東京・新大久保 EARTHDOMでの自主企画ライヴ「GRAYASYLUM vol.7」の開催を11月19日(土)に控えるZENOCIDEが、『Veronica Puts On Silk』(2014, MGMD A ORG.)以来の単独作品となる新作『KURSED』をカセットテープ・フォーマットでリリース。同公演からの販売開始に先駆け、那倉太一(ENDON, JUSTICE, LETTERS | TOKYODIONYSOS)が作品に寄せた一文が公開されています。
インテレクチュアルであると同時にサイコティック、ステンチィでありながらモッシェイブル、ウルトラ・ロウかつハイエンドな同作には、EARTHDOM支援コンピレーション『2020, the Battle Continues』への提供楽曲を含む全7曲を収録。DJ / プロデューサーとして名高いAIWABEATZが東京・中野 MOONSTEPにてエア録りした音源をMATERIAL aka QUEER NATIONS(MGMD A ORG.)がシンセサイズするという特殊な工程は『Veronica Puts On Silk』の再来を想起させるものの、活動再開後の初音源に相応しく全く新しい姿を見せる内容となっています。パッケージの制作はプリンティング・カンパニー「CORNER PRINTING」内のカセットテープ部門「ODD TAPE DUPLICATION」が担当。カヴァー・アートはZENOCIDEの近作マーチャンダイズも手がけている072(DISTURD, IMMORTAL DEATH)によるもの。
彼らは間違いなく一級品のハードコアパンクである。
決定的に横たわる絶望と抑鬱のムード、特異なタイム感や唐突に起こる雪崩や脱臼のごとき展開、そして、それらをオーセンティックな演奏で支えながら描かれる現代の疎外された人間の風景。
そして、叫ばれる、否。否。否。
音楽は、もはや、アーキテクチャ型権力の一つの手法——お祭りじみた連帯を成す歯車のためのローションに成り下がったのか?
ジミ・ヘンドリックスがベトナム戦争への抗議として、現地で爆発する爆弾の音を模したとされるフィードバックノイズによって、アメリカ国歌を美しく切り裂いたことは、もはや、つまらない教科書的な歴史のなかの凡庸な所作なのか?
ディストピアミュージックの主人公は誰か?
暴力的な音楽をひとはなぜアレンジメントするのか?
答えはこのブツの中にある。
彼らが遥か昔から使う屋号——「ZENOCIDE」が予見していた未来が今我々の眼前に拡がっている。
私たちは「戦争を知らない」などと言うことはできない。
世界は未だ帝国の時代である。これはその属国に生きる我々にとっての「ゼイリブ」のサングラスだ。
彼らはあなたがたの想像力を試し、ただの嗜好品となってしまったロックミュージックの意匠を政治の場に再び引きずり戻そうとしている——それでも、尚、世界を愛するために。
その決定的ないくつもの場面の美しさに私は抗うことができない。
――那倉太一 (ENDON, JUSTICE, LETTERS | TOKYODIONYSOS)
■ 2022年11月19日(土)発売
ZENOCIDE
『KURSED』
Cassette Tape 税込1,000円
[収録曲]
01. HARMONY/DISCORD
02. SLEEP RITUAL
03. WHITE MOTH
04. EXISTENZ
05. EYELESS HORSES
06. SHE
07. (SILENCE)
2022年11月19日(土)
東京 新大久保 EARTHDOM
開場 17:00 / 開演 17:30
1,000円(税込 / 別途ドリンク代)
[Live]
AIWABEATZ x QUEER NATIONS / BEEF TANNEN / GRAVAVGRAV / HOTVOX / IMMORTAL DEATH / SAIGAN TERROR / ZENOCIDE
[DJ]
KEIYA / 李ペリー / S3XY SAD I / SHOT-ARROW / SO GURAGURA / YWK1
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