混沌としているけど、どこかにポジティヴな光が差している
取材・文 | AIWABEATZ | 2026年4月
写真 | 中嶋琉平
――1stアルバム『Euphonious』のリリースおめでとうございます。アルバムの話を伺う前に、まずは我々の出会いから振り返りましょう。リョースケくん(RKKR)からELLA RECORDS(東京・幡ヶ谷)の企画「AFTER HOURS SESSION」に誘っていただいたのがきっかけでした。ELLAはもう長いんでしたっけ?
「ありがとうございます。3年ほど渋谷のdisk unionで働いたあとにELLA RECORDSに来まして、今年で5年目になります。近所なのでELLAにはよく行っていて、フリーで編集者をやっていたときに、HYPEBEASTの企画で取材したこともあって、そういったご縁などが重なり」
――ユニオンでも働いていたんですね。その前に編集の仕事をされていたのも興味深いです。やはりレコードは身近なものですか?
「常にレコードを触っている仕事なので、本当に身近ですね。まさかレコードを扱う職業に就くとは思っていませんでした」
――編集の仕事からレコード店勤務に転じた経歴もおもしろいですよね。このふたつって共通点は何かありますか?
「共通点はないかもしれないですね(笑)。ただ、どちらも自分の好きなことだけでなく、自分の知らない世界や時代のトレンドにも敏感に反応して情報を入れて、知識を蓄えながら仕事をしていくことは同じかもしれません。編集者もトータルで8年ほどやっていましたが、音楽はずっと好きだったし、DJもやっていたので、とにかく過去の音楽をレコードからたくさん吸収したかったんですよね。それで編集プロダクションを辞めてdisk unionに入って、今に至ります」
――『Euphonious』を聴いたあとに、レコード店勤務の前は編集の仕事をしていたことを伺って、すごく合点がいったんですよね。だから知識の蓄え方や情報のインプット / アウトプットの部分で共通点があるかもしれないというのには納得がいきました。DJは楽曲製作より前から始めていたんですか? DJという行為にもリアルタイムで編集したり、その場のムードや時代のトレンドへの反応が求められたりする部分がありますよね。
「ミックスCDでテーマに沿った選曲がされているとか、現場でも雰囲気を読みながら空気に合った選曲をするとか、たしかにDJも編集作業と似ていますよね。上京して大学に入ってからなんとなくタンテのセットを買って、高校時代の友人とテクノのDJをやっていたんですが、それと並行して、(Propellerhead)Reasonというソフトと鍵盤付きのMIDIコントローラーを使ってダンス・ミュージックを作っていましたね。そこからまた別の友人とユニットを組んで制作を始めて、THE CHEMICAL BROTHERSのようなビッグビート的なテクノや、ブレイクビーツを作ったり。石野卓球さん主宰の“WIRE”という横浜アリーナでやっていた大きなイベントがあったんですが、実は2011年の開催時、小さなステージに出られる楽曲オーディションがあって、応募したら通ってライヴをやらせてもらったこともあるんです。DJや音楽制作はそこがルーツですね。そのあとは全然活動もせず、徐々に聴く音楽も変化していき、ある日、MADVILLAINの『Madvillainy』(2004, Stones Throw Records)を聴いて衝撃を受け、どっぷりとヒップホップにのめり込んでいくという感じです」
――「WIRE」に出演していたんですね。すごい!当時からサンプリングも技法として使っていたんですか?
「当時は一切サンプリングをしていなかったんですよ。Reasonはシンセ、ドラム・マシン、シーケンサー、エフェクターなどありとあらゆる機材が内蔵されていて、自分仕様のラックを組みながらサウンドを構築できるんですよ。MIDI鍵盤と同期させていろんなシンセをいじっては実際に引いて重ねて、ドラム・マシンでリズムを組んだりしてましたね。当時はとにかくエレクトロニックなサウンドが好きだったんだと思います。Madlibの音楽に出会ってサンプリングという手法や彼らの精神、そしてジャズやソウルという音楽に出会い、レコードに繋がっていきます」
――ビッグビートやブレイクビート・テクノにはサンプリング主体のものも多いけど、その時は打ち込みのエレクトロニックなサウンドを追求していたわけですね。そんな中、Madlibや、彼のプロジェクトのひとつであるMADVILLAINの音楽に出会ってサンプリングのおもしろさに魅了されたと。それまでヒップホップは?
「ヒップホップを聴き始めたのはかなり遅かったですね。27、8歳くらいだったと思います。好きになってからは、年代関係なくかなり柔軟に聴いていた気がしますね。なんでもっと若いときから聴いていなかったんだろうと思いますけどね(笑)。オールドスクールは全然聴かなかったですが、90年代のヒップホップから遡り、いろんなものを聴いて自分の好きな音やスタイルがわかってきた感じがしますね」
――Madlibはラップもすればビートも作るし、自身が演奏するジャズ・プロジェクトもやれば、DJ Rels名義でブロークンビーツも作る。とにかく多才ですよね。他にも影響を受けたものはありますか?
「2014か15年頃からGriselda勢が活発に動き始めて、大学からの友人にWestside Gunnの存在を教えてもらったんです。『Hitler Wears Hermes』シリーズや、『Supreme Blientele』(2018)はよく聴きましたね。サスペンス映画っぽい不穏なムードとか、低ピッチのシンプルなドラムの質感とか、その絶妙な空気感はどこか自分に影響を与えているような気がします」
――Griseldaの名前が挙がるのはとてもしっくりくる話で、というのも『Euphonious』からはRoc MarcianoやKa、それからGriselda以降のプロダクションのムードが感じられたんですよね。すごくかいつまんで言うとドラムレスやドラムを足さない、強調しないプロダクション。もちろんそれだけじゃなくて、使っているサンプルのテイストも相まってですが。
「どうしてこうなったのかはわからないのですが、単純にそういうビートが好きなんだと思います。Madlibしかり、今話が出たRoc Marcianoはラップだけでなく、過去の世界中のさまざまな音楽に敬意を持ってサンプリングをし、現代のヒップホップへ昇華している。これだけテクノロジーが進化しているのに、いまだに肉体的なサウンドというか有機的というか。簡単に言ったら、耳に入ってくるレコードのチリノイズもそうですけど、どこかアナログの匂いがしているんですよね。そういう当時の空気感すらもビートに内包されている感じがたまらなく好きで。AIWABEATZさんも、あるインタビューでおっしゃていましたが、Roc Marcianoの『Marcberg』(2011年)は本当に最高のアルバムですし、Kaの『Grief Pedigree』(2013)もよく聴きました。フルタイムで働きながら好きなことをしている自分にとっては、Kaの生き様にとても感銘を受けたし、ものすごく賢明にヒップホップを体現していたかただったなと思います」
――そのKaが昨年急逝したのは本当に残念でした……。ところで、Marciはたしかビートに声が埋もれないようにするため、あのプロダクションを採用したんですよね。でも、そういう機能性を超えたところで、発想のおもしろさに自分は当時ヤラれました。1st『Marcberg』についてもう少し話させてもらうと、ドラムを強調しないプロダクションが続く中で「Snow」や「Pop」といった要となる曲では従来のブーンバップ的な太いドラムがガッツンガッツン入るビートでやっていて、そこで抑えられていたものが爆発するようなカタルシスが得られて。『Euphonious』にも同様の印象があって、引き算があるからこそ、足してるものが際立つという。
「それが意図的かは置いておいて、その前の楽曲がある意味フリとして効いていて、際立たせたい楽曲にしっかりフォーカスさせるっていうのは絶対にあると思います。初めてのアルバムだったし、最初から最後までひとつの作品として聴いてもらえるように流れをだいぶ気にしたので、足し引きはどこか意識していたかもしれないですね」
――そのバランス感覚こそが今回のアルバムの核だと思うので、編集の仕事をされていた話を伺ったときになるほど!と思ったんですよね。あとこれは自分なりの捉えかたなんですが、『Euphonious』を聴いたときに「soup-disk」や「不知火」、それから当時「不知火」とは別で虹釜太郎さんがやられていた「viola」というレーベルの作品とも近い感触も受けて。特にPotoratchの『3.5.8.13.Arabid』(1999, viola)はどうしてもリョースケくんに聴いていただきたくて、先日半ば強引にお渡ししてしまいましたが(笑)。
「借りたその日にすぐ聴いて、完全に刺さりましたね。初めて知った作品だったのですが、ジャズや電子音楽、フィールド・ミュージックの要素が感じられて、コンテンポラリーさもありました。なんか映画的な作品ですよね。日本人らしい抒情的なニュアンスも感じられるというか。アートワークもミニマルで、CD盤のデザインとケースに貼られたステッカーのみという。カニエの『Yeezus』(2013)みたいな(笑)」
――そうそう、『Euphonious』からもその“映画的な”要素が感じられて、そこに共通性が見えたのかもしれない。コストの問題だろうけど、「360°」や「不知火」「viola」「radio」といった虹釜さんが主宰していたレーベルはあのデザインを90年代からやられていて、『Yeezus』が出たときは逆にあっ虹釜さんだ!と思ったものです(笑)。アートワークといえば『Euphonious』は我々の共通の友人である「Let LOOSE」の(安田)光作くんが担当していますよね。
「生地選びから始まり、すべてをハンドメイドで行う彼の服作りに対する姿勢や考えが、自分の制作ともリンクして。DJとしても大きな影響を与えてくれたBLUNTくんと出会ってから下高井戸のHATOS OUTSIDEへ遊びに行くようになって、そこで光作くんの存在を知りました。下北沢にあったELLA WAREHOUSE(2023年閉店)に遊びに来てくれたときに初めて話をして、その日の夜にHATOS OUTSIDEへ行ったらまた会って、そこで一気に仲良くなったのかな。Dogear RecordsからリリースされているYAHIKO & AIWABEATZ作品のアートワークも最高にかっこよかったですし、光作くんなら自分の作品もさらに素晴らしいものにしてくれると確信してました」
――光作くんのアートワークがアルバムのムードを体現しているように感じました。どういったやり取りをしながら進めていったんですか?
「まず最初にマスタリング前の楽曲データをまるっと送って。アルバム全体を通して聴いてもらって、感じたままをデザインしてもらいました。最初はなんとなく自分がイメージしていたサンプルなどを送ったんですが、変に縛りを設けず、自由にやってもらおうと」
――やり取りの途中段階のものを先日光作くんに見せていただいたのですが、少し過剰になったものを戻す、シンプルなものに直す作業があったみたいですね。
「最初のデザインアップのあと、さらに手が加わったパターンを送ってくれたときに、ひとつ前に戻そうと。彼も真剣に悩みながら進めてくれていたし、トライしながらアップデートしてくれる姿勢にリスペクトは持ちつつ、足しすぎない余白を持った最初のデザインが美しいと意見させてもらって。それくらいですかね。とにかくデザインが初めて来たときの嬉しさが忘れられないですね。全然思っていなかった角度から来たので衝撃だったし、“ヤバい!”しか言っていなかったと思います(笑)。光作くんと最初の作品を一緒にできたことが光栄ですし、中ジャケも含めてすべてのアート・ピースがお気に入りです」
――結果的にリョースケくんの音楽のミニマリズム(自分はそこにDJ VadimやRichie Hawtinとも近い美学を感じるのですが)を表現していると感じました。この過剰じゃないけど何かが足りないわけでもないという絶妙なバランス感覚が、RKKRの肝だと自分は思っていて。光作くんも内容に合わせて、今回はサンプリング / コラージュ主体でアートワークを作ってくれていましたよね。さて、アートワークといえばもうひとり重要な部分を担っているのが、写真家の中嶋琉平さんです。
「彼の写真にも大きな影響を受けました。出会いは幡ヶ谷にあるフリーマン食堂というレストランなんですが、お互い近所に住んでいることもあってよく遊んでいて。2024年に池尻大橋のPlatformというギャラリーでやっていた“Searching Lights 2”という展示を観にいってからファンですね。彼はスケーターでもあるんですが、ボードに発光体を取り付けて、長時間露光で撮影してその軌道を残すという作品を発表したり、コンビニのコピー機でイレギュラー的に生まれた写真の重なりを作品にしたり。とにかく実験的だしワクワクするんですよね。だから彼にどうしても写真を撮ってほしくて、とある日の夜中、そのときのノリで一緒に新宿までチャリで向かって、夜の街を歩きながら撮影しました」
――フリーマン食堂はELLA RECORDSのすぐ近くにある、Scratch Famousさんがオーナーを務めるお店ですよね。Scratch Famousさんも「AFTER HOURS SESSION」に出演されていました。琉平さんもすごくおもしろい活動をされてますね。作品や写真集を観てみたいです。たしかすごく若いかたなんですよね?
「まだ20歳なんですよ。自室を暗室にして写真のプリントも自分の手で行うし、写真集やジンなどの作品もコピー機で出力して装丁をしたり。簡単にデジタル処理できてしまう世の中なのに、とにかく自分の手でアナログ的なプロセスを辿っているのが非常に興味深いというか。彼はダブを軸としたDJもやっているんですけど、レコードへの探究心も半端ないです」
――光作くんの服作りの姿勢しかり、琉平さんの写真に対する姿勢しかり、リョースケくんがリスペクトする気持ちがとても伝わってきます。また、曲作りや音楽に対する姿勢に彼らとの共通性(アナログさやDIYさ等)も多々感じますね。Scratch FamousさんのDJも、琉平さんのDJもどちらも現場で体験してみたいです。さて、今回のアルバムに携わった人物として忘れてはならないかたがもうひとりいますよね。アルバムのリリース元となった「dawnbreakclub」を主宰するVANYくんです。VANYくんは言わずもがな弗猫建物のメンバーで、EL moncherieとしても知られています。
「ISSUGIさんがやっていた“7inc Tree”という企画で弗猫建物の存在を知ったんです。ビートもラップも、彼らの出すスタイルが本当にクールで。ユニオン時代にVANYくんがお客さんとして来たときに声を掛けさせてもらったのが最初の出会いでした。それからたくさんの人を紹介してくれて、一緒にディグしに行ったり、家に遊びに行かせてもらったり。本人は絶対に覚えていないと思うんですが、コロナ禍にSoundCloudにアップしたミックスをSNSでシェアしてくれたことが個人的にものすごく嬉しかったんです。出会ってからたくさんサポートしてもらったし、一緒に上がっていきたいという気持ちもあったし、最初の作品は絶対にVANYくんのレーベルから出したいと思っていましたね。アルバムの軸がまとまってから実際に音源を持ってVANYくんの家に行き、そのときDJ Shokiくんもいたので3人で一緒に聴いて、ふたりに背中を押してもらって(笑)。そこから自分なりにまとめて、完成まで進んでいった感じです」
――こうやってお話を伺うとVANYくんの存在や影響はリョースケくんにとって本当に大きいようですね。制作やリリースに関してVANYくんからアドヴァイスやディレクションのようなものはあったんですか?
「本当に自由にやらせてもらいましたね。ただ、マスタリングはVANYくんにお願いしました。VANYくんだったら自分の好きな出音や質感を理解してくれているし、すごくスムーズに引き出してほしい部分を引き出してくれました。本当に耳がいいと思いますし、全体の音のバランス感が絶妙なんですよね」
――お互いの信頼で成り立ってる関係性ですよね。理想的です。マスタリングも音圧高めの所謂ヒップホップ的な音で、この辺も作品の印象に一役買ってますよね。このアルバムが「dawnbreakclub」からリリースされたことにすごく意義があると思うし、新鮮な驚きも感じました。
「根底にあるヒップホップは大切にしたかったですし、本質の音だけではなくアートワークにもこだわる“dawnbreakclub”から発表できたことが本当に嬉しかったです」
――さて、制作環境や機材の話ももっと伺いたいのですが、サンプラーはAKAIのMPCでしたよね。質感的にMPC1000?サンプリングはレコードからのみでしたよね。
「AKAIのMPC1000を使っています。ビートはレコードからのサンプリングのみで構築していますね。特にレコードだけにこだわってるわけではないんですが、自分のスタイルはそれがしっくりきている感じです。基本的にはすべてMPC1000内で作り上げて、CFカードに保存して、ある程度溜まってきたら片っ端から聴いて、気に入ったものをPCに取り込んでいく。細かくいじりたい部分は最後にPCで仕上げる感じですね。使用しているソフトウェアも無料の(Ableton)Live Liteですし、だいぶシンプルにやっていると思います」
――DAW上でサンプルパックやドラムキットの音を足すこともないっていうことですよね。基本的にはMPC上で全て完結していると。
「ですね。ドラムもレコードから引っ張ってきますし、ちょっとニュアンスを付けたいSEサウンドや電子音とかもライブラリーやヨーロッパあたりのプログレから引っ張ったり。ちょっとした小ネタを頭とかケツにコラージュ的に忍ばせたり、自分にしか分からないギミックで変化をつけたり」
――ジャズやソウルのレコードからが多いのかなと思っていたんですか、ライブラリーものやプログレとかからも持ってきているんですね。シンプルなサウンドに聴こえて、やはり味付けや隠し味が絶妙なわけです。さて、今回のアルバムはそういった機材環境で制作された短めの曲が25曲収録という構成ですが、これは最初から青写真があったんですか?それともまとめていく中で思い付いたのでしょうか。
「まとめていったら結果こうなった感じですね。特に何曲にしようとも思っていなかったし、曲順が決まって数えたらちょうど25曲だったので、キリがよくてラッキーみたいな。アルバムの尺も40分で自分の好みだったので、これはいいと(笑)。気持ちの良い偶然が重なってくれました」
――そうだったんですね。映画的とかシネマティックという形容がとても似合うアルバムだと思うのですが、作品の紹介文にある自分にとっての東京のサウンド・トラック
という言葉通り映像作品のサウンド・トラック的な曲の長さ(短さ)と曲数です。この“東京の”の部分ももう少し詳しく教えていただけますか?
「東京で暮らしてもう20年になるんですが、アルバムを通して聴いたときになんとなくそう感じたんですよね。個人的にはドープな音も好きなんですが、まとめてみたら意外と“陽”というか開けた雰囲気になって。東京っていつの時代も混沌としているけど、どこかにポジティヴな光が差している印象がずっとあって、そんな感じにアルバムが聴こえたんですよね。ものすごく後付けな話ですけど(笑)」
――『Euphonious』からは都会的な洗練が感じられて、東京の中でも下町だったり郊外のほうだったりというよりは都心部のイメージが個人的にはあります。リョースケくんの地元は長野でしたよね。長野と東京はいろいろ違いますか?
「全然違いますね。どちらにも魅力があると思います。長野の寒い土地ならではの空気感や静けさはやっぱり落ち着くし、大好きですけど、かといって東京の時間の速さや情報量、人の多さもそこまで嫌いじゃないですし。そのぶん、東京には刺激やインスピレーションがありますしね。でも、長いこと都会に暮らしているからか、最近は田舎の良さもわかってきたような気がします」
――長野に暮らしながら作品作りをしていたら、また全然違った作品になっていたでしょうしね。刺激や情報の多い都市部で、あえてアナログ的な手触りや制限にこだわって作られた、非常に洗練された音楽作品だと思います。ところで、リョースケくんはDJもされますが、DJ活動と楽曲制作にはお互い影響はありますか?
「そこまで頻繁にDJをやっているわけではないですが、互いの影響は確実にあると思いますね。ビートメイクがうまくいかないときはだらだら久しぶりのレコードを聴いてみたり、ミックスしてみたり、自分で使ったネタを忘れていたときに“あ、このネタここにいたんだ”っていう発見があったり、知らなかった良い曲もあったり(笑)。自分にとってはそういう時間も必要で、そこで得たインスピレーションが次のビートメイクに繋がっていく。その繰り返しですかね。あとは、自分がプレイすることよりも、日本には腕利きのDJがたくさんいるので、彼らのプレイを聴いているのが好きです。それでモチベーションが上がって制作に影響を及ぼすことも多々あります」
――他のDJのプレイから触発されて、それが制作に繋がることってありますよね。自分としてはRKKRの曲を色んなDJがかけるのをぜひ現場で聴きたいので、レコードでもリリースされたら嬉しいなと思いました。正直言って近年聴いたヒップホップ・インストゥルメンタルやダウンテンポ / ブレイクビーツ作品でここまでバチッとハマった作品って他になくて。しかも聴く人によって様々な捉えかたができるという。それこそEBBTIDE RECORDS(大阪・心斎橋)のミチオさん(MICHIOSHKA)は現行のダンスミュージックアーティストがあらためて作り始めているダウンテンポとの緩やかな接点もチラつき
とコメントしてくださってましたし、タラウマラ(大阪・淡路)の土井(政司)さんはKoma SaxoやSMLのような新進気鋭のジャズバンドの作品を聴くのと同様の快感
と紹介してくださってました。
「そうやって言ってもらえて光栄ですし、本当にありがたいお言葉です。心の底から作ってよかったなと思います。現行のダンス・ミュージックやジャズといったニュアンスもきっと普段からそういったものを聴いてるからこそ自然に影響を受けてるのかなと。3年前にMIKEの『Beware of the Monkey』(2022, 10k)ばかり聴いてた時期があって、そのムードにだいぶ影響されたビートなんかもありますし。自分がそのときそのときにイケてると思った直感を信じて制作し続けたいですね」
――では最後に今進行中のプロジェクトや、今後挑戦してみたいこと等ありましたら教えてください。
「アルバムからのシングルカットをVANYくんと進めていまして、それが今年出せるかなと思いますし、次のアルバムのためにも少しずつ動いています。とにかくビートを作り続けていきたいですね。あとは、最近出会ったEigenくん(名執永絃)が手掛けている“Haze Film Production”のスケート・ビデオにも今回のアルバムから1曲提供していて、今年フルレングス作品がリリースされると思うのでそれも楽しみ。彼が作る映像もめちゃくちゃヤバいのでぜひチェックして欲しいです」
――それは楽しみです!RKKRのビートで弗猫のおふたりがラップする曲も期待しちゃいますね。4月26日(日)のリリース・パーティもどうぞよろしくお願いします。
■ Imaginary Soundscape 4
RKKR "Euphonious", DJ DIKE & AIWABEATZ "I.S.T.S. ep" W release bash
2026年4月26日(日)
東京 幡ヶ谷 Forestlimit
17:00-23:00
2,500円(税込 / 別途ドリンク代)
[DJ]
AIWABEATZ / シカゴすきすきボーイズ (una & D.J.April) / DJ DIKE (ONEDAY RECS.) / moemiki / RKKR
[Beat Live]
EL moncherie feat. Eujin (弗猫建物 | dawnbreakclub) / IRONSTONE
[Live]
Crystal Brain / MUTA (JUMANJI)
[Flyer]
CROD
■ 2025年11月28日(金)発売
RKKR
『Euphonious』
dawnbreakclub
CD DBXCD001 2,000円 + 税
[収録曲]
01. Raise The Curtain (Intro)
02. Dimensional Space
03. The Field
04. D Rush
05. 1 Year Later
06. Not Done
07. Inglourious Basterds
08. Piano Man (Part 2)
09. Ray of Hope
10. Two Flasks
11. Waltz for Silk
12. Corner Ring
13. Mr. Salvador
14. Catharsis
15. Dream Oddity
16. R.O.T.W. Jungle
17.C ell Division
18. Wet Anthem
19. The Lives You See from S-Express
20. Moon Madness
21. Basement Melodies
22. Saving Lives, Changing Lives
23. Hear Me
24. Social Narcotic
25. Patience is Virtuous (Outro)
All Produced by RKKR
Mastered by EL moncherie
Art Direction by Let LOOSE
Photograph by Ryuhei Nakashima







