Review | しわしわ『blue』 | んミィ『ひかりのうた』 / ゆめであいましょう『おだやかにひそやかに』


文 | 李 ペリー
撮影 | しわしわ, 李 ペリー

| しわしわ『blue』

 しわしわという子と知り合ってから、もう何年も経った。
彼女は芸術家で、絵を描いたり物をつくったりしている。わたしは彼女が描く生き物たちに特に惹かれ、琴線の近い部分を感じて、何年もひとりで計画していた土筆採りに彼女を誘った。
それから付き合いも深まり、一緒に野や海や街へ出かけています。

 ある時、曲を作ったと言って、しわしわはiPhoneから曲を流して聴かせてくれました。それは、ピグミーしわしわという小さなみどり色のサルがアマゾンを探検するというお話の曲。
山あり谷あり草をかき分けジャングルを行く、希望を見いだしながら生きていくことを表すような歌詞にも愛着がわいたけれど、なにより楽曲が素晴らしく、サンプリングや打ち込みで作られるその曲とメロディに、彼女の才能をはじめて知り、驚いたのでした。

 これはたくさんの人に聴いてもらいたいなと、自分の企画した催しでライヴをしてもらいました。まだ通算2回目。初めてしわしわの音楽に触れる人も、1回目から見守る人も皆、そのステージに心奪われていた。
フワフワと地に付かなそうな、でも重心がある和音。転がっていく音たちに、「あのさぁ」と話をしているようなラップとメロディ。もがきながら必死に生きる彼女の真っ直ぐな言葉が音楽になって、見ないようにしている心の部分にも触れられ、引き込まれてしまうのです。

 販売は今のところ本人による手売りのみ。8月9日(金)に東京・小岩 BUSHBASHでライヴがあるようです。カセットを手に入れるチャンス、ライヴと併せて。ぜひ足をお運びください。

しわしわ 'blue'

| んミィ『ひかりのうた』 / ゆめであいましょう『おだやかにひそやかに』

 生まれたばかりの新興レーベル「harusai Records」より、んミィゆめであいましょうのスプリット7”がリリースされました。

 んミィは、ポップと言うにはなんか違和感がある。少しいびつな、その形を崩さないようにそうっと扱いたくなってしまう、そんな音楽。不安定なキーの、狙ったいなたさとは違った、拙さのバランスというか。そんな音たちを並びが変わらないように両手ですくって大事にしたくなる。でももし変わっても、また愛しい違和感になって楽しくなってしまうんだろう。

 ゆめであいましょうの、歌ものとして、歌をひき立てる優しく儚げな伴奏が構成され、そこに乗る美しいメロディ。透き通った、少しだけ気取った声で歌うVo. 羽純さんと、時を遡った所から聴こえて来るようなGt. / Vo. 宮嶋さんの声が印象的。ひとつひとつの楽器と声が、磨かれ方の異なった宝石のようにそれぞれの光を放つ。宮嶋さんの異様に色気のある声に、男女問わず隠れファン多数(※ ペリー調べ)。

 このふたつのバンドが出会った地、「ひかりのうま」(東京・大久保)にて、よく演奏を行なっています。

んミィ 'ひかりのうた' / ゆめであいましょう 'おだやかにひそやかに'

李 ペリー Le Perrie
https://soundcloud.com/leperrie/

李 ペリーDJ。
松井一平、沖 真秀と組んだ“シャロン”、BIOMAN(neco眠る, 千紗子と純太)との“愛燦々”、whatman(odd eyes)との“下水道”、アルマンド率いる“若い芽っこの会”の一員。6月29日に閉店した東京・下北沢 MOREでのレジデント・パーティ「Day In Day Out」は次なる開催地を探索中。8月30日(金)からはサモハンキンポー、坂田律子との新パーティ「SUPER AMORE」が東京・吉祥寺 BAOBABにてスタート。
ミックス作品に『Miscanthus Sinensis Meadows』(2016)、POWELL来日公演時のパフォーマンスを収めた『Le Perrie vs Techno』(2018)などがある。

UPER AMORE SUPER AMORE

2019年8月30日(金)
東京 吉祥寺 World Kitchen BAOBAB

19:00-
投げ銭

[DJ]
坂田律子 / サモハンキンポー / 李 ペリー