」とか書かれてたので察してください……!

 この日の対バンはフランス国内をツアー中のバンドで、宿も同じ場所に泊まるとのことで、Befaに「どんな人たち?」と聞いてみました。すると……

 「いや、よく知らないんだ。たぶんあんまりカッコよくないと思う」

 おい(笑)!!!!! 本当は地元のバンドもしくはDELETÄRで出るつもりだったのが、ブッキングがうまくいかずこういう結果になったらしい……。まあ親切な人たちではありましたが……。DJの方々の選曲が素晴らしかったのがせめてもの救いでしたね……。

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サン=テティエンヌ公演のフライヤー。

 集客的には平日の地方都市としてはまあまあかなという感じでしたが、意味不明なタイミングでブチ上がって絶叫する男性、ジャパコア大好きお姉さん、ヨレすぎて物販が買えずバーの店主に金を借りるおじさんなど、濃いメンツでおもしろかったです。あと、Befaが自分らのSNSアイコン(Design by Bleed Boi)をデコレートしたケーキを作ってくれたのですが(ヘッダー画像参照)、どう読んでも「クロノス」だったのも良かったです(笑)。ありがとう。

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ヴェジタブル・カレー、ココナッツ・ミルクが効いていてうまかった。

 終演後、機材を撤収していると、会場のテラス席で机がひっくり返ってグラスが割れまくるほどの大喧嘩が勃発!ある意味、一番海外に来た感があった瞬間だったかもしれません(笑)。ちなみに、喧嘩していたのはライヴの客ではなく、ただ飲みに来ただけの客とのこと。基本的には普通のバーなので、ライヴの入場料を払わなくてもテラス席で飲むことは可能なのです。我々のお客さんたち曰く「サン=テティエンヌのパンクのライヴで滅多にこんなことないよ」とのことだったので、もしこの街にツアーで行く予定があるかたはご安心ください(?)。

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狂った街にも月は輝く……。
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この後、血で血を洗うバトルが勃発しました。
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サン=テティエンヌやばすぎる。デスロさん助けて!のポーズ。

 この日の宿は地元のパンクスの一軒家。ツアーの予定表に「punkhouse, but CLEAN and QUIET」と書いてあったので信用ならねえなと身構えてましたが、文字通りの良い人たちでした……。いろんな要因でかなり消耗したので、ツアー最終日に向けて早めに就寝!

明日はいよいよ最終日!もう一息だクロノス!つづく……

Day 8 | Day 10

KLONNS presents VERSUSKLONNS presents
VERSUS

2024年7月6日(土)
東京 新大久保 EARTHDOM

開場 18:30 / 開演 19:00
前売 2,500円 / 当日 3,000円(税込 / 別途ドリンク代500円)
U25 2,000円(税込 / 別途ドリンク代500円 / ※ 要ID)
TIGET

[出演]
BELMADIGULA / KLONNS / moreru / TIVE

KLONNS 'Heaven'■ 2024年4月26日(金)発売
KLONNS
『Heaven』

LUNGS​-​270 | BHR039
https://ironlungrecords.bandcamp.com/album/heaven-lungs-270

[収録曲]
01. Plug-In prod. by Shine of Ugly Jewel
02. Heathen
03. Creep
04. Beherit feat. Arisa Katsu, Bl00dR4y, Golpe Mortal, Lil-D, O.Tatakau, SAGO & 1797071
05. Realm feat. セーラーかんな子
06. Another
07. Nemesis
08. Drown
09. Hill
10. Replica feat. O.Tatakau & 富烈
11. Heaven feat. Golpe Mortal
12. Un-Plug prod. by Shine of Ugly Jewel