Interview | RISAKO (Ms.Machine, SOM4LI | Onyxx)

打ち込んでいる瞬間が好き

――自己紹介をお願い致します。
　「RISAKOです。Ms.MachineとSOM4LIでベースを弾いています。あと、たまにOnyxxっていうショップをやっています」

――Onyxxって、ヴィンテージ・オンラインショップみたいな感じなのかな？
　「服だけじゃなくてテイストにあった身の回りを取り巻くいろんなもの売りたくて。謎のDVDとか、変な置物とか。だから曖昧な感じにしました」

――なるほど。さて、会社員と並行してバンドを2つ掛け持つスタイルを続けていますが、タフさがないとできないことだと思います。大変なこと、楽しいこと、どちらもあると思いますが、バランスをどうやって取っていますか？
　「この世にはたくさんの小さな世界があってそれぞれで悩みとかもあったりするけど、ひとつのところにいすぎると、染まりすぎちゃうところがある。ひとつの視点でしか見られなくなるな、って。だから、いろんな場所があって、逆にバランスが取れていると思う。自分が何者なのかわからなくなったりするから、いろんな世界を見ることで、自分とは何かというのを思い出したりするかな。迷ったときとか」

――バンドの人たちって、個性的な人が多いから、たまに外でバイトしたりすると、“普通”ってこんな感じか、って思ったり。自分の世間ズレみたいなのを感じたりする。
　「いやー、すごいわかるね」

――ね。RISAKOとはよく、ベーシストは寡黙でカッコいいという話になりますが、その美学を噛み砕いて言うとどういうことでしょう？
　「全然喋らないけど、音がめちゃくちゃかっこいいベーシストいるじゃん。語らなくてもプレイのスタイルで、“自分はこうだ”っていうのが透けてみえるというか。それがいいかな」

――たしかに。RISAKOもインタビュー受けるとき、なるべく言葉削るもんね。
　「かなり削る。Harry（Bossert | ANGURA）にインタビューしてもらったときやばかったよね（笑）」

――そうだね（笑）。何も喋らないの、一番やばいメンバー感が出ていいじゃん。
　「そんなことないんだよ」

――ふふ（笑）。でも、1人が喋ってたら、他のメンバー喋らないよね。
　「まあそうなるよね。Ms.Machineはすごくいい塩梅だと思います」

――大学時代にRISAKOが軽音サークル入るというので、私のベースを貸した頃、ギターをやるという選択肢はあった？
　「なかったかな。なんでかっていうと、ベースは4弦で簡単そうだったから。簡単そう、かつカッコいい。ベースしかない。みたいな。やってみたら簡単なこと全然なかったけど」

――わかる。私も昨日、ヒップホップのライヴの映像を観てからバンドの映像を観て、バンドって機材重いし、練習量必要だし、バンドを今の時代やってるのって、改めてすごいよな、って思いました。
　「鍛錬だよね」

――ね。
　「イメージだと、バンドって、さっとギター片手にっていう感じだけど、めちゃくちゃ重いよね」

――めちゃくちゃ重い。
　「木の塊だからね。すげーがんばるよね」

――めっちゃがんばる。わりとメンバーとスタジオ入らなきゃいけないし、みんなでやる作業多いし。真面目さがないとできないよね。
　「絶対できないよ。だからこそ続いているんじゃないかな。Ms.Machineはみんな根が真面目だよね」

――たしかに。次はちょっとくだけた質問。MAKOと私は、暑苦しい感じとかフザけた感じも好きですが、RISAKOはとことんクールさを追求していると感じます。選曲に関しても、いつもカッコいい洋楽を知っているな、と思うし。それに惹かれる理由や、フザけた感じが苦手な理由はありますか？
　「クールで緊張感のあるものに触れた瞬間の心打たれる感じがたまらないから。バンドとかも、初期は尖っていて、進化して落ち着いて、っていうのがあるけど、絶対的に私は尖っている時代が好きで」

――そういう美意識、RISAKOは、ずっとブレないのすごいよね。
　「でも、落ち着いて全然雰囲気変わっても好きな人って、逆にどういう感情なんだろ？私、それだったら聴く音楽はバンドじゃなくてもいいかも。あー落ち着いちゃった、ってなる」

――YEAH YEAH YEAHSとかTHE HORRORSとかも最初はパンク、ゴスっぽいテイストで尖っていたけど、だんだん変わっていったもんね。
　「そうだね」

――そう思うと、Ms.Machineはずっと初期みたいな感じだね。
　「そうなんだよね。そこがやっぱり好きなんだよね。例えばKAT-TUNがさ、」

――いきなりのKAT-TUNでびっくりした（笑）。
　「最初6人いたときのギリギリの感じがすごく良い。強すぎる光は消えるみたいな儚い感じに惹かれるんだと思う。あとは武士が好きで」

――え？いきなりの武士？
　「武士漫画とかさ。信義とか廉恥とか武士道の精神に惹かれる。かなり極端だけど」

――意外すぎだな（笑）。例えばどういうの好きなの？
　「『シグルイ』（原作 南條範夫・作画 山口貴由 | 秋田書店）っていう漫画があって」

――なにそれ～。
　「腸とか、内蔵とか出るから特におすすめはしないんだけど」

――やだ～～～！
　「超アツいんだよね」

――そうなんだ（笑）。戦う系って感じだね。『進撃の巨人』（諫山 創 | 講談社）とかも好きだったもんね。
　「めっっっちゃハマった」

――だって『NANA』（矢沢あい | 集英社）おすすめしてメルカリで買ってたのに、全然読んでなかったじゃん（笑）。
　「途中で、なんか萎えてくるんだよ。戦わないと」

――戦わないとだめなんだね。
　「打ち込んでる瞬間が好きなのかも。野球めっちゃ観てたし」

――ね！それも意外だった。柔らか系だと青葉市子さんとかはRISAKOも好きだよね。
　「好き！やわらかいけどすごく強い」

――ふざけてないもんね。やわらかふざけた系でRISAKO好きなのあったっけ？
　「そういう瞬間になるときもあるんだよね。スパミュージックとか好きなんだよね。スパの空気が好き。湿り気のある水っぽいアンビエント。スパもふざけてはないけど」

――癒し？
　「そう。無印行ったりね。でも、癒し空間にいすぎると、だんだん違うな、ってなる」

――めっちゃわかる。けっこう波があるよね。守りに入る時期と、戦わなきゃいけない時期が。ある。
　「ある。だから、どっちかしかない人とはあまり仲良くなれないかも」

――なるほど。
　「良いバランスの人がいやすいかも。MAKOとSAIはそうだね」

――うーーん、たしかにみんな波あるよね。
　「ずっと恐いやつ嫌だよね。ずっと柔らかいやつも嫌だけど」

――2022年の9月から　「Onyxx」というセレクトショップをスタートしたきっかけを教えてください。
　「メインでやってくれているもう1人もいて、お互いしっくりくる古着屋がなくて。テック系とか、めちゃくちゃゴスとか、ドY2Kとか、どれも好きなんだけど、やりすぎるとあんま好きじゃないっていう感じで。Ms.Machineもそうだけど、居場所がない。どこに行けばいいかわからないみたいな。自分らでちょうどいいテイストのショップを作ろうみたいな感じかな。ストレートじゃないちょっと変なアイテム。ガーリーだけどスタッズついてる、ゴスだけどスポーティみたいな絶妙なラインのアイテムが好き」

――なるほど。OnyxxってBaseとかそういうウェブショップでやってるの？
　「そうそう。もう1人がデザインとかできるから、そこは全部やってもらってる。私はサブでセレクトしている感じ。今、実店舗がないショップがかなり増えていて」

――へえーー!!
　「時代だけど、すごいよね。自分の店がすぐ持てるみたいな」

――ツアーから帰ってきたら教えてもらおうかな。私もなんか売ろうかな。
　「ぜひぜひ、いいと思う。周りの友達にも増えてきた」

――みんな何か売ってるね！
　「全お店屋さん時代。でも、みんな才能をもっと外に出したほうがいいよ。もったいない」

――北欧ツアーのクラファンのリターンで、北欧からおみやげをセレクトっていうコースを作ったんだけど、ノルウェーから日本への送料がバカ高くて。一番安くて5,000円っていう感じで。
　「帰国してから送ると思ってたけど、その場から送るんだね。だから高いんだね。そういうことか」

――そうそう。帰国してから送ってもいいんだけど、荷物すごくなるかな、っていうのがあって。格安航空で行くから、荷物が超過するとそれでまたお金かかるっていう。
　「なるほどね。どんな感じなの北欧の人って？服とか何着てるの？」

――国によると思うけど、服はけっこうみんな、シンプルな感じだと思う。北欧で買い付けたアクセサリーとか古着屋って見たことないから、自分がやってみたいっていうのもあります。
　「気になります。北欧家具とかは流行っているけど、もっと生活に近い部分はあまり触れたことがないから」

――さて、インタビューも終盤になってきました。今、ハマってる音楽を教えてください。
　「アニメの『NANA』って観てた？」

――観てない！Tommy february⁶が『Paradise Kiss』主題歌やってたのは知ってる。
　「アニメ版『NANA』でレイラ役の歌唱パートを担当しているOLIVIAっていう人が良くて。KATEのCMとか出てる。ベースは重い音だけど、変な音入ってたり、でも天使っぽい。それを聴いてますね。あと鍾乳洞の音聴いてる。水の音とかよりも空間と湿り気を感じられていい。好きな音楽、激しいか静かか極端かも。同じ曲100回くらい聴いちゃうんだよね、飽きるまで」

――めっちゃわかる。私もずっと同じ曲聴いちゃう。いっぱい曲聴ける人すごいと思う。
　「いやー、私はできない。ずっとその曲聴きたくなっちゃう。他の曲聴いてる余裕ない」

――いっぱい新しい曲聴くと疲れちゃうんだよね。
　「わかる。今ハマってるのはそれだけだね」

――aespaハマってよ。Mステも出たよ。
　「絶対ハマるから嫌だもん」

――ふふ（笑）。では、今後の活動予定を教えてください。
　「なんだろね」

――SOM4LIが新しいMV撮ってたじゃないですか！
　「あれを出したいね」

――いいじゃん、どんどん出してこ！
　「そうだね、みんな忙しいけど、それぞれやりたいね、いろいろ」

――そういえばSHVくんとRIOは別日の撮影だったの？
　「別日だね。全員合う日がなくて。そんな感じだけどさ」

――それでもやってくのってすごいと思う。
　「全てにおいてそうだね。だから活動予定はあるけどないね。いい感じに。健康第一っていう感じだね」

――健康大事だね。
　「健康に、全体的に楽しく」

――楽しいのも大事だね。あんまり根気詰めすぎると燃え尽きた後からの復活が大変だから。
　「SAIちゃんとか、北欧から帰ってくるのか心配」

――ええ（笑）。さすがに帰ってくるよ！
　「全然違う人間になってるかも。そういう不安もありつつ」

――どんな不安だよ（笑）。インスタライヴ、渡欧中にMs.Machineで、やれたらいいよね。現地中継。
　「いいね、やろう！」