Review By 相谷レイナ | 知っているようで、知らない | 東京・青山一丁目「エルグレコ」 | AVE

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07/01/2024
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　知っているようで知らなかったり、わかっているようでわかっていなかったり。よくある話だ。

　青山一丁目、という街（というより私にとっては駅？）について私はまだまだ知らない。元祖港区女子の街かもしれないし、誰かにとっての働く街かもしれないし、神宮球場への混雑を避けるためにひとつ外して降りるための駅かもしれない。

　今回訪れた新青山ビルは私にとっての「知らない青山」だった。一時期働いていたこともある青山一丁目。そのときは明大前に住んでいて、京王線で渋谷へ行き、半蔵門線に乗り換えて通っていた。上京してあまり日が経っていなかったこともあり、一棟一棟のビルの大きさ、広い道路、ラン価格の高さに驚いていた。

　もっと早く知りたかった新青山ビル。そこにあるオアシス「エルグレコ」を本日は紹介しますん。

　青山一丁目駅の4番出口から直結、新青山ビルのB1に「エルグレコ」はある。ガラス張りになっている店内。平日の15時に訪れたが、ほぼ満席だ。マダムたちが円卓を囲んで他愛もない話をしているが、このかたたちは何年前からこのお店を愛しているのだろう、なんて想像力が掻き立てられる。

　歴史を感じられる木造の店内が温かく、時間はもちろん止まっている。

　時計やスマホを見ることをやめた私は、メニューを読み込んで「豚肉の生姜焼き御膳」とアイスレモンティーを頼む（ホワイトニング中なのでコーヒーは少しお休み中。早く飲みたい……）。

　手書きのメニュー表がかわいくてテンションが上がる。昔、ライヴ・スケジュールを毎月ポスカで画用紙に書いて、Twitterにアップしていた自分の過去を思い出した。私は絵を描くのが一番苦手で、つまりデザインなんかも苦手なのに、意地になって画用紙に毎月書き続けた。あの衝動は何だったのだろう、と今になって思う。

　注文からほどなくして、お待ちかねの生姜焼き御膳が到着！with アイスレモンティー！待ち時間は5分ほど？だった気がする。お腹が減っていたのでありがたいファストさだ。

　これまでこの連載であらゆる写真を撮ってきたが、生姜焼き越しのレモンティーは初めてではないだろうか。美しい日本の風景だ……。特製のタレが絡んだ生姜焼きが美味しくてご飯が進む。水菜ともやしのお野菜がたっぷりで、なんだかカロリーへの罪悪感も薄れる！昔ながらの喫茶店にはこういう定食（御膳）メニューが多い。喫茶店というと、ナポリタン、オムライス、トーストサンド……洋風なお食事が思い浮かぶが、本当に昔から営んでいる喫茶店ではおいしい定食が食べられる。

　おいしいご飯の後には美味しい飲み物。喫茶店には身近な“おいしい”が詰まっていて、生活の中のちょっとした贅沢な時間だ。私はこの時間が大好きで、時間の止まる喫茶店が大好き。向き合いすぎると疲れてしまうSNSやスマホを取り巻くいろんなこと、必要のない情報や見たくもない他人の感情に囚われてしまいそうなとき、喫茶店はじんわりと私を癒してくれる。まさにオアシスで、オアシスが街のあらゆるところにあるなんて、それはそれで幸せな生活なのかもしれないと感じた。

　青山一丁目にある「エルグレコ」。是非あなたも時間を止めてみてね。たっぷりと栄養もとってみてね。

　知っているようで知らない、というのは自分に対してもあてはまる言葉で、底知れない未知な自分とまだまだ出会える気がしている。きっと、これを読んでくれているあなたもそうで、まだまだおもしろい人生が待っているはずだよ。

　いよいよ7月で30歳になるわけですが、改めて「自分」について考えていました。好きなもの、とかを思い出すと改めて毎日が少し明るくなって、おもしろくなって、見えている景色が変わって……そんな感じで少しだけ良いマインドで日々を過ごしています。リリース、少し遅れているけど待っていてね。7月は2本のバンドセット・ライヴ、お待ちしております。

　では、今月はこのあたりでッ。どろんっ。

エルグレコ

〒107-0062 東京都港区南青山1-1-1 新青山ビル東館B1F

月-金 8:30-20:00 | 土 12:00-14:00
日祝定休

※ 営業時間は変更となる場合があります。

■ 脱・お留守番宣言 vol.56