西川裕子がソロ・エキシビション「Mossy Mossy」を山梨・北杜 GASBON METABOLISMにて開催


 昨年はアメリカ・ニューヨーク、カナダ・トロントなどで個展を開催した美術家・西川裕子が、ソロ・エキシビション「Mossy Mossy」を4月26日(金)から5月27日(月)まで山梨・北杜 GASBON METABOLISMにて開催。

 20余年に亘ってアメリカで活動を続け、近年は陶器 / 粘土作品に力を入れているという西川は、東京・西麻布 CALM & PUNK GALLERYの姉妹ギャラリー・GASBON METABOLISMの周辺にて一昨年と昨年にアーティスト・イン・レジデンスを敢行。「Mossy Mossy」では、滞在時にGASBON METABOLISMで発見した苔からインスピレーションを得て制作したというモビール作品を中心に、立体作品とドローイングが展示されます。

Mossy Mossy(モシモシ) 2024
Mossy: 苔むした
苔(moss)がこの建物の中を覆っているのに出くわす情景を想像した。苔は硬い石をふかふかにする。足元、側面、頭上を包んで広がって分厚く育つ。その中にまいり込んだ者に飲み込まれた恐怖、自己を忘れる悦び、どこからまいり込んだのか、いつから飲み込まれ始めたのか分からない不思議がやってくる。
中心から周囲に広がり育って増えていく。あるのではないかと想像できる育つシステムにそいながら次へ次へと変化しながら大きくなっていく形を作った。この今も増え続けていると思われる形だ。
針金と紙パルプの作品は天井から下がる一本の固定された線から繋がって重量のバランスで形成されている。形の全部が繋がって各部分の形、動きがたがいに依存しあっている。線、色、形、テクスチャー、量は、見るものが体をここに運んで体験する要素で作った。ひとつひとつの形は全て違う。遠くで見れば単色に見えるものも近くではたくさんの違う色の点々でできている。触ってみたくなるぼこぼこもあるしひらひらもある。人が動いて空気の流れが変わる反応で作品が動き形が変化する。
あんだ針金のみで構成された作品は、びんびんと硬い黒い線そのものだけではもたない透明感のある形だ。一点から見るのではなく、あらゆる方向から、体を動かして見て体験する時に形が変化する。
線が形になる、それがまた次の形の要素になる、この繰り返しと広がりがひとりの中のアイディアの育ち方と、人同士のアイディアの広がりと似ている。一本繋げるとそこからまた一本繋がって、その前の一本を繋げる前には想像できない形がその先に育っていく。それぞれの線が育ちを繰り返して環境になる。その中に迷い込む。飲み込まれる。

――西川裕子

西川裕子 個展
Mossy Mossy (モシモシ)

2024年4月26日(金)-5月27日(月)
山梨 北杜 GASBON METABOLISM
〒408-0205 山梨県北杜市明野町浅尾新田12
11:00-17:00

※ 火-木休廊 | GWの開館に関してはInstagramで告知

Gallery

西川裕子 Yuko Nishikawa Official Site | https://www.yukonishikawa.com/