文・撮影 | SAI
みなさまお元気でしょうか。
混乱が混乱を生む世界の中で心の平穏を求めてしまいますが、不正やそれについて学ぶ姿勢を忘れないでいたいと思います。
5月末に起こったジョージ・フロイド氏殺害事件で“Black Lives Matter”という言葉について知り、『13th -憲法修正第13条- 13th』を観ました。ジョージ・フロイド氏の事件以前にもたくさんの残酷な事件があったことを頭ではわかっていたつもりだったのですが、実際にドキュメンタリーを観て、「息ができない」と言いながら警官に殺された黒人男性がジョージ・フロイド氏だけではないということがとてもショッキングでした。そして「Black Lives Matter」という団体が2013年頃には設立されていたこと、それまでBlack Lives Matterという言葉も知らなかった・無知であったことに恥ずかしくもなりました。
『憲法修正第13条』には黒人男性が首を吊られているショッキングな写真が幾度も出てくるのですが、HTIEKALことLaKeith Stanfieldの『Do Better』というMVを思い出しました。
LaKeithは『サムワン・グレート ~輝く人に~ Someone Great』という映画に出演していて、良い声だなと思って調べたら、ラッパーでもあることを知りました。ヒロ・ムライが監督し、Chidish GambinoことDonald Gloverが主演・監督・脚本・製作を務める『アトランタ』というドラマにも出演しております(“ヒロ・ムライ アトランタ”で検索して“監督”と書いてある記事を見つけましたが、脚本にも携わっているかもしれません。なんにせよ、ヒロさんに関する『アトランタ』の日本語記事が少ない!その中でも辰巳JUNKさんが書いたこの記事が面白かったです)。
私はこのMusic videoでChidish Gambinoのことを知ったのですが、当時衝撃的でしたね。
最後にスパイク・リー監督の『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット She’s gotta have it』について書こうと思います。
この作品は、ジョージ・フロイド氏の事件が起きる前の4月頃に観ていて、5月に記事にしようと思っていた作品で……この機会に紹介するのはなんだか悲しい気持ちになるのですが。
ペインターのヒロイン、黒人女性ノーラ。自由を求める彼女は3人の恋人がいるという設定なのですが、ノーラはそれを隠しもしないし、それぞれの恋人にそれぞれの恋人の存在を伝えているんですよね。その設定の時点で従来のラブコメディとは違うなあと思いながら観ていたのですが、シリーズ1で子供がいる女性オパルとの恋愛のシーンもあり、なんでしょう、数十年前の日本のドラマとかだったら、たぶんそういう自由な恋愛をしているということで葛藤があったりして、物語の中で“問題”として扱われる気がするんですけど、この作品はそういうノーラの恋愛観を“問題”として扱わないんですよね。ごく自然なこととしてノーラの自由な恋愛観を描いている。しかも所謂Bitchなキャラクターとしての描かれかたや扱いではなくて、ノーラは黒人女性として自分に誇りを持って自由な恋愛を楽しんでる。それを男性であるスパイク・リー監督が描いているということがすごいなって思いました。
それと、劇中で流れた音楽のアートワークが映像に使用されるんですが、それがめちゃくちゃいいです。監督の音楽や黒人女性へのリスペクトが感じられるこの作品は、『憲法修正第13条』『アトランタ』もそうですが、いろいろな人に観て欲しいなって思います(でもスパイク・リーが本当はどういう思想を持っているかは本を読んだことがないからハッキリとは言えません)。映画版とドラマはシーズン1、シーズン2が現在公開されているようです。私はこれからシーズン2を見始めようかと思っています。
この作品のシーズン1を観終わった後、散歩しているときにふと「ノーラの役柄が白人男性で白人女性の恋人が3人いる設定だったらどうだったんだろう」と思ったりしていました。こういうジェンダーや人種を入れ替えた設定だった場合どうだったんだろうって考えて、自分の中で変なバイアスがかかってないか考えるのって大事だなって思ったりします。最近映画化された『82年生まれ、キム・ジヨン 82년생 김지영』(チョ・ナムジュ著)という作品はミラーリングという手法で書かれていて(男性が主人公の物語は、登場する女性の名前や詳細が書かれず肩書きだけが書かれる。その逆の手法で書かれていました)、読んだ後にハッとする思いになりました。また、少し前に話題だった『ミッド・サマー』も、「ホラー映画でエロシーンに女性が巻き込まれるのはよくあるが『ミッド・サマー』はその逆だった」というツイートを目にして、そうだなと思ったり。
そういうことをKenTruthくん、SPEEDメンバーと話しながら、Ms.MachineのMVの打ち合わせをこの間してきました。乞うご期待です。そしてそして6月24日(水)に東京・幡ヶ谷 Forestlimitにて久々のソロ・ライヴをします。2021survive初のリアル・イベントです。こちらもチェックしてみてください!
■ 2021SURVIVE × K/A/T/O MASSACRE vol.278
2020年6月24日(水)
19:00- | 東京・幡ヶ谷 Forestlimitよりライヴ配信
YouTube | Twitch
[Donation]
Goal ¥80,000
http://paypal.me/NOVOkato
[Live]
Ken truths / Rinsaga / SAI (Ms.Machine) / S亜TOH / sum fountain / yuzuha
[DJ]
Arexibo / okadada / 木菟燈籠
[MC]
SALICHANMODE
https://jaghetersai.tumblr.com/
https://twitter.com/jaghetersai
2015年にバンドMs.Machineを東京にて結成。近年ではTOTAL CONTROLやUBIKといったオーストラリアのポストパンク・バンドと共演。NYのメディア・コレクティヴ「8ball」のチャンネルにライブ出演するなどボーダーを越えて活動している。2020年4月には4thシングル『Lapin Kulta』をリリース。
ソロでの活動では『Dröm Sött』を2019年8月にリリース。同年にフィリピンのバンドTHE MALE GAZEと共演。中国の写真家Ren Hangの作品やインディペンデント・マガジン「CONTACT HIGH ZINE」にモデルとして参加。石原 海監督の映画『ガーデンアパート』に出演している。