文・撮影 | パンス
2024年11月
少しのつもりが、クラブでの酒がけっこう残っており、酔い覚ましにうまいスープが飲みたくなった。そんなわけで朝から乙支路の「뚝배기집(トゥッペギチプ)」に。日本の味噌汁のようなテンジャンチゲというメニューがあるが、ここの名物はウロン(タニシ)で出汁を取った「ウロンテンジャンチゲ」である。タニシがこんなに濃厚な海鮮味の出汁になるとは驚き。
昼過ぎにパク・ダハム君(박다함 Park Daham aka DJ yesyes | Helicopter Records)と「会賢(フェヒョン)のレコード市場でも行きますか」となって合流。「お腹減ってますか」と聞かれ、先ほどのトゥッペギチプからあまり時間は経っていないが、韓国にいる間はできるだけ多くの料理を食べたいと思っているので迷わず行く。南大門あたりにあるカルグクス通りに案内される。細い実の両側にたくさんのお店が立ち並んでいて壮観。IKKOの写真が飾ってあったり、日本人観光客の間でも有名なようだ。巨文島の名を冠した店でカルグクスを頼むと、ナムルを乗せたご飯と、味噌汁、小さなビビン冷麺まで付いてくる。どれもうますぎる。ここはまた来よう。
続いて会賢のレコード市場へ。ここは日本のDJでも知っている人が多いが、地下街の中に、10店舗ほどのレコード店が入っていて、レコード好きとしては嬉しい光景が広がっている。探しに探しまくり、欲しかったレコードを何枚かゲットできた。かなりの稀少盤も。くまなく案内してくれて、店員さんとの交渉などを手伝ってくれたダハム君に感謝。
再びひとりで移動。少し雨が降っていたのだが、だんだん強くなってきた。歩いて忠武路まで移動しようとしたが、これは無理だと地下鉄に乗り、寺沢美遊さんの展示をやっているギャラリー「CODE」に。雨に濡れて、ギャラリーにびしょびしょの姿で現れる人間になってしまった。
ギャラリーはホテルからかなり近かったので徒歩で戻り、荷物をまとめてすぐに地下鉄で加佐駅の「極楽」に。バンド・CHSのメンバーが営むクラブで、事務所も兼ねている。みんなが出迎えてくれた。以前行ったときは夕方から友達とソウルの北のほうにあるローカルな市場まで行って酔っ払いすぎて、クラブでも飲んでヘロヘロになり、コンビニに水を買いに行ったらKim Oki氏と合流して路上でいろいろ話して盛り上がり、しばらくすると僕が行方不明になったとVIDEOTAPEMUSIC氏たちが探してくれていて面目なかった思い出がある。そんな状態だったので当時は気付かなかったのだが、古くからある市場のど真ん中にクラブがある、そのロケーションが良い。
早速酒を頼もうとすると、ハイボールがあるよと言われる。韓国では日本のハイボールがちょっと流行っているようだ。隣の部屋には、以前行ったときにはなかったラウンジができている。すごい。もともとはスタジオとして使っていた部屋を改造したそうだ。日本の純喫茶を意識して作ったという、ちょっとレトロな空間で心地よい。日本の喫茶店に行って食べて学んだというナポリタンをいただいた。うまい。さらにサンドイッチやチャーハンまで出てくるので食べまくる。
そうこうしているうちに僕のDJになった。お客さんも楽しんでくれて嬉しい。みんながハイボールを持ってきてくれて、手元に3つある状態になってしまったが、のんびりと全部飲む。
そんな楽しい時間を経て深夜も遊ぶ。まずは梨泰院のクラブ「Nyapi」に。DJ Sotofettが来ていた。ソウルでの公演は初めてとのこと。フロアには、おそらくSotofettの存在は知らずに酒を飲みまくって遊びに来たであろうたくさんの若者たちが騒いでいて、最高のシチュエーションである。私も、持っていたレコードバッグをフロアの隅のほうに置いて踊りまくる。屋上もあり、けっこう寒いけど居心地良い。
続いて、ハプチョン(合井 합정)にあるクラブ「Modeci」にタクシーで移動。A Guy Called Geraldが来ており、23:00から延々とひとりでライヴをやるという内容で、贅沢すぎる時間だった。こんな豪華な企画なのだが、日本には来ないというのがすごい。ハウスとドラムンベースを行ったり来たりする内容で飽きない。パンパース!と声を掛けられて振り向くと、CHSのパク・ムンチさん(박문치 Park Moonchi)たちも来ていた。みんなで酒を飲みまくる。ここにも屋上があり、行ってみると、マンウォン(望遠 망원)で素敵なバー「villa mariana」を営むMospiran氏や、「The Internatiiional 인터내셔널」のSolさん(Lim Sol 임솔)にも会う。
延々と飲んで踊っていたらさすがにヘトヘトになってしまい、朝方クラブを出て、ホンデまで歩いて電車で帰る。A Guy Called Geraldはその後8:00過ぎまでライブをやっていたそうだ。
11月17日につづく!
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テキスト・ユニット「T.V.O.D.」の片方。
「百万年書房LIVE!』にて「ポスト・サブカル焼け跡派」連載終了、現在単行本制作中。
東アジアの近現代史とポップカルチャーを追う日々。
DJするのも好きです。