完成に至った10thアルバムは、8thアルバム『Rave Tapes』(2014)あたりから徐々に印象を強め、原子力がテーマの英BBCドキュメンタリー・プログラム『Atomic: Living in Dread and Promise』で手掛けた劇伴を自らリワークしたアルバム『Atomic』(2016)、ジョナサン / ジョシュ・ベイカー監督のSFアクション映画『KIN / キン』のサウンドトラック、そして前作『Every Country’s Sun』(2017)を経てサウンドの要として洗練を見せてきたシンセティックなテクスチャと、過去に披露したBLACK SABBATHやSPACEMEN 3のカヴァーに象徴される70s以降から受け継いだギター・オリエンテッドでラウドな側面のミックスに一層磨きがかかった印象だ。そこでクローズアップされるであろうトピックは、15年以上に亘ってTrent Reznorとタッグを組み、NINE INCH NAILSの一員としてのみならず数々の傑作サウンドトラックを手がけてきたAtticus Rossのゲスト参加だろう。MOGWAIとはドキュメンタリー映画『地球が壊れる前に』(2016)のサウンドトラック以来の顔合わせとなったRossの参加はしかし、当初は「頼みたかったのはストリングのアレンジだった」のだという。
「でも結果的にそれ以上の貢献をしてくれた。彼による本当に素晴らしいストリングのアレンジメントと、彼が演奏してくれた追加のシンセとギターで、曲に命が吹き込まれたみたいだった。完成したサウンドを聴いたときは、本当に嬉しかったよ。Atticusとは前にも一緒にサウンドトラックの制作で作業したことがあって、繋がりがあった。それに、僕はNINE INCH NAILSの大ファンだし、AtticusがTrent Reznorと手がけたサウンドトラックのファンでもある。彼がこれまで手がけてきた音楽の素晴らしさを知っていたから、彼に頼むことにしたんだ」
もうひとり、これまでのMOGWAIにはなかった要素を『As The Love Continues』に持ち込んでいるゲストが、BADBADNOTGOOD、Anthony Braxton、Mats Gustafsson、Bon Iver、Tom Waitsらのコラボレーターとして知られ、故Jóhann Jóhannssonが手がけた傑作サウンドトラック『メッセージ』(2016)にも参加した名サックス・プレイヤー、Colin Stetsonだ。Stetsonもまた、優れた演奏家としてのみならず、コンポーザーとしてアリ・アスター監督『ヘレディタリー / 継承』(2018)、ショーン・ペン主演のTVシリーズ『ザ・ファースト』(2018)、久々のH.P.ラヴクラフト原作映画として話題となった『カラー・アウト・オブ・スペース -遭遇-』(2020)などの劇伴を立て続けに手がけている。
■ 2019年2月19日(金)発売 MOGWAI
『As The Love Continues』 国内盤CD ROCKACT140CDJ 2,400円 + 税
[収録曲] 01. To The Bin My Friend, Tonight We Vacate The Earth
02. Here We, Here We, Here We Go
03. Dry Fantasy
04. Ritchie Sacramento
05. Drive The Nail
06. Fuck Off Money
07. Ceiling Granny
08. Midnight Flit
09. Pat Stains
10. Supposedly, We Were Nightmares
11. It’s What I Want To Do, Mum + Bonus Track