2010年代を象徴する論客として2017年の急逝以降も影響力を持ち続ける英批評家マーク・フィッシャー。その原点である2003年開設のブログ「k-punk」から、選りすぐりのエッセイ / 論考を“音楽 / 政治”のテーマで編纂した書籍『K-PUNK 自分の武器を選べ――音楽・政治』(ele-king Books | 3,300円 + 税)が刊行。6月28日(金)より販売が開始されています。
同書は、“文学 / 映画 / ドラマ”にフォーカスした昨年の『K-PUNK 夢想のメソッド――本・映画・ドラマ』(ele-king Books)に続く「k-punk」ベスト・セレクション・シリーズの第2弾。『資本主義リアリズム』(2009)に象徴される、ポピュラー・カルチャー、ことに音楽と紐付いた批評で名高いフィッシャーならではの論考集となっています。
■ 2024年6月28日(金)発売
マーク・フィッシャー 著
『K-PUNK 自分の武器を選べ――音楽・政治』
坂本麻里子 + 髙橋勇人 + 五井健太郎 訳
P-VINE | 3,300円 + 税
四六判並製 | 648頁
ISBN 978-4-910511-70-2
https://www.ele-king.net/books/011401/
「グラム・ロックこそパンクである――歴史的にもコンセプトにおいても」
彼を一躍人気作家にしたブログ「K-PUNK」から選集されたマーク・フィッシャーの原点にして最終作
21世紀初頭において、もっとも影響力のある
労働者階級出身の批評家によるエッセイ / 論考集の「音楽・政治」編
資本主義の向こう側に突き抜けるための思考の記録思想家 / 批評家、マーク・フィッシャーの人気を決定づけたブログ「K-PUNK」からのベスト・セレクションの第二弾。著書『資本主義リアリズム』で広く知られるフィッシャーだが、彼の批評活動の原点にあるのは音楽だ。その音楽批評には彼の政治思想が共鳴している。グラム・ロックやポスト・パンクからサッチャーにトランプまで。資本主義にも、音楽のレトロ化にも、頭でっかちなアカデミックな考えにも、左翼の高級化にも反対し続けた批評の数々。
[目次]
| 日本語版編者序文
| 第三部 自分の武器を選べ: 音楽関連の著述(坂本麻里子 + 髙橋勇人 訳)
今や恒例、グラストンベリーに対する暴言
アート・ポップ、いや、これは本物のそれの話
k‐パンク、あるいはグラムパンクなアート・ポップの非連続体
反資本としてのノイズ――『アズ・ザ・ヴィニア・オブ・デモクラシー・スターツ・トゥ・フェイド(民主主義の虚飾が消え薄れはじめるにつれて)』
うたた寝から目覚めたライオン、あるいは今日における昇華とは?
今におけるすべての外部
あなたの不快楽のために――ゴスの尊大なオートクチュール
僕たちみんな死んでしまおうが構わない――ザ・キュアーの不浄なる三位一体
光を眺めてごらん
ポップは不死身なのか?
クラーケンのメモレックス――ザ・フォールのパルプ・モダニズム パート1~3
スクリッティの甘美な病い
病理としてのポストモダン主義、パート2
自分の武器を選べ
あるテーマの変奏
ランニング・オン・エンプティ
ユー・リマインド・ミー・オブ・ゴールド――マーク・フィッシャーとサイモン・レイノルズとの対話
戦闘的傾向は音楽を養う
オートノミー・イン・ザ・UK
二一世紀の隠れた悲しみ――ジェイムス・ブレイクの『オーヴァーグロウン』
デイヴィッド・ボウイ、『ザ・ネクスト・デイ』評
すべてを持っている男――ドレイクの『ナッシング・ワズ・ザ・セイム』
ブレイク・イット・ダウン――DJラシャドの『ダブル・カップ』
自分のナンセンスを始めろ!――イーエムエムプレックズとドリー・ドリーについて
スリーフォード・モッズの『ディヴァイド・アンド・イグジット』と『チャブド・アップ:ザ・シングルズ・コレクション』評
テスト・デパートメント――左派理想主義と大衆モダニズムが出会う場
融資なしじゃロマンスはあり得ない
| 第四部 今のところ、我々の欲望には名前がない: 政治に関する文章(五井健太郎 訳)
投票するな、奴らをその気にさせるな
一九七九年十月六日――資本主義と双極性障害
彼らが抗議して、皆が参加したからといって、いったいそれで何になるというのか
ヒドラを退治すること
テロリズムの顔なき顔
衒示的武力と害虫化
私の人生、私のカード――アメックス・レッド・キャンペーンについての注解
グレート・ブリンドン・クラブ・スウィンドル
ストレスの民営化
囲い込み(ケトル)の論理
不満の冬2.0――戦闘性の一ヶ月に関するメモ
フットボール / 資本主義リアリズム / ユートピア
ゲームは変化した
創造的資本主義
現実の管理経営(マネジメント)
UKタブロイド
未来はいまだ我々のもの――オートノミーとポスト資本主義
美学的な貧困
確実なのは死と資本だけ
メンタル・ヘルスはなぜ政治の問題なのか
ロンドン版ハンガー・ゲーム
時間戦争――新資本主義時代のオルタナティヴに向けて
上手く負けるのではなく、勝つために戦うこと
マーガレット・サッチャーの幸福
微笑みとともに苦しむこと
ゾンビの殺し方――新自由主義の終わりを戦略化する
殺人罪を逃れ切ること
誰も退屈していない、すべてが退屈させる
影のための時間
未決状態は終わった
コミュニスト・リアリズム
今こそ痛みを
希望を棄てろ(夏がやって来る)
今のところ、我々の欲望には名前がない
アンチ・セラピー
民主主義とは喜びである
サイバーゴシック対スチームパンク
マネキン・チャレンジ
| 索引
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