Column「実録・KLONNS欧州紀行」


文 | SHV (KLONNS)
写真 | KLONNS

Day 8

 チェコはプラハのホテルにて爽やかに起床し、朝食を食べにホテルのレストランへ。ヴァイキング形式で普通に美味しかったです。そして、相変わらず本国で起きたバン事故の対応で電話しっぱなしのRyan……。そりゃそうだ……。

Photo ©KLONNS
優雅なモーニング。
Photo ©KLONNS
ホテルのヴァイキングってなんかイイよね。
Photo ©KLONNS
ホテル・スタリー・ピヴォヴァル。わりと安いっぽいのでご旅行にもぜひ。

 気を取り直して、チェコ市街地へ繰り出すことに。ひとまず洗濯したいなということで、コインランドリーへ。完全に観光地価格な上に精算機の不具合で余計に金を取られましたが、まあいいでしょう……。コインランドリーはなるべく下町っぽいエリアで探したほうがいいと思います。

Photo ©KLONNS
市街地へゴー。
Photo ©KLONNS
プラハ市街地①
Photo ©KLONNS
プラハ市街地②
Photo ©KLONNS
プラハ市街地③

 プラハ中心部は完全に観光地として整備され切っていて、もはやディズニーシーにでも来ているかのような感覚。高級ブランドの店もずらっと並んでいて、建物がより美しい表参道といった雰囲気ですね(笑)。インバウンド需要に特化した街で、正直あまりローカル的なおもしろみはなかったですが、Ryanは家族に写真を送ったりと楽しそうだったので良かったです。

 一方で、少し郊外のほうに行くと、無機質で旧共産圏な雰囲気の建物や異様にグラフィティが描き殴られた公園などがあって、そっちのほうが印象的でした。あと、ヤン・シュヴァンクマイエルのギャラリー「Gambra」とか行ってみたかったのですが、まあ時間なかったですね……。

Photo ©KLONNS
共産主義感ある建物、かなり好きでした。
Photo ©KLONNS
モルダウ川を郊外のほうへ渡るとすさまじい量のグラフィティが。

 さて、本日の目的地は再びドイツに戻ってミュンヘン!プラハからは車で5時間弱ほどの距離でした。ミュンヘンは歴史的な建造物が多いらしいのですが、会場は郊外に位置していたので住宅街しか見られなかったのはやや残念。

 本日の会場は「Kafe Kult」という少数精鋭のスタッフたちで運営されているDIYヴェニュー。外観は山小屋のような感じなのですが、中は意外と広く、2ステージありました。このヴェニューもアントワープと同じく公園の中にありましたが、ヨーロッパでは公園にハコはつきものなのでしょうか?HOME FRONTやDRAHLA、WORLD PEACEなんかもプレイする、インディロックからパンク / ハードコアまで受け入れている気鋭のヴェニューで、本ツアーでは唯一会場側がプロモートもしている感じでした。

さすがの犬フライヤー。わかってますね。
Photo ©KLONNS
自然あふれるKafe Kultの外観。
Photo ©KLONNS
払える人は多めに払うシステム。うまく導入できれば素敵だと思いました。
Photo ©KLONNS
ワーピーも来るってよ。

 全体的に手作り感があるのですが、音響的にかなりやりやすく、スタッフの皆さんも親切な人ばかりで、なんというか温かみがすごい……。さらには宿泊施設も付いているタイプだったので、もう最高としか言いようがないです……。フローニンゲンの「VERA」に続いて毎年出たいヴェニューとなりました。ディナーで食べた主催者Reneさんのおばあちゃん直伝ヴィーガン・シチューのレシピも知りたい……。

Photo ©KLONNS
Kafe Kult内にあった謎のアート作品。
Photo ©KLONNS
胃に優しすぎるヴィーガン・シチュー。
Photo ©KLONNS
ヴィーガング・ミめちゃ酸っぱくてうまかった。
Photo ©KLONNS
最高なヴェニューなのでとりあえず記念写真。
Photo ©KLONNS
教会を見つけると、すかさずゴスるZie氏。

 今回の対バンは地元のアナーコパンクのTRAPISONDAというバンドだったのですが、全パートめちゃくちゃ独特で、一言では言い表せないここにしかないサウンドでものすごく印象的でした。プリミティヴかつロウすぎるあまり、もはやブラックメタルに聴こえる瞬間もあったような……。とにかく一聴の価値ありなので、ぜひチェックしてみてください!メンバー一同、久々に対バンで刺激受けたなーと大喜びでした。というのも、今回のツアーで学んだのは欧州における海外バンドのツアー・イベントで共演するのは基本1バンド、多くて2バンドということ。しかも“対バン”というより“サポート・アクト”っていうノリと言いますか、どこか控え目な印象の日が多く(もちろんバチバチな対バンの日もありましたが)、あまりローカル・シーンの深い部分が見えてこないな、と思う日のほうが多かったのが正直なところでした。自分らは常に日本で来日バンドと共演するときは、ゲストよりヤバいライヴをするつもりでやってきたので、やや肩透かしというか……。この話題は欧州ツアー経験のあるRyanともけっこう話しましたが、アメリカや日本と違ってこれがヨーロッパでは普通とのこと。そんな中で、ようやくミュンヘンの深い部分を見せてもらったな、という意味でもすごく昂まりました。TRAPISONDAは活動的にガシガシやってるようなバンドではないと思うんですけど、そういうのは関係ないんですよね。とにかく彼ら / 彼女らに出会えて良かったです!

Photo ©KLONNS
Kafe Kultのライヴ・スペース。
Photo ©KLONNS
感動を与えてくれたTRAPISONDAと。

 そんな感じでTRAPISONNDAに感銘を受けていると、気付けばライヴ・スペースから人が溢れるほど満員に……。本当にド平日とは思えない……。大盛況にて幕を閉じました。この日はハードコア・キッズっぽい若者もチラホラ来てくれたので、最前列は横移動モッシュ祭りでしたね。そういえばお客さんで、ゼロ年代に大阪のDEFUSEとスプリットを出していたPOLIKARPA Y SUS VICIOSASのメンバーのかたが夫婦で観に来てくれてビックリしました。コロンビアのバンドだと思うんですが、何年か前に結婚してドイツに移住したのだそうです。夫のかたもドイツのカッコいいバンドのメンバーだったらしいのですが、名前を完全に失念……。

Photo ©KLONNS
平日なのに人来すぎ。
Photo ©KLONNS
ステージ上から。満員御礼ありがとうございます。

 終演後にバイエルン州で製造されている「ヘレス」というスタイルのビールをいただいて、ちゃっかりミュンヘンを少しだけ堪能。翌日はフランス・サン=テティエンヌまで約9時間のロング・ドライブのため、おとなしく就寝!

Photo ©KLONNS
これが噂のヘレスビール。バイエルンまで来た甲斐がありました。
Photo ©KLONNS
ビールと己と向き合う岡本さん。

つづく……

Day 7 | Day 9

KLONNS presents VERSUSKLONNS presents
VERSUS

2024年7月6日(土)
東京 新大久保 EARTHDOM

開場 18:30 / 開演 19:00
前売 2,500円 / 当日 3,000円(税込 / 別途ドリンク代500円)
U25 2,000円(税込 / 別途ドリンク代500円 / ※ 要ID)
TIGET

[出演]
BELMADIGULA / KLONNS / moreru / TIVE

KLONNS 'Heaven'■ 2024年4月26日(金)発売
KLONNS
『Heaven』

LUNGS​-​270 | BHR039
https://ironlungrecords.bandcamp.com/album/heaven-lungs-270

[収録曲]
01. Plug-In prod. by Shine of Ugly Jewel
02. Heathen
03. Creep
04. Beherit feat. Arisa Katsu, Bl00dR4y, Golpe Mortal, Lil-D, O.Tatakau, SAGO & 1797071
05. Realm feat. セーラーかんな子
06. Another
07. Nemesis
08. Drown
09. Hill
10. Replica feat. O.Tatakau & 富烈
11. Heaven feat. Golpe Mortal
12. Un-Plug prod. by Shine of Ugly Jewel