Review By 相谷レイナ | 冬、新しい道 | 東京・笹塚「南蛮茶館」 | AVE

Post date
11/27/2024
Posted in Review

　冬の風を纏いながら笹塚「南蛮茶館」に向かって歩くある晴れた祝日。冷たい空気が心地よい。昨年しまい込んだコートを取り出して、なんだか懐かしい気持ちになっていた。

　落ち着いた商店街の一角、階段に「南蛮茶館」の看板を見つける。

　「営業中」の文字を信じながら、やや暗い階段をのぼりきる。ふんわりと豆の香りを感じて、少しの高揚感を胸に足を踏み入れる。

　少し遅めのランチタイムにも関わらずほとんどのテーブル、カウンターが埋まっている店内。元気なマスターがひとりで切り盛りしていた。常連と思われるお客さんと競馬の話に花を咲かせながら「オーダー言ってねー」と声をかけてくれるマスター。ナポリタンとバナナジュースを頼んだ。

　料理が届くまでの間、少しずつ、でも着実に変わり続ける環境や自分の気持ちに耳を傾けてみる。喫茶店の醍醐味。東京に来てからの4年間を思い出したりしてみる。

　サラダとパンの添えられた豪華な1皿が到着。食欲のそそる湯気につられてナポリタンをひとくち。……とってもおいしい！ウインナー、ピーマン、マッシュルーム……さらにはひき肉が絡められた甘い旨みの詰まったソース。何口目になっても後味までおいしい。。あっという間に一皿を完食する。続いて運ばれてくるのはバナナジュース。口当たりがフワッフワで上品な甘さの生クリームがほんのり香る……おいしすぎ。。絶妙な配分に感激しながらたっぷり入ったバナナジュースもあっという間になくなった。

　「少し料理待たせてしまったから安くしとくねー」とマスター。端数をご馳走になった。

　帰り道。始まったばかりの休日をどんな1日にすべきか考えていた。少し散歩してみるのもいい。残り少ない2024年、何をすべきか考えていた。たまには無駄なことをしてみてもいい。