Interview | BLYY + Tooson


裏切れない、今までの自分を

 熟練工が打ち付けた鋼のような黒さと、生活を祝福するような詩。東京・池袋のローカリズム、それがBLYYの作り上げてきたものだ。彼らの看板とも言える『THE SHIT』シリーズの4作目(2025)を聴いて、そのローカリズムが街ごと宇宙船として漂流しているかのように感じた。漂流する音と詩の根付く場所・池袋で、BLYYのAKIYAHEAD、alled、DMJ、Dzlu、DJ SHINJIとToosonに話を聞いた。

取材・文 | Lil Mercy (J.COLUMBUS | PAYBACK BOYS | WDsounds | Riverside Reading Club) | 2026年1月


――最初にゲーム『ROMEO IS A DEADMAN』の話からさせてください。これはどういうプロジェクトなんですか?

Dzlu 「友達の友達がそこのゲーム会社(Grasshopper Manufacture)で働いていて、自分たちとかfebbとか、ヒップホップが好きで。その人が自分たちに頼みたいって言ってくれて、最初は1曲っていう話だったのが、増えていって5曲になった。アクション・ゲームっていう話は聞いていて、“闘争本能的な曲”みたいなオファーで」

――細かい設定は聞いていなかったということですか?
Dzlu 「ゲームの資料を少しずついただいて各々が自分の解釈で書いていったみたいな」
Tooson 「コンセプトはあれですね、時空を超えたウルトラ・ヴァイオレンス・アクション」
Dzlu 「『時空警察』的感じ」

――『時空警察』ってなんでしたっけ(笑)。それは把握しながら作っているんですか?
alled 「一応把握して」
Dzlu 「世界に向けたような……(ここでゲームのあらすじを話してもらったのですが、ネタバレを含むので割愛します)」
AKIYAHEAD 「そういうあれなの?その友達はけっこう昔から知っていて、お世話になっているんですよね」

――ゲームの音楽って、作りかたが普段の楽曲制作と異なると思います。『THE SHIT 4』に続き、曲は全部Toosonが作ってるんですか?
Tooson 「alledがやっている1曲以外の4曲を作っています。ちょうど自分がドリルにハマっていたから、“これはゲームにハマるんじゃないの?”って提示してみて」
Dzlu 「恐る恐る提出してみたら、全部一発OKみたいな。ビートはNGなかったですね。ラップは企業案件だから“このワードはやめてほしい”っていうのはあったけど」

――ラッパー陣は制作のときにどういう歌詞を書こうって考えていたんですか?
alled 「BLYYは長くやっているから、わざわざテーマって作らないんだけど、今回はテーマがあって。逆にテーマがあるからやりやすかった部分もかなりある。定まってるんで、言うことが。自由なわけじゃないんで。やってみたらおもしろかったっていうのはあるっすね」
AKIYAHEAD 「自分たちだとゲームはファミコンとかスーパーファミコン(任天堂)とかをやっていた感じなんですけど、今のゲームは全然違っていて、色とかがすごいんですよね。トレーラーを観たら、ピンク色とかめっちゃ出てきて」
alled 「びっくりしたよ。やってみて」

――自分は全然やらないんですけど、ゲームやりますか?
alled + Dzlu 「いや、やらない」
AKIYAHEAD 「俺は子供とSwitch(任天堂)とかやる」
Dzlu 「数年前までSHINJIが『ポケモン』やってたね」
alled 「携帯のゲームとは違うでしょ」
Tooson 「違いますね。レベルが違いますからね。昔はゲーマーでしたけど。『鉄拳』(バンダイナムコ)とかですね。今回のゲームすごいですよ。alledがラップしてる曲は『バイオハザード』(カプコン)の音楽を手掛けている小池 令氏によるトラックで」
alled 「ああ、そんなこと言ってたな」
Dzlu 「ゲーム音楽界の巨匠ですよ」
alled 「俺は全然わかんないけどね。最初はなんでこんなオーケストラの曲やらなきゃいけないの?って。何の手がかりもなさすぎて、まじでびっくりしたけどね」

BLYY + 須田剛一
「Grasshopper Manufacture」CEO / 『ROMEO IS A DEADMAN』エグゼクティヴディレクター・須田剛一氏と

――それぞれに曲を振ったりとか、プロデュースはToosonがやっているんですか?
Tooson 「今回はそうですね。これ(小池曲)はalledしか乗せられないなっていう」
alled 「俺はDMJがやっている曲がやりたかったんだけど、それをToosonに伝える前にそう言われた」
DMJ 「最初はAKIYAHEADがやるって言ってたんだけど、“無理です”ってなって」
alled 「みんな無理だよ」

――自分たちの楽曲をリリースするのとは作業工程も違いますよね?
Dzlu 「最初はスケジュールに余裕あるなと思っていたらだんだん先方がペースを上げてきて、3週間で4曲ミックスまで仕上げてくれとなって。そのタイミングでDMJのパソコンがぶっ壊れて、パソコン買い直したからね」

――DMJのところでレコーディングできるんですよね。レコーディングは自分たちのスタジオでやってるんですね?
DMJ 「alled以外は」
alled 「俺は自分のところで録った。去年環境を整えて、『THE SHIT 4』とかこのゲームので何曲かやれた感じ」
DMJ 「“Beautiful Dedication”(『THE SHIT 4』収録曲)とか」
alled 「その1曲だけ。編集も自分でしたんで。そういうのやろうってこの間、飲んだときに話したと思うんだけど」

――覚えてないかも……あ、たしかに話してましたね(笑)。ところで、ゲームをやっている人とやっていない人ではイメージする音楽って違うと思うんですが、いかがでしょうか?
DMJ 「テーマ、俺はあまり把握してなかったんすよ。ゲーム会社のトレーラーがすごく良くできていて、それをひたすら観て作りましたね」

alled 「みんなそうじゃない?俺もそうだよ。リアルなことを歌うっていうのとは少しポジションが違ったのがおもしろくて、それが意外だった。やってみて。最初はやる意味すらもよくわからないっていうのがあったんですけど、やったあとに、すごく良い頭の作業ができたと思った。それがおもしろかった」
AKIYAHEAD 「たしかに」
DMJ 「いつもよりリリックを書いた覚えがあります。そこから減らしたみたいな」
alled 「その感覚って今までなかったからね。制限されているから、言葉が出てくるって思っていなかったんで。逆に普段自分たちがやってるリアルのほうがすごく難しいんだなって、思い直したところはあります」

――「この世界です」って言われているところに曲を持っていくっていうことですもんね。その中に、それぞれの世界は落とし込まれていると思います。
Dzlu 「聴きやすい、わかりやすい。普段やっている曲と比べるとめちゃくちゃわかりやすいからね。それでいて文学性が損なわれてない」

――ゲーム中、曲はどこで流れるんですか?
Tooson 「4曲は最初のメニュー・セレクト画面みたいなのあるじゃないすか。そこですね。そこで4人の曲がランダムでどれか必ず流れます。もともと自分はRZAとかに憧れていて、最終的には映画音楽もやりたいんで」
Dzlu 「戦闘場面でToosonのビートが流れる」

――Toosonとの共作『THE SHIT 4』があった流れでこのゲーム音楽の制作に繋がってきたというのはありますか?
Dzlu 「『THE SHIT 4』を作っているときに、いきなりゲームの話が入ってきたんだよ。さらに忙しくなっちゃったみたいな。ゲームは締め切りがあったから、途中で『THE SHIT 4』の制作を止めて」

――『THE SHIT 4』に関してはToosonがハブになる位置にいる感じですか?
Dzlu 「そうだね。我々は書いて録るみたいな」
alled 「トラックの提供がToosonで、ラッパーが乗せられるやつを探していって」

――トラックを聴かせてもらって選ぶっていうことですよね。
alled 「そうだね。あとは、リミックスとかもあるんで、アルバムというかEPサイズで数が揃っているからそれでいけるかなっていう」

――トラックはどれくらいの数を聴きましたか?
alled 「かなり膨大ですね。俺はへたしたら50くらい聴いているかもしれない」
Dzlu 「Toosonはインスト集を3ヶ月に1回くらい出してる。“聴いてください”って送られてきて、サボって聴いていなかったりすると次のが出てるから」
alled 「コメントできなくなる(笑)」
Tooson 「そんな流れで今月も出ますね。自分指向のハードすぎるやつとかはレーベルに迷惑かけちゃうかなと思って、自主レーベル(FEC Production)を立ち上げて。そこから第1作が今月出ます。ひょっとしたら明後日出てるかな。これまでインスト音源を出していたのは術ノ穴ですね。相方(Fugenn & The White Elephants)と2人でプロダクション・ユニットをやっていて、それがいっぱい出てます」
Dzlu 「『THE SHIT 4』のマスタリングもFugenn君がやってる」

Tooson
Tooson

――今までとはエンジニアも含めて体制が変わってきたということですよね?
Dzlu 「そうですね。なんか自主制作感が出ているというか、ミックスがToosonでマスタリングがFugenn君だから。自分らのネットワークでやれるかたちになった」

――近年のBLYYは、自主制作のスタイルを突き詰めているように感じています。
alled 「DIYスタイル」

――そこがあるからこそ、ビートのタイプとかだけじゃない、アンダーグラウンド・ヒップホップの感覚をすごく重要視しているように感じる。
Dzlu 「そうですね。まあ、自主でやるがゆえの楽しさ、おもしろさがある。考えるのが楽しい。フィーチャリングの人選とかもおもしろくできる」

――フィーチャリングはどういう風に決めているんですか?
Dzlu 「自分らの『東京無宿』(2024, SUMMIT)とCOVAN君のアルバム(『nayba』2024, D.R.C.)はほとんど同じ時期に出ているんだけど、市川タツキさんっていう若い音楽ライターが『Real Sound』の連載で一緒に取り上げてくださって、興味を持って聴いてみたらすごくかっこいいと思って。DyyPRIDE君もその年の夏くらいに『THIRD EYE』(ZANZO STUDIO)っていうアルバムを出して、そのミックス / マスタリングをENAがやってたの。まとめて聴かせてもらったら、すごくかっこよくて」
alled 「あれENAがやってるの?知らなかった」
Dzlu 「それでHi'Spec君にENAを紹介した流れもあっていろいろアイディアが繋がっていって。SUMMITのイベントで1年に1回会って話したときに、いつかラップで絡めたらいいっすよねって話したりはしていたけど。まさか、本当にやるとは思っていなかった。すごく楽しかったっすね。DMJの家にDyyPRIDE君がいる絵がおもしろかった」

――alledは自分の家で録ったんですもんね。
alled 「そう。けっこう狙ってたすね。マイクが違うので、全員マイクが違うのをどう見せるかっていうのは、みんなに黙って狙ってた。ちょっと嫌がらせっていうか。ミックスする人にとっての(笑)」
Tooson 「だけど、そこは全部うまくバランスを取って。3人とも種類が違ったんで。ダイナミックとコンデンサーで違う」
alled 「圧倒的に違うんで、けっこう困るだろうなと思ったけど、黙ってた(笑)」
Tooson 「なんとかバランスは整ったね」
alled 「綺麗にするだけじゃないんで」

――そのあたりも今回の世界観が変わっていたりするところに影響しているんですかね。
alled 「今回SHINJIはスクラッチで、楽曲にはあまり参加していなかったんですけど。俺はあまりドリルって感覚でわかっていないんですけど、ドリルだったらスクラッチがないのがあたりまえみたいに言われるのに、逆に“Bad Urbanization”っていう曲でToosonからスクラッチ入れてっていうのがあって」
Tooson 「あれはまたドリルとは違う」

alled 「なにげに2曲参加していて、そのへんは自分が思っている以上に違うハードルがあったのかなって思ってる」
SHINJI 「もう全然問題なく。場所だけ決まっていて、内容は特に」
alled 「案外自然にやってた」
Tooson 「今度は完全なドリル・ビートでやってもらいたい」
Dzlu 「Toosonのドリル・ビートの曲で1曲丸々スクラッチの曲を作りたいんだよね。Toosonプロデュースの作品だからSHINJIにもラッパーみたいな感じで参加してもらいたい」

――BLYYはメンバー全員というより、誰と誰っていう感じでやっていることが多いと思うんだけど、今回みたいに送ってもらったトラックから決める場合、ラップはどういう風に決めているの?
Tooson 「抽象的な感じでこの曲は誰がハマると思いますみたいに言ってみて、その上でみんなで決めてもらう」
alled 「Toosonが提案してきたけど乗せなかった曲とかもけっこうある。そういう意味ではToosonがフルで選んできた曲に全部乗せるではないです。いやーこれはちょっと無理だなっていうのは絶対出てくる。これはちょっとすごいねとか(笑)」
Dzlu 「あまりに壮大すぎて、マフィア映画の音楽くらい壮大すぎて半年くらい書けなくて、ビート差し替えてもらったら2、3日で書けた。いやー、あれは無理だった(笑)」

――制作期間的に『THE SHIT 4』はどれくらいの期間で作ったんですか?
Dzlu 「1年くらいじゃないかな」
Tooson 「自分が出しているインスト・アルバムに初めてラッパーをフィーチャリングしたのがBLYYとの“Blue Blood”とalled & DMJとの“Homie”っていう曲で(『Far East Cityscape 3』2024, 術ノ穴)。そのリミックスを勝手にやっちゃってみて、やばいってなって」
alled 「ああ、そういうのあったかも」
Tooson 「それを聴かせたときに、リミックスのこの感じに曲を足してEP的なものを出したらおもしろくないですか?って言ったのがきっかけ」

――その前にTooson & alledもない?
Dzlu 「それもう3年くらい前。『東京無宿』より前。いろいろあってToosonとやるようになって、っていう流れ。すごい勢いですごい数を作ってるから、俺らもサボれないみたいな。サボれないんだよ」

――『THE SHIT 4』はそれぞれのラップの世界観がすごく際立っているように感じました。切り取られた世界がそれぞれ存在しているような。
alled 「ラップがそういう印象だって言われるのはすごく嬉しいですね」
Tooson 「今までと全然違う感じで声をミキシングしたんです。一番その人がかっこよく聞こえることを意識して」
alled 「ミックス / マスタリングは俺が今回一番おもしろく感じたところ。これまで、要は一度こっちでレコーディングして、ミックスはクッションになるじゃないですか。ミックスはこの人、マスタリングはこの人ってなるから。それが、DOPEYとやったときも思ったけど、全部やるじゃないですか。録ったら全部仕上げてくるんですよ。今回Toosonに委ねてみた結果、音の分かれ道がしっかりあって、それがラッパーの際立ちにもしかしたら影響しているのかも。そこを委ねたのは初めて。俺らはラップをただトラックに合わせるくらいしか考えていないはずなんですけど」

――今まではミックスの時点で止めていたっていうこと?
alled 「レコーディングして、まずそれを固めてから、ミキシングを誰に頼んでとかを決めるって、俺はそう教わったんだよね。DOPEYのときはちょっと止めたけど、Toosonは動きが早いから。委ねた結果、ラップが際立ったっていうのはそういうところから生まれているかもね。ラッパーが考え込んだ感じではないよね。実際、今の若い人たちの話を聞いても自分で全部やる人が多いんで、そういうのも含めて、今の主流パターンのほうがいいなっていうのはあった。1日、2日で上がってきちゃって、自分がここをこうしたかったってのも伝えられないから怖かったですけど。もう3時間くらいで作ってきた気がするんだよね」
Dzlu 「一度“数日かかるかもしれないです”って言われて、半日後には送られてきたりしてた」

――ミックスが早い人の、あの「数日かかるかもしれない」ってなんなんですかね。だいたいその日のうちに届くじゃないですか(笑)。
Tooson 「実は数時間しか空き時間がない感じで、やってみたらうまくいっちゃった」
alled 「良い結果っていうことじゃないっすか。悩むかなと思ったら数時間でいけたっていうのはアーティスト側からしたら良い結果」
Tooson 「その中だけじゃ無理かと思っていたら、意外とうまくいっちゃって。その時間を逃しちゃうと忙しいスケジュールだったんですよ」
alled 「熱量があったはずだよね。そこには」

――1曲ずつそうやって作っていったんですか?
alled 「いや、EPサイズなんで出たとこ勝負で、ラッパーとトラックメイカーで話したのは最後の2曲だけじゃないですか(笑)?ただ作っていって。最後の2曲くらいでEPにするためのバランスを考えた」

BLYY

――それぞれが小さな声を拾い上げているように感じるリリックでした。普段見えない、聞こえないようにされている声だったりとか。
alled 「それは澤田さん(筆者)自身がそういう感じだから、そう思うのもあると思うんですけど」

――自分が思っているからそういう風に捉えられるということ?
alled 「そう。年齢的なものもあると思う。さっきのゲームの話と同じで、Toosonのトラックっていうことで少しやるべきことが狭まってる。自分ができることをやるっていう方向に行くから、そういう、拾い上げることが目に付くんじゃないですか?落ちているものを拾うから。そういうことじゃないですか?やるべきことが自由じゃないときって。それでそういう印象になったのかもしれない。BLYYでやりやすい環境でやっているんじゃないので、それがそういうのを生んだのかなって。さっきのミックスの話のときも思ったけど、だから良かったんじゃないですか?リリックの感情なんて今さら変えられないし。裏切れない、今までの自分を。だから、やっぱりトラックメイカーとの影響でそうなっているんだったら嬉しい」
Dzlu 「あとビートの特異性。この歳になって“今のうちにドリル・フロウを身につけたほうがいい”ってToosonに言われて。でも、そうやってきっかけがないと挑戦できないし、いつまでもブーンバップやってるおじさんになっちゃう。ブーンバップも良いんだけど、そういうのをやった上で、またブーンバップをやったら変わると思うし。やれてすごく良かったですね。新しいことだった。AKIYAHEADは“ドリルってなんなんだよ?”とか言ってたからね」
AKIYAHEAD 「全くわからなかったからね。でも、自分の好きなものは変わらない。ブーンバップでやりたいっていうのはあるんだけど、Toosonにそこは勝負を挑まれたから、ちゃんと返した。ゲームのやつはマジでできないってなったけどね(笑)」

――曲を聴いている側はそんなこと思わないと思うけどな。『THE SHIT 4』のラップより伸びやかだと思うけど。
alled 「構えちゃったっていうことでしょ?」
AKIYAHEAD 「状況も違う。ゲームだと、起動したら常に流れるわけですからね。できないよっていうプレッシャーみたいなのは感じましたね」

――スキルは、頭の中にあるものをダイレクトに表現するためにも必要ですよね。
Tooson 「それで言うと、alledがフレッシュなのは、そういうダイレクトな感覚。何かを見ていたときのインスピレーションをダイレクトに落とし込むっていうのはよく言っているんですよ(FNMNL『【インタビュー】BLYY『東京無宿』| 続けないとなにも残らない』に詳しい)」
alled 「生っぽいのを消そうとする人もいるけど、消さないほうが俺はいいっていう」
Tooson 「それが一番リアルだから」
alled 「下手な部分があるほうがいい」
DMJ 「レコーディングしているとき、マイクの調子でズズってなったことがあって、それもアリやって言ってましたからね」
Tooson 「ビートを作っていても、感情をビートに変換することがなかなかできない」
alled 「いや、できてると思うよ」
Tooson 「どうなんすかね」
alled 「さすがに作業工程が違うから、リリックと」

BLYY

――表現していることって日常とも繋がっていると思うんですけど、ラップ / 表現と日常の境目って存在していますか?
alled 「完全に存在していると思いますよ」
Dzlu 「表現をする瞬間は境目があるよね。内容自体は日常の延長だったりするけど、アウトプットする瞬間は昼間の顔とは別の顔というか。結局昼の生活が材料だったりしても、アウトプットする瞬間は変わるのかも。素材自体は昼間の生活から得るものが多いっていう感じですね」
DMJ 「その純度はAKIYAHEADが高そうですね」
AKIYAHEAD 「やってきたことっていうのは、良い意味でも悪い意味でも自分がずっとやっていかないといけない、付き合っていかないといけないことだと思うんで。生活も音楽も両方。やってきたことをどう表現するかっていうときに、俺は自分の過去を否定したくないというか。もちろんクソなこともめちゃくちゃいっぱいやってきているんだけれども、出す瞬間だけは、肯定したいというか」
DMJ 「自分はそんなに境はないので。みんながすごく文学的なのもあって、昔から自分はあえて、わかりやすい、普段使うような言葉をリリックにしたいと思っていて」
Dzlu 「口語調みたいな」
DMJ 「それでずっとやってきてるんで、境はないですね」
Dzlu 「今回のゲームのやつは、DMJは口語調より一歩さらに踏み込んでいて。でもリリック書くのに苦労してたかも。マジで締め切りに間に合わないというか、みんなのレックをやってくれるのもあって、自分のリリックが全くできないみたいな。でも、ToosonがNYドリルのアーティストをバンバン送ってくれて」
DMJ 「あれはかなり参考にしましたね」
Dzlu 「それで突然ドリル・フロウを身につけて」
DMJ 「他の乗せかたとかを初めて勉強したかもしれないですね。初めてって言ったらおこがましいですけど、久々に。なるべくありのままでを意識していたんですけど。それで感じたのは、一度最近のフロウ、ドリルなのかトラップなのかはわからないですけど、それに近いので録ったときに、自分の中ではありえないくらいダサかったんですよ。聴いていられないみたいな。それで一旦やめて、そこからもう一回深く自分の中で落とし込んで、っていうのがあったんで」

――レコーディングすることでわかったことがあるということですよね。自分を客観視できたというか。
DMJ 「改めてそのフロウを自分の中に取り入れられたんじゃないですか?簡単にやってたんじゃ、やっぱりダサいなって思った。恥ずかしくなった。それでギリギリOKなラインまで持っていったみたいな感じでしたね。今回ひとつ思ったのは、取り入れるっていう部分では、全部自分のものにしていけばアリなんだっていうこと。今までずっと避けてたんで、勉強になりました」
alled 「若い人たちは逆にブーンバップでラップするのが難しいって聞くことがある」
Tooson 「二極化してますよね」
alled 「その感覚が、やってみるとわかる。今度ブーンバップでやってみると言葉の埋めかたが変わってくるし。でも、本来そんなに変わらないはずなのに、なんでそんなに変わるのかな?って思ったときに、音楽的に自分が慣れていないからそう感じるのかなって。そういうことはよく考えてますね。そんなことはないはずなんで、本当は。こっちはできてこっちはできないっていうこととか。でも人間関係的に自然と今のかたちになっただけですよね。無理やりやったわけじゃない」

――今は自然に触れられるところにこういうビートがあるっていうことですもんね。
alled 「そうそう。自然とTooson。とにかくペースが早くて圧が強いんで、逃げられないんですよね」

――今までは制作しているとき、そういう圧はなかった?
alled 「今までもあったけど、うまく避けてきた(笑)」
AKIYAHEAD 「1曲入魂というかね。このビートにこれで絶対作るみたいな感じで決めてたけど。Toosonはもうどんどんくるから」
Dzlu 「すごいペースなんだよ。リミックスとかあったらいいよねって言ったら次の日には“できました”って仕上げて送ってくるからね。一緒に制作して初めて知った、こんなに煽ってくるって。もちろん良い意味で」
alled 「もともと格闘家なんで半端ねえなみたいな」
AKIYAHEAD 「スタミナが半端ないもん」
alled 「レコーディングの環境ってシビアだよね。時代と共に変わっていくじゃないですか、さっき話していたミックス / マスタリングのスピード感とか、費用も昔だったらマスタリングってすげー高かったけど、今はすごく安かったり、1日仕事だったり。そういう時代感は音楽にとって、音楽だけじゃなくてなんでも大事なんだけど。そういう意味で、今こういう立ち位置にいられるのはToosonのおかげだと思う。表現するときに言い訳できないのがアウトプットの精度で、それをグニュグニュやるのは得意なんだけど、グニュグニュしていると聴いてもらえないから(笑)。グニュグニュしている間にもう求められていないものになっちゃう。どのアーティストもそう考えていると思うんですよ。もともと多作な人はできると思うんですけど、俺らなんて言われてたからね、“ライヴでもなんで毎回同じことやってるの?5年くらい同じことやってる”って。最近多作になったのは完全にToosonのおかげ。委ねて良かったこともある」
Dzlu 「関係性がリラックスしてる。でも煽られてる」

BLYY

――それは理想的なペースとも言えますね。
alled 「距離感はいい感じですね」
Dzlu 「仲良い友達がめっちゃ煽ってくれる」
Tooson 「自分的には煽っているつもりはないんですけど、煽られていると思ってしまうような感じですよね」
Dzlu 「ちゃんと返して」
AKIYAHEAD 「ギリギリで」

――今回の作品の前に『STILL IKB ep』(egggetta)のリリースもあって、BLYYがすごくインディペンデントな動きをしてくるようになったと思う。それが『THE SHIT 4』で一気に加速したようにも感じます。アイディアもヴィジョンもあって、それでスピード感が出ているように感じるんですかね。
Dzlu 「今年で結成して25年になるんだけど、今が一番早いからね」
alled 「SUMMITもインディペンデントだと思っていて。DIYの感じができているのか、できていないのかっていうのがめちゃくちゃ重要で、そこがストリートでは問われるんで。同級生として澤田さんのスタイルとかを見ていたから、ダサいかダサくないかくらいはそこで判断できる。そう考えたとき、SUMMITもそうだと思うし、自分たちもそういう感覚でやっていて、変わらずやり続けることはやり続けるんだけど、勘違いして人に頼っていた部分があるのかも。自分たちでやることでスピード感が出てくるっていうのもあたりまえのことなんだけど、自分たちではそんなに感じていなくて。俺の視点から見たらそれが標準で、それがやれていないんだったらグローバルにやれないと思う。音楽を。局地的に成り立つものって、本当に世界的な音楽になったら、DIYの感覚でやらないと確実に足をすくわれるから。何されるかわからないすよ(笑)。ちゃんとやれていないと。芸能人っぽいのはいっぱいいるけど、レーベルみたいなのは、アーティストの作品を自分たちでしっかり作ることができるはずなのにやっていないことのほうが多い気がする。俺らができているとは全然思っていないけど、そこを追求しないとおもしろくないと思うんですよね。ダサいとかダサくないとか関係なくて、まずそこが大事。そこがあるからかっこいいかな」

――DIYがあたりまえなのは、やりたいことがあっても作っている仕組みがない、じゃあ自分でやるかっていう。
alled 「そこが底力じゃないですか」
Dzlu 「ヒップホップがお金になる時代じゃないですか。みんなそこに最短ルートで行こうとしてる。甘い汁を吸えるところまで苦労せずに最短で。これは老害発言かもしれないけど、ああでもないこうでもない、の試行錯誤の過程が成長のドライバーになると思うんですよ」

――ああでもない、こうでもないと考える時間があって決めた強さがありますよね。
Dzlu 「そこで確実に感じたり考えたりするものがあるから。価値観の違いかもしれないけど」
SHINJI 「でも実際は、遠回りしているつもりもないじゃないですか。活動していく上でそうなったから」
Dzlu 「人から見たらどう見えるか」
SHINJI 「その可能性はあるかもしれないですけどね」
alled 「実際に自分みたいな感覚の人もいるし。ヨウヘイ君とかたまに来てくれて会うんですけど、こういう人間っているから。あの人たちに見張られていたら、ごまかしが効かないっていうか、騙せないから。ちゃんとやっていないと、あの人たちは絶対納得しないと思うから。良いのか悪いのかはわからないですよ」
Dzlu 「玄人の」
alled 「玄人もちょっと違うかな。もっとそう見えない人。ちゃんと理解している人がいるから、的確だし。今聴いている音楽とか本当に言い当てられるからね。そういうレベル。怖い存在ですよ。シビアなお客さん」

――常にできている状態をキープするのは難しいですよね。
Tooson 「そうです。できることのほうが少ないんですよ」

BLYY & Tooson 'THE SHIT 4'■ 2025年11月14日(金)発売
BLYY & Tooson
『THE SHIT 4』

egggetta
https://lnk.to/BT_TS4

[収録曲]
01. Blindspotting feat. COVAN (Dzlu, AKIYAHEAD, COVAN)
02. Pacific Ocean (AKIYAHEAD, alled, DMJ)
03. Beautiful Dedication feat. DyyPRIDE (Dzlu, DyyPRIDE, alled)
04. Blue Blood remix (Dzlu, alled,AKIYAHEAD, DMJ)
05. Homie remix (alled, DMJ)
M6. Bad Urbanization (Dzlu, alled, DMJ, AKIYAHEAD)

All tracks produced and mixed by Tooson
Mastered by Fugenn
Recorded by DMJ at 1on1 studio except M1. COVAN's bars
Artwork by Ullah

Tooson 'DETERIORATION'■ 2026年1月16日(金)発売
Tooson
『DETERIORATION』

FEC Production
Amazon Music | Apple Music / iTunes | dヒッツ | mora | mysound | OTOTOY | レコチョク | Spotify

[収録曲]
01. Wanderer
02. Awake
03. Confront
04. Recuperate
05. Scramble
06. Mad Skill
07. Hell Scroll
08. A Man's Life 2
09. War End
10. Turn Over