Interview | VIOLAVIE


始めた理由が違っても、誰かを感動させたい、音楽を届けたい

 ソロのシンガー / コンポーザーとして活動してきた加納エミリが、プロデューサーとしてのスキルを拡張し、昨年6月に自身が代表を務める芸能プロダクション / 音楽レーベル「合同会社 Blute Company」を設立。同年に実施した同社初のオーディション「Girls Group Audition 2023」を経て組織され、今年3月にシングル『Answer / BIRTHDAY』の発表とデビュー・ショウケースの開催で全貌を現したダンス・ヴォーカル・グループがVIOLAVIE。グローバルな視点で書き上げられた楽曲、業界の現状に疑問を投げかける運営 / 活動スタンスなど、加納自身の経験を踏まえた野心や希望が盛り込まれた世界観を、メンバーはどう受け止め、どのようにパフォーマンスへと昇華しているのでしょうか。KONOHA、MITSUKI、MIOHA、SAAYAの現フル・メンバーに、加納Pも交えてお話を伺いました。

取材 | 南波一海 | 2024年9月

序文・撮影 | 久保田千史

――初インタビューということなので、まずはみなさんがどうしてVIOLAVIEのメンバーになったのかを伺いたいと思います。
SAAYA 「芸能系の学校に通っていたんですけど、高校3年生になって、周りのみんなが進路を決め出していたんです。私はもともとモデル事務所に入っていて、そこであまりお仕事が決まらなかったので、自分が羽ばたけるところを探したいなと思っていました。もし見つからなかったら留学するとか、ほかの道を探そうかなと。ある日、インスタを見ていたら、VIOLAVIEのオーディションの広告が流れてきて。最初は、こんなオーディションあるんだ、くらいの感じだったんですけど、ずっとスキップしていたのに毎日のように流れてきたので、もう次に出てきたら受けちゃおうと思って(笑)。そうしたら本当に出てきて、それがオーディションの締切日の直前でした。それでサイトに飛んでみて、調べて。そういうのって怪しかったりもするじゃないですか」

――どんな会社なのかわからないですもんね。
SAAYA 「サイトを開いたら、加納さんがどんなグループを作りたいかとか、今の日本のアイドルについて語っていて、それを見て心が動きました。今までもオーディションを見てきたんですけど、文章で心が揺れることはなかったんですよね。加納さんの言葉を見て、このグループに入りたいと思って受けました」

――モデル事務所に所属していた頃はレッスンなどは受けていたんですか?
SAAYA 「演技とモデル・レッスンを受けていました。それと、事務所内でバンドを組んでいて、ヴォーカルとしてやっていたんですけど、ライヴはせずにずっと準備していました(笑)。同じ1曲をずっと歌っていて、レコーディングまでしたんですけど、誰かにお披露目することもなく終わっちゃって。そのときに、この事務所にいてもな……となってしまった感じです」

――進路を決めあぐねていたところ、いいタイミングだったんですね。
SAAYA 「周りは、これから芸能の道一本でがんばるという人が多かったんですね。そこに劣等感を抱いていたというか、自分だけ何をするか決めていないし、努力するものもなくて、喜怒哀楽を感じられることがなかったんです。だから、志望動機にも喜怒哀楽を感じられることを探したいです、ということを書きました」

――続いてはMITSUKIさん。
MITSUKI 「私も動機が似ていて、大学生で、就活が始まる前に受けてみようと思いました。私はもともとK-POPのアイドルが好きなんですけど、ただ憧れて、見ているだけだったんです。だから就活前に一度だけ受けてみて、ダメだったら就職しようと思って。お母さんがオーディション・サイトに登録していて、そこに掲載されたのが送られてきて、最初で最後と思って受けたのがここでした」

――オーディション・サイトに登録していたということは、お母さんはMITSUKIさんに表舞台に立つ仕事をしてみてほしかったんですね。
MITSUKI 「お母さんは若いときに俳優の事務所みたいなところにいて」
MIOHA 「知らなかった!初めて聞いた!」
MITSUKI 「結局、辞めちゃったんですけど。私にやってほしいというのがあったみたいです。私はアイドルのほうが興味あったので、そっちに進みたいなと思いました」

――唯一受けたオーディションがVIOLAVIEなんですね。続いて、KONOHAさん。
KONOHA 「私は中学1年生のときにK-POPアイドルに憧れて、韓国の事務所のオーディションをたくさん受けていました。だけど、なかなか受からなくて。韓国は身長も大事だったりするんですけど、私は154cmしかないということもあって、最終審査まで行ったけど落ちる、ということもありました」

――身長も判断基準のひとつなんですね。厳しい世界ですね。
KONOHA 「親の身長も聞かれるんです」

――遺伝でこれから伸びる可能性があるかどうかまでチェックすると。
KONOHA 「はい。なかなか所属までできないという日々が続いて、中学3年生のとき、韓国の事務所のかたに、中学生までがブランドだよということを言われて、焦り出したんです。日本のアイドルには正直、興味がなくて、AKBさんを聴いたことがあるくらいだったんですけど、MITSUKIちゃんと同じで、お母さんがサイトでVIOLAVIEのオーディションを見つけてくれました。最初は興味もなかったので乗り気になれなかったんですけど、加納さんのブログに長文が書いてあったんです。日本でもこういう考えかたをされている人がいるんだなと思ったし、韓国にこだわらなくても私のなりたいアイドル像を目指せるんじゃないかと思って、このオーディションを受けて、なんとか受からせてもらいました」

――たしか、地方から上京したメンバーが……。
KONOHA 「私です。福岡から来ました。いつでも韓国に行くぞという気持ちだったので、地元を出る覚悟はできていました。逆にお母さんからは国内でよかったと安心されました(笑)」

――最後がMIOHAさん。
MIOHA 「私はディズニーランドが好きなんですけど、母の友達が東京ディズニーリゾートのダンサーさんをされていて。小さい頃から母親と通っていて、そのかたのダンスをずっと見てきた影響もあって、高校3年生の進路を決めるときまではディズニーリゾートのダンサーさんになるのが夢だったんです。中学1年生からジャズをやり続けてきたし、部活ではヒップホップとかいろんなジャンルのダンスをがんばってきたんですけど、いざ進路を決める段階になったときに、私の叔母が、あるアーティストのかたのライヴのチケットがあるからと誘ってくれたので、何の気なしに観に行ったんです。そうしたら、それがすごくかっこよくて。距離は近くはなかったんですけど、目の前にいるように聞こえたのが今でも衝撃として心に残ってます。それがきっかけで、音楽の道に行きたいと思うようになりました」

――ちなみにどなたのライヴを観たんですか?
MIOHA 「Da-iCEさんです。感動しました。そこからたくさんオーディションを受け続けました。avexのアカデミーに通っていたので、それこそXGさんのオーディションも受けましたし、いいところまで行くけど落とされるという日々が続きました。そのときに、VIOLAVIEの宣伝がインスタですごい頻度で流れてきて」
加納エミリ 「お金払ってよかった(笑)!」
MIOHA 「蛍光の緑っぽい感じの広告で、目立っていて。なんだこのオーディションは?と思ったんです。私も最初は受け流してたんですけど、ちょっと思い出して、やっぱり受けようかなと思って応募させていただきました。正直、当時はたくさん受けている中のひとつではあったんですけど、審査で加納さんにお会いして、この人のプロデュースでメンバーになれたら想像していなかったようなものが見られるんじゃないかという希望を感じました。今年で21才なんですけど、年齢的なリミットが近づいている中で、自分の時間を加納さんに預けてみたいと思って、なんとか受からせていただいたという感じです」

――そうして最初の6人が集まりました。すぐに打ち解けましたか?
MIOHA 「私は心を開くまですごく時間がかかるので、最初は端っこにいたんですけど、SAAYAがすごく明るくて安心しました。静かなMITSUKIちゃんがいて、ダントツで若いKONOHAちゃんがいて、脱退したふたりも含めて、パッと見で個性が違うのがわかるので、これは強いかもと思えました」

――SAAYAさんはみなさんと仲良くなるのが早かったんですね。
SAAYA 「話さないとどんな子かわからないので、最初からいかなきゃと思って。顔合わせのとき、KONOHAはまだ福岡にいたのでリモートだったんです。あとのみんなは純粋そうで、そわそわしていてかわいいと思いました。MIOHAちゃんはめちゃ静かで、話したら“私、本当に友達がいなくて……”って言っていたので心配になりました(笑)。MITSUKIちゃんとは帰り道が一緒で、おしとやかな人だなと思っていました」
MITSUKI 「顔合わせはずっと緊張していて、ひとりずつ自己紹介したときもうまく喋れませんでした。私も心を開くのが時間かかるので、やっと最近打ち解けました」
SAAYA 「最近なんだ!もうオーディションから1年くらい経ったよ(笑)」
KONOHA 「私はリモートだったんですけど、顔合わせで自己紹介をしたとき、SAAYAは画面越しの私に手を振ってくれたので、めっちゃ陽キャだと思いました(笑)。当日はその場にいなかったんですけど、オーディションのグループ審査の時点で全員には会っていたんです。MITSUKIちゃんは同じグループだったので覚えていました。MIOHAちゃんはダンスがうまい子という印象で、SAAYAは身長が超高いし、めちゃ歌がうまいし、グループは違うけど一番印象に残った子で、絶対受かるだろうなと思ってました。オーディションの結果が出る前に加納さんと面談したんですけど、確定のメンバーを聞いた時点でこれはいけると思っていました。上京するときの不安は全くなかったです」

VIOLAVIE | Photo ©久保田千史

――お披露目に至るまでの日々はいかがでしたか?
MIOHA 「オリジナル曲の“Answer”を初めて聴いたときは、KONOHAが泣いていた印象がすごく強いです。レッスンでは既存のK-POPの曲をコピーする中で基礎を鍛えていくということをしていたんですけど、いざ自分たちの曲はこれですと聴かされて、パッとKONOHAを見たら泣いていて。その場面はYouTubeでも見られるんですけど、曲を聴いてからは楽しみな気持ちがより掻き立てられました」
KONOHA 「ひとりで上京してきたので寂しい気持ちがあったし、地元のみんなが高校生活を楽しんでいるのをSNSとかで見ていたんです。それが羨ましかったけど、戻るつもりはないし、がんばらなきゃいけないという葛藤があって、それを加納さんの言葉で歌詞にしてくださった気がして。まずはメロディよりも言葉に感動しました」
SAAYA 「曲をもらってからデビュー・ショウケースまでのスパンがけっこう短かかったんですけど、途中で振り付けがまるっと変わったりしたんですね。うわ、これはもう覚えられない!と思いました。私はダンス未経験で、覚えるのも遅いから大変でした。ダンス・リーダーのMIOHAちゃんが丁寧に教えてくれたり、みんなで協力しながらできたので、挫折することなくやれました」
MIOHA 「ついてくださっている先生には頭が上がらないです。短い中で、未経験の子も不安がなくなるところまでもっていってくださったので。私はダンス・リーダーと言えど、やったことがない人に教えるのは初めてで、難しかったです。デビュー曲と一緒にみんなで成長できたと思っています」

――レコーディングも初経験の人がほとんどですよね。
MITSUKI 「初めてだったので苦戦したんですけど、SAAYAちゃんが教えてくれて成長できました」

――お互いで支え合って進んできたわけですね。そしてデビュー・ショウケースがあり。
SAAYA 「やばかったです!けっこうな人数がいらっしゃって、今まで見たことのない景色だったので、出だしから声が震えました」
MITSUKI 「出た瞬間が一番緊張した」
KONOHA 「自分の曲を誰かの前でパフォーマンスするというのが人生初の出来事でした。家族が前のほうで観てくれていて、踊っているときに目が合うんですけど、号泣してました(笑)。それを見て、私も泣きそうになっていました。それまで、ダンス・スクールの発表会でK-POPのカヴァーをやることはあったんですけど、自分の歌を誰かに届けることって、こんなに嬉しくて感動することなんだと思いました。“Answer”は笑う曲じゃないんですけど、嬉しさや楽しさが勝っちゃって、満面の笑みで歌ってしまいました」
MIOHA 「私は“ナンバー”といって、ダンスの先生が生徒たちを集めてひとつの作品を作るものに参加してきて、大きな舞台も経験があるので、出番前はそこまでガチガチではなかったし、逆に知ってる人の顔が見えすぎると思っていたくらいでした。でも、本番では歌って踊るのを同時にやったことがなかったのもあって、正直、もうほぼ記憶がないです。終わったあとは、メンバーからこんなハプニングがありましたというのを聞いて、そんなことがあったんだと驚いたくらいです。家族から感想を聞いたり、友達から泣いてる動画が送られてきて、急に実感が湧きました。始まっちゃったんだなという感じ。楽しみな気持ちと、怖い気持ちが同時に出てきました」

――そこから現在に至るまでの半年近くは怒涛の日々だったと思います。VIOLAVIEとして活動してきて、今はどんなことを感じていますか?
SAAYA 「お客さんからどういうふうに捉えられているんだろう、何を求められてるんだろうというのはめっちゃ考えるようになりました。アイドル界隈っていろいろあるじゃないですか。そのなかで見てくださるかたたちは、私たちをどう思っているんだろうって。かわいいなのか、歌が上手なのか、ダンスができているなのか、世界観がすごいなのか。何を目的に見るのかがわからなくて。私たちの見てほしい部分とお客さんの見たい部分が一致しなかったら、うまくいかないじゃないですか。ライヴをやり始めてからはそこを考えるようになりました」
MIOHA 「近い系統のグループが本当に少ないというのは、初期の段階から加納さんによく言われていたんです。私たちはダンス・ヴォーカル・グループとアイドルの狭間にいるような存在だと思っていて、数を打っていく段階になったときに、メンバー・カラーがあって、かわいい曲を歌って、コールがあって、という場に出ていくことが増えて、いかにそこの需要に入り込んでいけるかがわからなかったんですよね。それは今でもそうで。ダンスや歌をがんばったところで、はたしてそこに入り込めるのかと言ったら、難しいところもあるかなと。初期はトップバッターで出ることが多くて、ちょっとした前座をやりますという感じで出ていって、私たちのあとから、オイ!オイ!みたいになるんだなと感じていました。私たちも曲の中でみなさんとできることを増やしたりもしているんですけど」

VIOLAVIE | Photo ©久保田千史

――VIOLAVIEを始める前からチャレンジングな試みだという説明は受けていると思うんです。とはいえ、実際にやってみたら、こういうことかとわかるようになった。
MIOHA 「まさにそうで、悩み中です」
MITSUKI 「かわいい系のかたたちが好きな人は、私たちみたいなコンセプトのグループは好きじゃないのかな、どうやったらファンになってくれるのかな、というのは考えてもわからなかったですし、今もわからないです」
KONOHA 「いい曲だと思っても物販に行こうと思えないというか、近寄りがたい雰囲気があるのかなと思ったりして。例えば、私はファンのみなさんにマイクを向けてニコニコしたりするのは得意じゃないですし、どうしたらいいのかなって。ファンのかたをLavin'と呼んでいるんですけど、Lavin'の多くは加納さんのファンなんですね。VIOLAVIEから入ってLavin'になってもらうには、フリフリの衣装を着ないといけないのかなと考えたり。世の中は厳しいです」

――少しインタビューとは関係ないことを言いますが、いわゆる地下アイドルシーンのなかにいると、まわりと比べた時に自分たちはこういう要素に欠けるから盛り上がってないのかなと自信をなくすこともあると思うんです。あるいは、ファンの人から「ライヴは観られなかったけど、物販には間に合ったよ」というようなことを耳にすることもあったりして、どうやら特典会の比重がかなり高そうだなと感じる場合もあると思います。もちろんそういった在りかたも否定しませんが、VIOLAVIEは必ずしもそこを目指してないわけで、音楽やライヴで人の心を動かしたいというグループですよね。だからみなさんは周囲を気にせずパフォーマンスを磨いていってほしいし、がんばってほしいなと思ってます。
MIOHA 「……泣きそうです」

――余計なことを語ってすみません(笑)。悩むことも増えた中で聞いてしまいますが、この夏にメンバーが6人から4人になりました。それは大きな試練だったのではないでしょうか。
MIOHA 「大変の一言に尽きます。逃れられない現実とはいえ、気持ちが追いつくまでに個人差は当然あるわけで。脱退の発表があるまでは、ファンのかたからすると、いつかは戻ってくるものだと思っているわけじゃないですか。そういう思いを見たり聞いたりすると、私たちは4人でやっていくと固まっていたとしても、考え直してしまうというか。歌割りやフォーメーションは変更を決めたらそれに向けてやっていけばいいけど、気持ちだけはどうしようもないので、苦しい時間ではありました。辞めたふたりには失礼かもしれないけど、残された私たちのほうが重圧とか悲しみとかが大きいのかなと思っちゃうときはありました」

VIOLAVIE | Photo ©久保田千史

――そこからどう持ち直したのでしょうか?
MIOHA 「辞めないでと止めていた時期もあったし、メンバー6人だけの時間を作って、何人かが大泣きした場面もあったんですけど、今考えるのはふたりのことじゃないのかもしれないと思ったタイミングがあって。私が一番歳上になったのもあるし、KONOHAは上京までしているし、ここを最後にするというメンバーもいる中で、その子たちのことを考えないで、辞める子たちのことばかりを考えるのはどうなんだろうと思ったんです。私は続ける子たちのことを考えたいなって。それに、未来があると思ってここに入った自分を信じたかったので、切り替えようと思えました。私の場合はそうだったんですけど、わりと時間がかかったメンバーもいると思います」
SAAYA 「時間が解決してくれるんじゃないかなと思いながら活動してます。悲しい気持ちを無理矢理消そうとすると、逆に考えすぎちゃうから、一旦その気持ちも持っておこうという気持ちでした」

――食らうならちゃんと食らおうと。
SAAYA 「それでもいいなって。なくなってしまったものと今のことと同時に向き合っていても、自然と今見ている方向に向かっていくじゃないですか。だから時の流れに任せています」
MITSUKI 「私は、始めたときはずっとこの6人でいくものだと思っていたから、辞めると聞いたときは悲しくて、止めたりもしたけど、これは戻らないだろうなと思ったから、もう4人でやるしかない、がんばろうと思いました。悲しさが完全になくなったわけではないけど、今はもう大丈夫です」
KONOHA 「私はメンバー6人だけで話したときに絶望を感じました。一度関わった人は大事にしたいという気持ちが強くて、さっぱりできないタイプなので、正直、今でも乗り越えられているかはわからないし、ふたりが脱退してからは心が不安定になることも増えました。でも、仕事だしなと思ってるんです。お母さんに泣きながらいっぱい話したときも、“仕事だから”が約束のような言葉になっていたんですよね。今までも人間関係でいろいろあって友達とバイバイしたこともあったけど、これはお仕事だから悲しんでいる暇はないかもしれないなと思えるんです。今でもふたりのことを思い出すし、レッスン帰りに何気なく撮った写真を残したりもしているくらいなので、まだ吹っ切れられたかもわからないですけど、私はVIOLAVIEが大好きなので、抜けないぞという気持ちです」

――繊細な部分を話していただいてありがとうございます。ニュー・シングル『Destiny』についてもお聞かせください。どの曲も素晴らしかったです。まずは表題の「Destiny」はどう受け止めましたか?
SAAYA 「加納さんのデモを聴いて、イントロを聴いた瞬間からオッケー!ってなりました。早く歌いたいというのが第一印象でした。これまでの曲はメロディが大衆的というか、みんなに刺さるようなものだったと思うんですけど、いよいよ加納さんがVIOLAVIEで表現したいものが曲になったんだなと受け止めました」
MITSUKI 「“Answer”とかとは曲も歌詞も雰囲気も違って、表現がより大事になりそうだから、自分にできるか不安も大きかったです。この加納さんの声がみんなの声になったらどうなるかわからなかったので、早く出来上がりを聴きたいなと思いました」
KONOHA 「めっちゃかっこいいのができたよって加納さんから聞いていたんですけど、SAAYAとふたりで期待しすぎないようにしようって話していたんです(笑)。でも、期待以上でした。めっちゃかっこよくて大好き!って思いました。好きなパートがありすぎます。MIOHAちゃんが振り付けするというのも聞いていたので、これは最高の作品になると思いました」
MIOHA 「加納さんが本当にやりたいことをやると聞いていたので、どんなふうになるんだろうってドキドキしてたんですけど、こういうことだったんだと思いました。私たちの幅がまたひとつ広がりそうだなと楽しみになりました。自画自賛になるんですけど、完成版を聴いて、私たちすごくね?って思いましたし(笑)、これが私たちの表現ですと自信を持って言える作品がまたひとつ増えました」

――どんな振り付けになりましたか?
MIOHA 「最初はかたちが全然見えてこなくて、自分に対しての怒りがあったんです。妹もダンスをやっているので見てもらったりしていたら、結局15個くらいサビのパターンを作ってしまって、正解がわからなくてスランプになってしまって。それで、みんなにどう思うか聞いて、意見が一致した部分を拾って作っていったのが今の完成形です。先生にもサビを褒めていただけたので、そこから広げていけました。難しいかなと思いつつ、振りをメンバーに落としたら、こんなに成長したんだって思うくらいめちゃ踊れていて。全員に合う振り付けができたのは嬉しいです」

――6人から4人になったことでダンスも歌も責任感が増したのではないでしょうか?
SAAYA 「それはめっちゃあります。甘えていたわけではないですけど、後ろに行ったら見えないかな、とか思っていたんです(笑)。一生懸命なのは変わりないんですけど、より注意深く踊らなきゃと思ったし、歌のバリエーションももっと増やさないといけないのかなと考えました」
MIOHA 「SAAYAはレコーディングでも何パターンも出して歌ってたよね。それぞれの良さも伝わりやすくなったから、その部分でもグループの結束力のは高まったかなと思います」

――カップリングの「Tailwind」もダンサブルな曲になりました。
MIOHA 「これは6人の状態で準備していて、歌割りも立ち位置も決め直したので、がむしゃらになってやった記憶があります。個人的なことで言うと、ラップ担当が抜けたので、私がラップ・パートをやっているんですね。ライヴでも一度も成功したことがないレベルだし、映像を見返しても自分の部分だけ飛ばしちゃうんです(笑)。そのくらい苦手意識があって、レコーディングでも、こんなにみんなが歌う前後がいいのに私が台なしにしちゃったらどうしようって思ったんですけど、なんとか違和感なく録り切れたのでよかったです」
SAAYA 「ライヴ中のラップは私たちが気付くくらい毎回歌いかたを変えているのが印象的だったし、レコーディング当日も葛藤してたんですけど、一度考えて録り直したらめっちゃよくなっていて、どんどんグロウアップしてると思いました。“Tailwind”はオープニングっぽい雰囲気だなと感じます。当初はクールめに踊っていたんですけど、加納さんから満面の笑みでやったほうが曲のよさが伝わるよとアドヴァイスしていただいて、それからめっちゃ笑顔で踊り出したんですけど、たしかにそうしたほうが合っているなと。なので、ウキウキした感じで歌ってます」
MITSUKI 「“BIRTHDAY”ほど明るくはないけど暗いわけでもなくて、楽しくできる曲です。私のまわりは“Tailwind”が一番好きという人も多くて、家族にも響いている曲です」
KONOHA 「私はサビを担当していて、1番とラスサビは同じメロディで同じ歌詞なんですね。レコーディングの時間もタイトなので、以前だったらコピペするケースだったりするんですけど、4人体制の初めての曲なので、今までのVIOLAVIEのすべての気持ちを乗せたくて、コピペではなく全部歌わせてほしいと加納さんにお願いしました。レコーディングのときは音を外さないように、うまく歌うように意識しちゃうんですけど、ラスサビの部分だけは音が外れてもいいから、SAAYAからの歌のバトンを受け取って自分の気持ちを100%出して歌おうと思って臨みました。そこは気にして聴いてみてもらえたら嬉しいです」

――「BIRTHDAY (Re-recorded)」は改めて4人バージョンになりました。
SAAYA 「ライヴを重ねるうちに歌が変化していったんですよね。最初は抜けたふたりをマネて歌っていたんですけど、回数を重ねるうちにどんどん自分の歌いかたがわかってきて。それがレコーディングでも出せたかなと思います」
MIOHA 「たしか、ライヴ当日に急遽4人での歌割りを考えたんですよね。今日は来られないメンバーがいるので、4人でやってくださいって(笑)。最初は私とかMITSUKIちゃんの苦手な高い音が出る / 出ないとかも無視して割り振ったりしたんですけど、ライヴを繰り返す毎にだんだん自分のものになっていきました」

――4人になって初のシングルということで、ある意味で仕切り直しでもあるわけですよね。ここからまた広がっていくといいなと思います。
MIOHA 「今のVIOLAVIEはこれですと言えるものになっているので、聴いていただけたら嬉しいです」
SAAYA 「いろいろありましたけど、私たちがオーディションを受けたいと感じたときの感情を思い返して、これがやりたかったんだとなれる瞬間がみんなにあったらいいなと思います。やり始めた理由がそれぞれ違っても、誰かを感動させたいとか、こんな音楽を届けたいとか思っていたはずだから、私はここを選んでよかった、VIOLAVIEを続けてよかったと思える結末があったらいいなと思ってます」

VIOLAVIE 'Destiny'■ 2022年10月9日(水)発売
VIOLAVIE
『Destiny』

https://big-up.style/r77JOhMwZG

[収録曲]
01. Destiny
02. Tailwind
03. BIRTHDAY (Re-recorded)

VIOLAVIE
Destiny リリースパーティー

2024年10月26日(土)
東京 恵比寿 BATICA

開場 11:30 / 開演 12:00 / 終演 15:30
前売 2,500円 / 当日 3,000円(税込 / 別途ドリンク代)
TIGET

[出演]
VIOLAVIE
ゲスト: ISAFAT / HALLCA