Interview | Black Stamp Studios | Eric Kneeland


シルクスクリーンを通じて会話が生まれる

 アメリカ西海岸はカリフォルニア・ハーフムーンベイという海沿いの街で、シルクスクリーン・スタジオ「Black Stamp Studios」を運営するEric Kneelandさんにインタビューしました。

 Kneelandさんはシルクスクリーン工房でTシャツやポスターなどを刷りながら、学校でシルクスクリーンを教えたり、街のお店の看板のサイン・ペインティングや、レコードのジャケット・デザインなど様々な活動をしています。


 今回来日すると聞いて、せっかくならと埼玉・戸田公園の「CORNER PRINTING SELF」でのワークショップ開催を打診したところ、快くOK。当日はポスター・プリントのワークショップを実施。その後はお茶でもしながらお話できればいいな、というのんびりしたイベントを予定してます。これに先駆けて、本稿をぜひご覧ください。


取材・文 | Kemmy 3000 (DMB PRODUCTION | DREADEYE) | 2024年7月

Black Stamp Studios

――なぜシルクスクリーンを始めたんですか?
 「正直に言うと、ヒマだったから(笑)。 当時、ボストンの日雇い労働者向けの宿に泊まっていて、リヴィングに工業用サイズの流し台があったから、DIYでできる簡易的なスクリーンプリント・キットを買ってステッカー作りを始めた。そのステッカーを持って、ボストン中に貼って回ったよ。その宿は人付き合いが嫌いな人ばかりが泊まっていて、みんなドアに鍵をかけているようなところだったんだけど、あるとき私がリヴィング・ルームでプリントを始めると、普段目も合わせないような隣人たちが“おい、何やってるんだ?”って声を掛けてきて、会話が生まれた。 そのときに初めてシルクスクリーンのパワー、シルクスクリーンを通じての交流が生まれる瞬間を知ることができたんだ」

――今までにたくさんのTシャツ、ジャケット、ポスター、ポストカードなどなどをプリントしてきたと思いますが、何にプリントするのが一番好きですか?シルクスクリーンの魅力はなんですか?
 「その通り、今まで本当にいろんなものにプリントをしてきたよ。Tシャツやポストカード、看板からサーフボードまで。スタジオでは毎日違うものにプリントをしているんだけど、どれも違うから、その違いを楽しんでる。中でも、バリー・マッギーのサーフボードにプリントをしたことは今でも忘れられない。そのボードに乗って太平洋をサーフィンしている姿を見たことはかけがえのない思い出だね」

――毎年、新年のグリーティング・カード、年賀状を作って友達に送っていますよね。いつからやり始めたんですか?
 「新年のグリーティング・カードを作るのが楽しくてしかたがないんだ。もう14年にもなるけど、今では毎年恒例になっているよ。初めは妻と2人で『プリントゴッコ』を使って作り始めたんだけど、それがもう楽しくて、とてもいい仕上がりだったんだ。『プリントゴッコ』よ永遠に!今は普段仕事で使っているようなシルクスクリーンの機材でプリントをしているんだけど、毎年300枚は刷っているよ。1年の締めくくりにぴったりで、普段会わない友達への挨拶にもってこいなんだ」

――今までプリントをした中で、一番のお気に入りはなんですか?私はORFN / Mark Crossのアートワークが両面にプリントされたポスターがお気に入りです。
 「あのポスターは自分にとってとても大きな1枚だったよ。ORFNと初めて一緒に制作をする機会を得て、より彼のことを知ることができたんだ。彼はプリントに対してとても情熱的で、背景の黄色の色味にすごく拘っていた。自分にとって最初で最後の両面プリントで、とてもおもしろいアイディアをかたちにできたよ。R.I.P. KING ORFN!」

――あなたは学校でもシルクスクリーンを教えていますよね?人にシルクを教えるのは好きですか?
 「フットヒル・カレッジでシルクスクリーンを教えているよ。子どもたちにシルクスクリーンというものがあることを教えるのはとても楽しくて、教え子の多くがその後シルクスクリーンの仕事に就いたり、自宅でプリントをするようになったんだ。何人かは最終的に私の店で働くようになったよ!」

――あなたはシルクスクリーンのほかにも、サイン・ペインティングやグラフィティも描いていますよね?それはいつからやっていますか?
 「サイン・ペインティングが大好きで、もう長いことやっているよ。サインを描くのはもちろんなんだけど、行く場所毎に普段は触れ合わないようなコミュニティの人々と出会えて、交流をできるのがとても好きなんだ。ここ数年、すっかりグラフィティはやらなくなってしまったけど、今ではそのかわりにいろんな場所にサイン・ペインティングをしているよ。車からそれを見るのがすごく好きなんだ(笑)」

――あなたのレタリングのスタイルがとても好きで、特にGRAND INVINCIBLEのロゴが大好きなのですが、何に影響を受けてあのスタイルになったんですか?
 「あのロゴを書くのはとても楽しかったよ。Dan Lactose(Dan Bolleri aka DJ Eons One)とLuke Sickの2人が大の漫画好きなのを知っていたので、クラシックなアメリカン・コミックの表紙のようなレタリングとグラフィックを意識して描いたんだ。S/O GRAND INVINCIBLE!!!」

――個人的にただ興味があるだけなのですが、好きなグラフィティ・ライターは誰ですか?
 「とてもたくさんいるんだけど……ORFN、MARVL、TWIST、UB40、EGS、DELTA(オランダ・アムステルダム)、Finsta(スウェーデン・ストックホルム)、GTBクルーのみんな、Spie、DREAM TDK、The A-Team, ASCrew、Quake、Defie、Werm……本当にたくさん!」

Finsta + Black Stamp Studios

――ところで、今までに何回日本に来たことがありますか?あなたが大阪でもペイントしているのを見たこがあります。日本にも友達は多いですか?
 「ナオという初めての日本人の友達と一緒に、1998年に初めて日本に遊びに行ったんだ。 彼は私に日本を紹介してくれて、それから5年間は毎年日本に行った。大阪にも東京にも友達がいるよ。日本は大好きな国のひとつで、旅をするのも、人も、そしてカルチャーも、とても大好き!今回初めて日本でワークショップができるのをとても楽しみにしているよ」

Black Stamp Studios Instagram | https://www.instagram.com/blackstampstudios/

CORNER PRINTING Presents Black Stamp Studios Silk Screen WorkshopCORNER PRINTING Presents
Black Stamp Studios Silk Screen Workshop

2024年7月27日(土)
埼玉 戸田公園 CORNER PRINTING SELF

〒335-0023 埼玉県戸田市本町4-7-10
13:00-(約3時間程度)
定員 15名

費用 3,500円(税込 / ポストカード + Tシャツ1枚込 / 1ドリンク)
※ ボディの種類 / 枚数によって変動
予約(7/26まで) dmbproduction514@gmail.com

ワークショップ内容
第1部 ポストカード・プリント
第2部 Tシャツ・プリント