それは誰にもできないこと
『ALIAS』では、彼女の特徴的な性格をキャラクター化し、4人の人格を作り上げた。「FREAK」のミュージック・ビデオに登場するセクシャルで奔放なBaddie、彼女のロンドン生まれロンドン育ちのルーツを体現した向上心のない金髪のBea、スノッブな“イット・ガール”のBovine、きらびやかで遊び心があるパーティー好きなBonk。このEPには、人は皆、多面性を持っているというコンセプトを軸に、一度にどんな人にでもなれるというメッセージが込められており、今の時代にグッとくる作品になっている。また、Shygirlと共にレーベル「NUXXE」を創設したSega Bodegaがプロジェクトの全体を通して参加。「LENG」「SIREN」ではUKビートメイカーのHappa、「TASTY」ではOscarの名前で活躍するソングライターでミュージシャンのOscar Scheller、「SLIME」ではSOPHIEとKai Whiston、「BAWDY」ではプロデューサー / DJのKarma Kidなど、UKのアンダーグランド・シーンで活躍するアーティストたちが集結している。
なおShygirlは、1月15日(金)朝4:00 JSTから、『ALIAS』収録曲「TASTY」MVのYouTubeプレミア公開を開催。本人もチャットに登場するようなので、要チェック。
今回は、Shygirlの揺るぎない存在感とロンドンの空気感がぎっしり詰まったニューEP『ALIAS』について、メールでインタビュー。
取材・文 | 小嶋真理 Mari Kojima (gallomo co., ltd.) | 2020年12月
http://www.instagram.com/bubbacosima/
――2019年にNUXXEクルーでのライヴをWWWまで観に行きました。会場は人でいっぱいで、若いオーディエンスで盛り上がっていたのを覚えています。あの日のライヴやオーディエンスに、どんな印象を受けましたか?
「今までプレイしてきた中で、間違いなくお気に入りのライブのひとつ。熱狂的でクレイジーだったし、みんながすごく盛り上がってるのを見て衝撃を受けました」
――そのとき、東京の音楽シーンに関してどう感じましたか?他にいろんな場所に行くチャンスはありましたか?
「あのときは、東京の音楽シーンを身をもって体験することができなかったけど、次にもし行ける機会があれば、もっと長く滞在したい!」
――日本に滞在中に、何かおもしろい事件に遭遇したりしましたか?一番印象的だったことは?
「ライヴ自体がすごくワイルドで、それに、あの日は私の誕生日だったから、全てがパーフェクトだって思った」
――メインストリームっぽさを避け、クールでありながらアンダーグランド・シーンから上の段階を目指していくなかで、難しいと感じたことはありますか?
「ヴィジュアル的にも音的にも、ただ好きなことと、制作を楽しむということにフォーカスしてるだけかな。私が好きと感じるなら、間違いないって思ってる:)」
――音楽業界で活動していくにあたって、いつも心に留めているあなた自身のルールや教訓はありますか?
「コンフォートゾーンを抜け出す、自分の限界レベルを高くしていくということ。常に自分自身に挑戦したいし、それによって成長しているような気がする。ちゃんとこのルールを実行していたら、他のことに気を取られるっていうことがなかなかないの」
――ニューEP『ALIAS』では、あたなの中に潜むという4人の人格(Baddie, Bonk, Bovine, Bae)が描かれてましたが、普段の自分自身と考えたときに、誰のパーソナリティと一番近いですか?
「間違いなく4人とも私を表現しているから、選べないかな。私の全ての側面を愛してるの」
――『ALIAS』収録曲のリリックはヴィヴィッドで、すごく正直で、セクシャルでもあると思います。自身のパーソナリティをオープンにするのは難しかったですか?それとも、楽しいプロセスでしたか?
「難しくはなかった。経験することが好きだし、それをシェアすることに価値があると思う。表現するための言葉遊びが好きで、私自身にいちばんしっくりくる音楽を作っていることが根元にあるから」
――『ALIAS』に登場する4人のガールたちはタフで一貫したパーソナリティーをそれぞれ持っていますね。もしパーソナルな生活の中で、予期せぬ出来事が起きて辛い経験を強いられたとしたら、どのように乗り越えますか?
「音楽、クリエイティヴでいること、考えかたを変化させて物事を変えていくことで」
――「SLIME」のリリック・ビデオはアイコニックで、2020年のパンデミックの影響を受けているようなコンセプトでした。どんな風にアイディアが生まれましたか?
「ベストな方法は、常に私をインスパイアしてくれる友人たちを巻き込むことだと思ったし、メッセージやビデオチャットでずっと繋がっている私たちは止まることがなかったってことかな」
――『ALIAS』ではSOPHIE、Kai Whiston、Sega Bodega、Arcaなど素晴らしいアーティストのみなさんとコラボレーションされてましたが、どのようにブレインストーミングして、コラボ・アーティストのみなさんとアイディアを練ったんですか?
「いつもすごく自然なプロセスなの。コラボするアーティストはみんな私の良い友達で、みんなで直感的に作業してる」
――難しい質問かもしれないけど、『ALIAS』の中で一番お気に入りの曲は?
「お気に入りの曲はいつも変わるけど、今の気分だと“TASTY”」
――MVやリリック・ビデオを担当したMaurice Andresen(CGIディレクター / アーティスト)、Sy Blake(キャラクターデザイン / 3Dモデラー)、Mischa Notcutt(ディレクション)とはどのように出会ったのですか?3Dモデルを担当したSy Blakeは、あなたの世界観をうまく再現していたと思います。
「Mischaと私はクリエイティブの部分はいつも一緒に作業していて、彼女は常に最高。今回も彼女は、このプロジェクトにぴったりなアーティスト、MauriceとSyを見つけ出してくれたの」
――2021年の目標は?
「もっと旅をする(笑)!」
――日本のファンへ、一言。
「常に自分らしく。それは誰にもできないことだから」
■ 2020年11月20日(金)発売
Shygirl
『ALIAS』
https://shygirl.lnk.to/AliasEP
[収録曲]
01. TWELVE
02. SLIME
03. FREAK
04. TASTY
05. LENG
06. BAWDY
07. SIREN