Column「アグネスの5次元パーラー」


文・撮影 | アグネスパーラー

| 第10回: スモモとモモとアンズのジュース

 ときどき駅前で山梨の野菜や果物を販売していることがあって、先日通りかかった時に傷が少しあるからと安くなっていた桃を買いました。そんなに気になる傷ではない気がしてこれで安くしないといけないなんて大変だなと思う一方で、安く買えてラッキーだなと思う自分もいる。傷がある、ということで気にして買わない人もいるだろうし、売れずに余ったらどうするのか。まだ残っていた“傷物”の桃たちのその後が気になります。そういえばよく行くスーパーでも傷んできた野菜や果物が安くなってワゴンに乗せられているけど、そこから選んで買うことはほぼないということに気が付きました。余った野菜たちはどうなってしまうのか、売り場の人が持って帰っているといいな、破棄されてしまう食べ物が減るといいな。そう願いながら冷蔵庫の野菜室の奥の方で気づかれないまま傷んでしまった野菜を捨てる私がいます。矛盾が起きている。

 桃を買う数日前に、久しぶりに動物園に行きました。子どもの頃はただただ動物に会えることが嬉しかっただけなのが、大人になって改めて行くと、動物たちそれぞれの背景にあるいろんな事情も見えてきて「かわいい」というだけでは済まされない、たくさんの“疑問”に揺れる一日になりました。

 ライオンや象が減ってきていること。日本から狼が絶滅した原因。オランウータンの子どもをペットにしたい人がいること。それぞれに起きている問題は違うけれど、原因はほぼ人間にあることが説明されていて心が苦しくなりました。人間がいることで動物たちが苦しめられている。

 ここでも矛盾が起きていて、“疑問”に思いながらもちゃっかり楽しんでいる自分もいるのです。いろんな背景を知って複雑な心境になりながら、でも目の前の動物たちはかわいいしカッコいいし、「やっぱり動物園は楽しいね」と話しながら帰って行く。ひとつ思ったことは、ここにみんながいることを忘れないように、動物たちに恥じないような生活がしたいなということ。動物たちにとっては私の生活なんて知ったこっちゃないって感じだと思うけど。同じ時間を生きていることを意識するって大事なことのような気がします。

 今回は傷がついた桃と、食べごろのすもも、旬が終わりかけの杏を使って「スモモとモモとアンズのジュース」を作りました。少し傷んでお値打ち価格の果物はシロップにしたりジャムにしたりして使い切っちゃいましょう。

[材料]
| スモモ
| モモ
| アンズ
| 砂糖 果物の1/4

[手順]
01 | スモモはよく洗い、真ん中にくるりと包丁を入れて半分に割り、種はそのままにしておく。モモは皮を剥いて実を適当な大きさに切る。アンズは真ん中にくるりと包丁を入れて半分に割り、種を取り出す。
02 | 01を鍋に入れる。砂糖を上からまぶして弱火にかけて焦げないように時々木べらで混ぜる。
03 | 砂糖が溶け切ったら中火にして煮立たせる。アクは取り除く。
04 | 煮たったら弱火にして20分ほど煮込む。時々果肉をつぶしながら混ぜる。
05 | グラスに氷とシロップを入れてソーダ水や紅茶などで割る。

※ アンズは決まった時期にしかないので、なくても大丈夫。もしくは、スモモを何種類か用意する。

アグネスパーラー agnesparlour

アグネスの5次元パーラー | illustration: あお木かな
illustration あお木かな
2010年よりオリジナルのシロップなどを使ってドリンクをメインにしたケータリングの活動を開始。ライヴ、展示、パーティ、蚤の市、商店街のお祭りなどに出店。執筆活動として鳥取のベーグル店「森の生活者」発行のジン『森と生活者』に寄稿中。

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