毛糸、ビーズ、ボタン、軍手、端布、空き箱など、身近で安価な素材や廃棄せず保管した不要品を材料に、“母 = おかん”が作る手芸作品、通称“おかんアート”。その大規模エキシビション「Museum of Mom’s Art ニッポン国おかんアート村」が2022年1月22日(土)から4月10日(日)まで東京・渋谷 東京都渋谷公園通りギャラリーにて開催されます。
独特のファニーかつユルい雰囲気がファンの心を掴むおかんアート1,000点以上が出展される同展は、作家 / 編集者 / 写真家・都築響一と、兵庫・神戸を拠点に活動する“おかんアートのスペシャリスト”下町レトロに首っ丈の会(伊藤由紀 + 山下 香)をゲスト・キュレーターに迎え、東京都渋谷公園通りギャラリーが主催するもの。性別や肩書にかかわらず“おかん”の感覚を持った様々な作り手による作品が展示されます。2000年代以降に都築が商店街や公民館、道の駅など、日本各地で取材し続けてきたおかんアートを、おかんアートの名手たちの写真と併せて紹介するほか、おかんアートと近しい表現方法ながらも独自の解釈を展開する荻野ユキ子、嶋 暎子、野村知広による作品も「おかん宇宙のはぐれ星」と題して特別展示。
おかんの辞書に断捨離はない。荷物のヒモは丸めて引き出しにしまっておく。輪ゴムは水道の蛇口にかけておく。デパートの紙袋は冷蔵庫の脇に差しておく。とりあえず。そしてある日、おかんにひらめきの瞬間が訪れる——アレをああやったら、かわいいのできるやん!こうしておかんアートは生まれた(たぶん)。
おかんアートとは、文字どおり「おかんがつくるアート」のこと。メインストリームのファインアートから離れた「極北」で息づくのがアール・ブリュット / アウトサイダー・アートだとすれば、正反対の「極南」で優しく育まれているアートフォーム、それがおかんアートだ。見るひとを困惑させ、おしゃれ空間を一発で破壊し、勢いと熱さだけはあふれるほどあり、プロのアート作品にはもちろん、いまや「インサイダー」になりつつあるアウトサイダー・アートやアール・ブリュットにすら存在しない、おかん独自の破壊力。単一の価値観に収まりきらないことが現代美術の特質であるならば、おかんアートはもっとも無害に見えて、もっとも危険なアートフォームなのかもしれない。
――都築響一
■ Museum of Mom’s Art
ニッポン国おかんアート村
2022年1月22日(土)–4月10日(日)
東京 渋谷 東京都渋谷公園通りギャラリー 展示室1, 2 + 交流スペース
〒150-0041 東京都渋谷区神南1-19-8 渋谷区立勤労福祉会館 1F
11:00-19:00 | 月曜休廊
入場無料
※ 2022年3月22日(火)休廊
※ 2022年3月21日(月)開廊
[キュレーター]
都築響一 + 下町レトロに首っ丈の会
※ 特別展示「おかん宇宙のはぐれ星」は、都築響一のキュレーションとなります。
[出展作家]
伊藤由紀 / 奥眞知子 / 尾本節子 / 木越貞子 / 久保山みどり / 系谷美千代 / 香坂司登美 / 後藤知恵子 / 佐藤イヱ / 高桒義一 / 新居光子 / 西村みどり / 藤井孝子 / 藤岡純子 / 松田多瑞子 / 森 敏子 / 山田二三江 ほか
主催: (公財)東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 東京都渋谷公園通りギャラリー
※ 開催内容は都合により変更になる場合がございます。予めご了承ください。
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