文・撮影 | SAI
今年のはじめ、図書館で『ムーミン谷の冬』(講談社 青い鳥文庫)と目が合ってしまい、嬉しくなって読み始めたら、去年の今頃にヘルシンキ・ヴァンター空港のムーミン・ショップでスウェーデン語版と英語版を購入してから翻訳途中だったエピソードということに気付き、「めぐりあわせ……」と思いながら家に帰ってハピタス経由でAmazonにアクセスしてポチりました(ポイ活してます!)。
日本人にも馴染みのあるムーミン。作者がフィンランド人のトーベ・ヤンソンという女性で、原作はスウェーデン語で書かれていることはご存知でしょうか?父親がスウェーデン語系フィンランド人で母親がスウェーデン人というヤンソンは、フィンランド語よりも自身に馴染んだスウェーデン語で書いたようです。そんなわけでスウェーデン語版のムーミンのアニメにはフィンランドのアクセントがあるそう。いつか聞き分けられるようになりたいな~。
ちなみにスウェーデン語とフィンランド語は全然違う言語で、この2つはフィンランドの公用語なのですが、加えて英語表記もあるので、フィンランドの駅の名前は3つの言語で表記していて、空港までの道を何度も迷ったのを思い出します(笑)。それでも、その度に街の人たちが教えてくれたので、優しい街だな、ということも記憶に残っています。
―― ここからはネタバレしちゃいます ――
このお話はムーミン一家が冬眠の最中、ひとりだけ目を覚ましてしまうというお話なのですが、序盤でリスが氷姫に撫でられて死んでしまいます(ちなみにこの氷姫、アイスランド語では“Kælan Mikla”。そうです、アイスランドのKÆLAN MIKLAのバンド名の由来になっているのです)。
その直後ミイが言った衝撃的な言葉。
「(中略)この人のしっぽで、可愛い上等のマフをこしらえるわ」
ドライすぎる……!死に対してドライすぎる……!!!
「死んだら、死んだのよ。このりすは、そのうち土になるでしょ。やがて、そのからだの上に木がはえて、あたらしいりすたちが、その枝の上ではねまわるわ。それでもあんたは、かなしいことだと思う?」
この台詞に衝撃を受けました。なんせ「青い鳥文庫」という児童書レーベルから出版されている作品だったので。たくさん観ているスウェーデン映画(ムーミンはフィンランドの作品ですが)の特徴について、“物語の中で必ず誰かが死ぬ”という自論があるのですが、やはり寒くて室内に篭っていると死生観について考えてしまいがちなのでしょうか。
それでも、青い鳥文庫の71ページ下にはヤンソンから読者に配慮したメッセージか書かれていて、そういう子供への細かい気遣いも久しぶりに見たので、なんだか初めて読むムーミン・シリーズ、最初から面食らってしまったのでした。
ちなみに、同じく講談社から出版されている“童話限定カバー版”の表紙がかわいいので、今年中に全巻読みたいなあ、と思っております。順番からいくと9巻中5巻目を一番最初に読んでしまったので、実はキャラクターの相関図をまだ把握してないです(笑)。ムーミンの彼女だと思っていたスノークのお嬢さん、ムーミン一家と同じ家で冬眠していて親と一緒に同棲……?という感じで読み進めていたのですが……はて。とりあえず1巻から読んでみることにします。
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Ms.Machineのヴォーカリスト / リリシスト。
硬質でノイジーなサウンドと“Riot Grrrl”のアティチュードを持ったバンドとして各方面から注目される。
Norr Records Music Studio(スウェーデン)にて制作した初ソロ作品『Dröm Sött』を2019年8月にリリース。
ラーメンとカレーと梅干しサワーが好き。