『Diary』(2022)以来約2年ぶりのオリジナル・フル・アルバム『Eraser, Pencil』を2月5日にリリースしたPot-pourriが、同作のリリース・パーティを3月30日(日)に東京・新大久保 EARTHDOMにて開催。
同公演には、メンバー・Ryo Nagai a.k.a. 液晶 + Sawawoによる別名義・Pot-pourri [SNR]ではすでに共演を果たしている滝沢朋恵も出演。2月28日(金)よりTIGETでの前売チケット販売が開始されています。
また、併せて批評家 / ライター・伏見 瞬(LOCUST)が『Eraser, Pencil』に寄せた推薦文も公開されています。
Sawawo君と出会ったのは2011年ごろ。彼は高校生だった。最初はTwitterの相互フォロワーだった。
当時はSpotifyもApple Musicも日本にはなくて、音楽好きは音楽を聴くのに今よりお金をかけていた。その分、みんな熱量が高かった。我先に新しいCDやレコードを買う人や、今はもうないレンタルショップで山ほど借りている人が何人もいた。そういう人の中にSawawo君はいた。当時は、彼をTwitterのアカウント名で呼んでいた(というか今もプライベートではそちらの名前で呼んでいる)。
高校生であるにもかかわらず、Sawawo君はものすごく音楽に詳しかった。一体どこでそんなに知識を得て、どこでそんなに音楽を聴いてきたのか。実際に会った彼は物静かでシャイで戸惑いがちな少年だったけど、情熱ははち切れんばかりだった。加えて、彼は僕と近い趣味を共有していた。あらゆるアンダーグラウンドの音楽に興味を示しつつ、スピッツやL’Arc〜en〜Cielへの愛も示していた。
2014年から2016年にかけて、僕らは一緒にバンドをやっていた。いろいろなアイデアを試し、曲を作り、何度かライヴもした。今聞いてもカッコいいと思う曲も作ったけど、持続していくためのイメージがわかず、活動を止めてしまった。
その後、僕は書き手としての活動をはじめ、Sawawo君はPot-pourriを本格始動した。2017年4月に、大宮のはずれの小さなライヴハウスで、はじめてPot-pourriのライヴを観た。声に加工を加えたりしたりと、色々新しいことを試しているけど、まだうまくいっていないのかなと思った。
今のメンバーのPot-pourriのライヴを観たとき、率直に驚いた。演奏技術の高さと、音楽的アイデアの鋭さ。声とアコースティックギターをリアルタイムでエフェクトさせながら、ベースとドラムが複雑なリズムを確実に刻む。ヘッドホンで繊細な電子音楽(例えばBasic ChannelやFennesz)を聴くときの歓びを、ライヴハウスの空間に転送するような音楽だった。
Pot-pourriはライヴの繊細さとダイナミズムを、少しずつ音源に取りこめるようになったと思う。特に本作『Eraser, Pencil』には、音が目の前で変態していく感覚が、たしかに宿っている。さらに、本作には流れがある。「Paradis」の直角的な8ビートの爽快感は4曲目でなければ表れないし、「Y (Le Printemps encore Mix)」と「Over (and Over)」は連続しなければいけない。この曲順でなければならないという必然がある。
そして、Sawawo君の歌詞が変わった。実直かつエモーショナルになった。自らの恥ずかしさを、露悪的ではない方法で、あらわにするようになった。世界への戸惑いと情熱を、直接感じさせる音と言葉が、そこにはあった。
『Eraser, Pencil』を聴いていたら、思わず僕らの過去と現在のことを考えてしまった。それはきっと、このアルバムが「なんで過去と現在はこの世界に存在しているんだろう?」と首を傾げる、少年のような作品だからだ。話し相手のいない少年は、白い空に向けて問いを繰り返し繰り返す。消しゴムと鉛筆で、消しては書いて。書いては消して。
――伏見 瞬
■ Pot-pourri
3rd Album "Eraser, Pencil" Release Party
2025年3月30日(日)
東京 新大久保 EARTHDOM
開場 17:30 / 開演 18:00
前売 2,500円 / 当日 2,800円(税込 / 別途ドリンク代)
TIGET
[出演]
Pot-pourri / 滝沢朋恵
■ 2025年2月5日(水)発売
Pot-pourri
『Eraser, Pencil』
UNKNOWNMIX 55 | HEADZ 266 2,200円 + 税Apple Music | Spotify | YouTube Music
[収録曲]
01. Eraser, Pencil: Eraser
02. Dressed in Black (Maximum Mix)
03. X
04. Paradis
05. Mimei No Uta
06. Suidream
07. Setting Sun
08. Eraser, Pencil: Pencil
09. Y (Le Printemps encore Mix)
10. Over (and Over)
[特典CD-R対象店舗]
| ディスクユニオン
Dressed in Black (Instrumental)
Ryo Nagaiによるアルバム・ミックスのインストゥルメンタル
※ ディスクユニオンの店舗に関しては取り扱っていない店舗もありますので、ご注意下さい。
※ ディスクユニオンのオンラインショップでも特典が付きます。
https://diskunion.net/punk/ct/detail/1008987330
| タワーレコード
Over (and Over) (Instrumental)
Ryo Nagaiによるアルバム・ミックスのインストゥルメンタル
※ TOWER RECORDSの店舗に関しては取り扱っていない店舗・特典が付かない店舗もありますので、ご注意下さい。特典が付く店舗は近日中にお知らせします。
※ TOWER RECORDSのオンラインショップでも特典は付きます。
https://tower.jp/item/6767197
| more records
Over (and Over) (Instrumental)
Ryo Nagaiによるアルバム・ミックスのインストゥルメンタル
http://morerecords.jp/?pid=184599718
| RECORD SHOP FILE-UNDER
Mimei No Uta (Demo)
アルバム収録曲のデモ
| Record Shop Reconquista
Mimei No Uta (Demo)
アルバム収録曲のデモ
| いぬん堂
Setting Sun ([SNR] Live at Jimbocho Shicho Shitsu 2023.10.28)
アルバム収録曲のSawawo・Ryo Nagaiの2人編成によるライヴ音源
| ヨムキクノム
Setting Sun ([SNR] Live at Jimbocho Shicho Shitsu 2023.10.28)
アルバム収録曲のSawawo・Ryo Nagaiの2人編成によるライヴ音源
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