Column「実録・KLONNS米国紀行」


文 | SHV (KLONNS)
写真 | KLONNS

ポートランド編

Day 2: ポートランド

 午前中に起床。深夜イベント明けにしてはすっきり起きれた気がします。まずJeffの車でJoseの家へ向かい、アンプやケーブル、ドラムキットといった機材をGAGのツアー・バンにロードイン。Jose宅のガレージには練習スタジオがあって、やはりこういうところがアメリカと日本とで一番差があるポイントだよなーと思いました。自宅でバンド練習やれたらどんなに楽なことか……。Joseのパートナーと母親とも挨拶を交わし、いよいよポートランドへ向けて出発!と思ったら、Jeffは他のメンバーのピックアップおよびJensen宅で我々のレコード等を受け取りに行ってくれるらしく、Adamと我々4人のみツアー・バンに乗ることに。そもそもJeffはLAから車でシアトルまで来ているため、乗って帰らなければならないのでした……。

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さらばカウボーイ。CHAPTERHOUSEのジャケみたいだね。
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シアトルには古くなったスニーカーを木に吊るす風習があるらしい。
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Jose宅のガレージ・スタジオ。
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バンへ機材をロードイン。

 まずはワシントン州オリンピアへ向かうことに。道中、西海岸名物だというカスタム・バイクの集団の爆走を見かけるなど、想像していた“アメリカのハイウェイ”を体感することができました。Adamセレクトの車内BGMはFRONT 242などをはじめとするEBM / インダストリアルで趣味が合いますねという感じ。ワシントン州の豊かな緑の風景にはそれほどマッチしませんが(笑)。後日Adamに「好きな日本のミュージシャンはいる?」と聞いてみたところ、Susumu Yokotaだと答えて最高だなと思いました。GAGの2ndアルバムに収録されているインダストリアル曲はAdamの趣味が大きそうです。

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GAGのツアー・バン車窓。
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カカシ先生もいます。

 巨大なスーパーマーケットに寄って日用品をゲットしたりしつつ、昼過ぎにオリンピアに到着。GAGはこの街で結成されたとのことです。人通りは少なく、真昼間から駐車場でぶっ飛んだ状態で倒れている男性がいるなど、サバーブ感が強い印象でした。Jeffたちの車もほどなくして到着。しかし、目的地だったGAG行きつけのピザ屋が営業していなかったため、すぐ近くにあるダイナーでランチすることに。するとどこからともなくGAGの友人軍団が登場!さすが地元(笑)。ひとしきり挨拶を交わすも、全然名前が覚えられない……。総勢15人くらいでダイナーの奥のバー・スペースに陣取ってハンバーガー・セットを注文。値段は$15くらいでしたが、まさかのGAGが奢ってくれました……。感謝。しばらく経っても誰が誰なのかわからない状態だし、人見知りも発動して静かにハンバーガーを貪るKLONNS一同(笑)。GAGフレンズに「君たち静かだね」と言われる始末(笑)。ハンバーガーは美味でした。ミーハーにつき、アメリカに行ったら絶対ダイナーとモーテルには行ってみたいと思っていたので、ひとまずアメリカ・ツアー第1チェックポイント通過という感じです(?)。

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曇天のオリンピア。
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ダイナーの奥には怪しいバーが……。
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ファースト・ハンバーガー・イン・USA。
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いつかオリンピアでライヴしてGAGフレンズにも観てもらいたいね。

 腹も膨れたところでポートランドへ向けて出発!ここからCasey、Landon、Joseもツアーバンに乗り込み、いよいよ本格的にツアーバンという様相に。Caseyがめちゃくちゃ積極的に話しかけてくれて、本当に良い奴だなとしみじみ……。ポートランド出身のバンドって何がいるっけとか雑談しているうちに、2時間ほどでポートランドのヴェニュー「Black Water Bar」に到着しました。この場所はレコード屋、ライヴ・スペース、バー兼ヴィーガン・レストランが一体となったお店で、到着した時には普通にレストラン営業をしていました。パンクの格好をした子どもが両親と食事している微笑ましい光景はなかなか日本では見られないんじゃないでしょうか。そもそもパンク・シーンに若者がほぼいないのが現状ですが……。

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Black Water Bar
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ガス・ヴァン・サント監督『エレファント』の舞台にもなったPDXシティ。

 せっかくなのでレコード屋を物色していると、いきなり見知らぬティーンに日本語で話しかけられてビックリ。地元の高校生で、日本語は授業で習っているから少し話せるとのこと。頭いいな……。なんと、あとで友達とライヴに来てくれるとのこと!嬉しいですね。

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レコ屋には散財の危険が潜んでいる。
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発見しました。

 機材の搬入が終わり、近所のセブンイレブンで食料や水分を調達することに。見慣れないエナジー・ドリンクやスナックにテンションが上がりました。Caseyのレコメンはホットドッグ。引き出しからパンを取り出してセルフでウィンナーを挟み、トッピングしていく豪快なスタイルにびっくり(笑)。でも最近は日本でもホットスナックを客がセルフで取り出すようなコンビニもありますね。味は普通においしかったです。日本のセブンでも売ってくれないかな……。海外に行ったら必ずゲータレードを飲むと決めているのでひとまず購入。なぜ日本では販売終了してしまったのか……。それにしても、アメリカに限った話ではありませんが、海外コンビニでエナジー・ドリンクを同じものを2つセットで買うとディスカウントされるサービスが各国で散見されるのですが、あれはなんなんだろう?めちゃくちゃ安く買えるので、容易くカフェイン中毒になってしまいますね。

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ソーセージの種類が豊富。
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オーストラリアはディスカウントどころか1本無料でもらえた気がする。
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セブンイレブンのホットドッグ。
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アメリカン・スナック・マスター、ケイシー。
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漢たちの背中。

 さて、実はこの日のショウにはひとつ懸念がありました。なぜならばライヴの告知がアメリカ渡航日になっても一向にされない(笑)。本当にイベントあるんだろうかという状態でした……。一応ライヴ2日前にやっと告知されたのですが、そんな直前告知で客が来るのだろうか……。しかも、会場付近を軽く散策する限り、かなりの郊外エリア。通行人もほとんどいません。果たして人が集まるのだろうか……などと要らない心配をしてしまいました。パフォーマンスに集中しろという話ですね。

 ところが蓋を開けてみると、続々と人が集まってくる……!しかも、8割くらいがどう見てもティーンエイジな若者たち……。パンクっぽい格好の人もいましたが、大部分はノーミーな感じ。たまにMARILYN MANSONとか好きそうなニューメタル以降のゴスっぽい人もいて、まるでアメリカの青春学園もの映画のワンシーンのよう(笑)。みんなエントランスで手の甲にXマークを書かれていて、これがリアルSxEか……と感動しました。

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オープンと共に続々と集まるPDXパンクス。
Flyer for PDX show

 対バンのSECRET SERVICEとAGGROも見るからに若い……。AGGROのシンガーの子と話したら、なんと現在14歳とのこと。その年齢でENZYMEのシャツは早熟すぎる……。どちらのバンドもなかなか良かったのですが、特にAGGROは地元を中心にかなり精力的に活動しているようで、今後注目株になるかもしれません。ストンピンかつ少しパワーヴァイオレンス的な要素もあるサウンドでした。筆者が同じくらいの年齢だったときのことを考えると、自分のボンクラ度合いが恥ずかしくなる(笑)。開いた口が塞がりません。

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SECRET SERVICE
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AGGRO

 そして我々KLONNSの出番。途中機材トラブルがあってストップする場面もあったのですが、終始すさまじい盛り上がりで素直に感動しました。キッズたちのモッシュ、エグすぎた。ちなみにツアー・バンにはバックライン一式を積み込んだのですが、会場に借りられる機材がある場合は借りて、すべての機材を毎回降ろしてセットアップする感じではやりませんでした。これがUSハードコア・シーンの通例なのかはわかりませんが、GAGはそういうノリでやっているようです。この日はベーアンは地元バンドが持って来てくれたものを使わせてもらったのですが、超がつくほどの安物だったらしくお陀仏に……。すまんことをした……。

 トリのGAGはもちろん外れなし。すさまじいパフォーマンスで観客を熱狂させました。アヴェレージが本当に高い……。

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GAG

 結局、心配をよそにイベントは大盛況で幕を閉じました。ドリンクやフードと交換できるチケットを1人数枚ずつくらいもらっていたので、ビールとファラフェルに交換。絶品でした。ちなみに、GAGはAdam以外はほぼ酒飲まないもしくはSxE。このツアーでは無用な深酒をせずに済みそうです。

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ファラフェルと見せかけたヴィーガン・ナゲット。

 物販も飛ぶように売れ、2日目で早くもカセットテープと日程入りのツアー・シャツ(Design by SOILEDDOVE!!!)はほぼソールド。もっと作ればよかった……。ちなみにテープはインドネシアの「Disaster Records」からリリースされたものがちょうどよく手元に届いたので、機材と一緒に郵送しました。やはりCDよりレコードやテープのほうが人気な印象でした。ただ、GAGの物販にはCDもあったので、近年はCDが少し復権しているのかもしれません。また、RobがGAGのマーチガイをやるついでに我々の物販も超積極的に手伝ってくれて本当に助かりました……。頼れるアニキすぎる。

 撤収時間となり、今夜はポートランドには泊まらず、数時間移動したところのモーテルに宿泊するということになりました。これが噂に聞いていたアメリカツアーあるあるの深夜移動!確かに一度に運転する時間を短縮出来るし、宿泊費も都市部を離れた方がおそらく安いのでかなり合理的。みんなお酒も飲まないし。翌日のカリフォルニア州サクラメントはポートランドから約930kmの彼方。東京から福岡くらいの距離はあり、一気に運転するには相当な根性が必要なので、むしろ他に選択肢はないですね。

 数時間の深夜ドライヴを経て(運転本当にありがとう!泣)、オレゴン州とカリフォルニア州の州境付近のモーテルに到着。「Days Inn」というアメリカ中にある大手ホテル・チェーンで、深夜3時くらいだったと思いますが特に問題なくチェックインできました。アパートのように客室のドアが駐車場に面している、いわゆるモーテルという佇まいで、アメリカ映画でよく観るやつかーと少しだけテンション上がりました。けど部屋の中は普通に綺麗目なビジネス・ホテルという感じでしたね。洗面台にはドライヤーも常設されていてビックリ。筆者は経験則でわざわざ日本からドライヤーを持ってきているので使いませんでしたが、これはめちゃくちゃ親切設計。海外の宿泊施設でドライヤーがあったのは、今のところここだけかもしれません……。

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憧れのモーテル。
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わりと普通にビジネス・ホテルっぽい。
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海外でドライヤー見たの初めてかもしれない。

 半端なく眠かったので、頑張ってシャワーだけ浴びて速攻で就寝!明日は遂にカリフォルニア州へと突入します。

つづく……

NEW REALM FEST 2025NEW REALM FEST 2025

2025年12月13日(土)
東京 渋谷 Spotify O-nest

開場 12:00 / 開演 12:30
前売 5,000円 / 当日 6,000円(税込 / 別途ドリンク代600円)
https://newrealmfest-jphc.stores.jp/items/68b111cb3fed3c53461a667f

Live
BIB / THE BREATH / Bruo / DESTINY BOND / DIKTATOR / DOLDREY / G*U*N*N / HONG! / House Of The Blood Choir / 鏡 KAGAMI / KLONNS / MASSPRESS / MurakuMo / MYSTIQUE / nervous light of sunday / SANOA / SEUDO YOUTH / SHUT YOUR MOUTH / THE SPIT / UNDERSCREEN / ZETTON

Food
豚富

Flyer
Kaya Nanba