Review | 深淵をのぞくとき、まずポパイサンドを食べてみるのだ | 大阪・なんば「珈琲艇CABIN」

文・写真 | 相谷レイナ

　新大阪から品川へと帰る新幹線でこれを書いている。京都を通り過ぎるタイミング。このあたりで毎度涙が出そうになる。もう上京して約1年半が経とうとしているのに……。いつだって帰り道は寂しい。それは生まれ育った関西に数え切れないほどの綺麗な思い出や、もがきながらも積み重ねた日々があって、ノスタルジーを感じずにはいられないからだと思う。

　今回の帰省は北堀江とアメリカ村でのライヴに合わせてのものだった。今年初の大阪でのライヴはとても温かくて、大変な状況下でも待ってくれている人がいることが本当に嬉しい。ただ「また早く帰ってきたいな」と考えれば考えるほど「もっと力をつけてからじゃないと帰ってきてはいけない」なんて考えが過ぎる。温かくて優しくて、売れてもないのに毎日が楽しくて。オアシスみたいなこの街に無理やり別れを告げたあのときの覚悟を思い出した。すぐ怠けてしまう自分はここに置いて帰らないと。

　ホームタウンがあるという事実は、このコロナ禍で何度もわたしを救ってくれている。今回のライヴ / 帰省で再会した人、幸せな気持ち、癒し……心からの感謝を込めて有難うを。また今日から頑張れるなア。

　そしてここにひとつ癒しのお裾分けを。久しぶりに大阪の喫茶店のご飯を紹介します。

　名前の通り、外観 / 内観共に船に見立てられた「珈琲艇CABIN」。本連載第1回で紹介した堀江の「FLORIAN」には本当にお世話になった（ほぼ毎日！）が、その次に思い入れのある喫茶店がこちら。深里橋（近所に住んでいる人も意外とこの橋の名前は知らなさそう……わたしも表示を見るまで「ここは深里橋だ！」と考えたことなど一度もなかった）のたもとに位置している。めちゃくちゃ簡単にいうと道頓堀のやや堀江ゾーンだ。東に歩けば心斎橋、少し南に歩けば難波、北に歩けば堀江。とにかくミナミ・エリアのどこからでも行き易く、どこからも少しだけ離れている。これが心地よくてライヴの空き時間や、友達との待ち合わせまでの暇つぶしによく使っていた。今回も北堀江 club vijonのリハと本番の空き時間に一服しに来た（タバコは吸わないけどねん）。

　「CABIN」では、厳格そうなおじいちゃんがホール作業をしていることが多く、そのためか関西の喫茶店にしては店内が静かで良い（それでも東京の喫茶店よりはうるさいかも！）そして何よりお腹がいっぱいになるフードメニューが豊富だ。今回は大好きなポパイサンドとアメリカンのアイスを注文した。

　最近またぽっちゃりとしてきたのでハーフポパイにしようか、と2秒だけ悩んだが無理だった……。味を思い出すと唾液が溢れてきて無理だった……！「CABIN」で食べられるポパイサンドはほうれん草がピリ辛に味付けされていて、喫茶店なのに中華料理屋さんに来た感覚になる。スパイスが食欲をそそる。食べれば食べるほどお腹が減る（が、量はたっぷり）！ほうれん草のサンドを食べてピリ辛を感じ、たまごのサンドを食べて口をリセット。またほうれん草のほうを食べて……とエンドレス・リピートできる食べ合わせ。最高だ……。

　クリアな味わいのアメリカンを飲み干すと、スパイスが身体に良く馴染んで後味もスッキリ。この日のライヴを配信で見てくれていたスタッフさんから「今日は歌がうまかったですね～」と言ってもらえたが、100%CABINのおかげだと思う。ポパイのようにがっつりとパワーを出したいときはぜひCABINへ。おすすめです　^ ^

　写真フォルダ「2月」を振り返っていると、ちゃんとライヴ・フォトが出てきた。まん防が再度始まってからはライヴ・オファーの連絡がピタリと止まっていたが、やっとまたこの数日間、いくつかオファーの連絡が来たとのこと。少しずつ春が近づいているのかもしれない。あ！2月にレコーディングした曲のマスタリングが上がってきました。3月が終わるまでにリリースできるよう頑張りますねん。

　それではこの辺で。ドロンッ。

〒550-0015 大阪府大阪市西区南堀江1-4-10 B1

平日 7:00-18:00 | 土日祝 9:00-18:00
不定休

※ 営業時間は変更となる場合があります。

■ 2021年11月17日（水）発売
相谷レイナ
『HYPER IMAGE』

［収録曲］
01. Sensation feat. pinoko
02. Translucent
03. Wingding
04. 403 feat. Kick a Show
05. Randomizer
06. Vanilla
07. Cells
08. Paradigm Savage
09. Worms
10. Daydream