文・写真 | 相谷レイナ
18歳の頃、初めてチケット代をいただくライヴをしたのが約9年前。昨日のことのように感じる瞬間もあるけれど、よく考えてみるとまあまあ長い月日が流れていることになる。大学を卒業して、就職活動もしないままこうして音楽を続けているのが特殊だからなのか、未だヒットを生み出せていないのにある程度きちんと生活を送っているのが不思議だからなのか「相ちゃんはすごいなあ」なんて言葉をときどきいただく。良い自分と同じくらい(いや、それ以上の)ダメな自分を知っているから、“友達だからこそ”の照れ臭さと自己否定的なまなざしが複雑な感情を作り出していつも目を逸らしてしまう。最近のわたしはとにかく小さいミスが多くて恥ずかしい。誰に見られているわけでもないのに恥ずかしくなる。
例えば、ジムのロッカーの鍵をあけるときに3回連続で家の鍵を出してしまったり、削るタイプのちょっと良い塩を初めて買ってみたら、削りすぎて次の日筋肉痛になったり。ボーッとしているときは本当にボーッとしているので、小中高大で1回ずつ計4回男子トイレに間違えて入ってしまったことがあるのだが、つい先日人生第5回目をやらかしてしまったり。今回の「喫茶店のご飯」で取り上げるお店だって本当は田無のお店に行くはずが、すっかり抜けていて、普通に神保町に向かってしまったり。何とも言えないミスや自分でがっかりすることが多くて、その度に「相ちゃんはすごいなあ」という言葉が頭をよぎる。自分、何もすごくないやん、とつい言葉にしてしまう。
じきに緊急事態宣言が発令されそうだが(4/22にこの文章を書いています)、stay homeの時間が増えると決まって反省する時間が増えてしまう。嗚呼、また反省強化月間がスタートしてしまう(喫茶店にも行き難くなりそうだし)と梅雨が始まる前からやや憂鬱になっているのが今のわたしです。
が、しかし、but。わたしにも誇れることがあって「マジで可愛い友達が多い」ということ。女の子の言う所謂「カワイイ~(棒読み)」とかではなく、マッジで可愛いんです。今回は撮影仕事終わりのマッジで可愛い友達とマッジで美味しいグラタントーストを静かにいただいてきました(ここからが本題なのに冗長になってしまうところもがっかりです)。
カリッと焼き上げられたパンがとても美味しくて、香ばしい。ハム x チーズ x ホワイトソースの組み合わせが嫌いな人間なんて世界にいない、と決めつけてしまうほど子供から大人までみんなが大好きな味だった。さらに、メインの存在を脅かしてしまうほどに付け合わせのサラダがめっちゃめちゃ美味しい。イタリアン・レストランで出てきそうなほど上品で、酸味がきいている人参、豆、ポテト、レタス……ボウルで食べてしまいたいほどに旨味がたっぷりの付け合わせは最高だった。
わたしが関西にいた頃働いていた喫茶店「FLORIAN」(大阪・北堀江)とインテリアが似ていて、少しノスタルジックな気持ちに浸ったり。4人がけのテーブル席が多く、隣との間隔も広いので安心してコーヒーを飲めるお店でした。
居心地がよく、お腹も満たされて今にも眠りそうになっているわたし。そもそも神保町という街がパワプロ風に言うと“居心地 SS”で、渋谷に漂う若いエネルギーも、下北沢の音楽カルチャーの匂いも、新宿にひしめき合う仕事ができる人たちのオーラも、それはそれで全部素敵だけど、神保町の古本の匂いや喫茶店の木の温かさがすごく好き。
そんなこんなで帰り際もう一件「さぼうる」にも寄ってしまったわたしたち。マッジで可愛い友達はマッジでオシャレ可愛い赤色のメロンソーダを頼んで、わたしはおばあみたいに梅酒のお湯割りを頼んで。ダイエット中なのに糖質の高い梅酒を頼んでしまうあたりが本当にだらしない。自分、何もすごくないやん、がまたひとつ増えてしまった。反省強化月間は自分に厳しく、マッジで厳しく。今月はこのあたりでドロン。来月こそ田無の喫茶店へ、いざ!
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-12-1 富田ビルB1F
月 10:00-20:00 (LO 19:30)
火-金 10:00-21:00 (LO 20:30)
土祝 12:00-19:00 (LO 18:30)
※ 営業時間は変更となる場合があります。
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よしもとミュージック所属のシンガー・ソングライター、相谷レイナです。好きな寿司ネタはトロたくです。2020年に上京しまして、東京にフィッティング・インすべく試運転中です。お気に入りのお店をレビューしていきます(マンスリー寄稿)。