時には偶然から宝石が生まれることもある
今回、ジャパン・ツアーに伴ってSQUELETTEにインタビューを行った。結成の背景から、地元のOi!パンク・シーンのこと、そして今秋にリリースされるニュー・マキシLP『Soir d'Orage』(Primator Crew)のことなど、10の質問にまとめて聴いてみた。
取材・文・翻訳 | ROAR DOWN THE ROAD RECORDS (178 + 東海林貴幸) | 2026年8月
Main Photo ©Amélie Jouchoux
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――自己紹介をお願いします。名前と担当している楽器、他にやっているバンドがあったら教えてください。
Chris 「Chrisだよ。SQUELETTEでヴォーカルを担当しているよ!」
Eva 「わたしはエヴァ。SQUELETTEではベースを担当していて、ALVILDAっていうパワーポップ・バンドでも活動してるよ」
Tonio 「Tonioだよ。SQUELETTEではドラム、TTAKE IT IN BLOODっていうハードコア・バンドではヴォーカルだよ」
Thomas 「僕はThomasだよ。ギターとバック・ヴォーカル。SQUELETTE以外にこれまでやってきたバンドで今も活動しているのはRIXEだけだけど、RIXEも最近はあまり活動していないんだよね。25年間ギタリストだけど、ドラマーとしてもVICIOUS RUMOURS(1980年代のUKパンク / Oi!)、THE SULTANS(アイルランド・ダブリンのメロディックOiで、ハンガリー人のメンバー2人と一緒にやっていた)、HARDxTIMES(パリのOi!コア)、DEATHxSQUAD(ブルターニュのハードコア・パンク)でも活動してきたよ」
――SQUELETTEはどのようにして結成されたのでしょうか?また自分たちがどんな音楽をやっているのかをみんなに説明してもらってもいいですか?
Thomas 「2016年2月に結成したんだ。その頃、僕たちはすでにEvaやChris、そして2019年初めに脱退した初代ドラマーのDaick(D'herouville | xDIGx, LION'S LAW etc.)とよくハングアウトしていて。今のドラムのTonioとはバンド結成前後に出会ったんだよ。僕は2007年から2010年頃に故郷(ブルターニュ地方)のレンヌ近くでWESTPORT FIRMっていうOi!バンドをやっていたんだ。このバンドの曲はスタジオでの録音はひとつもないけど、当時書いた曲の中には本当に気に入っているものがあって、自宅で録音しておいたけど使っていなかったリフやデモもたくさんあった。2014年7月にパリに引っ越したとき、そのアイディアを使って新しいプロジェクトを始めたいと思ったんだよね。でも、その数週間後にRIXEに加入したから、そのプロジェクトはまた保留になってしまった。そして1年半後、ついにこのプロジェクトが現実のものになったんだよ。これが結成の経緯。長年に亘って自分に付き合ってくれたEva、Chris、Daick、そこに加わってくれたTonioに心から感謝!! WESTPORT FIRMの1曲はSQUELETTEのほぼ全部のレコードで再利用していて、“Putain de Cadence”(『Démo 2017』収録)に至っては歌詞が違うこと以外はすべて同じで文字通りのカヴァー曲になっているよ。僕らが演奏するOi!は、主に80~90年代のフランス、イギリス、イタリアなどの同ジャンルのバンドから影響を受けているけど、他の多くの音楽からも影響を受けている。僕は本当にいろんなジャンルの音楽を聴いているんだ。音源を聴いてみれば、その一部は察しがつくと思う。音楽のポストパンク的な側面については、別の質問で改めて触れることにするよ」
――Oi!パンクに興味を持ったきっかけは?メンバーそれぞれどんなバンドから影響を受けているのでしょうか。
Eva 「わたしはフランス人じゃなくてスペイン人で、スペインで育ったんだ。13歳の時に初めてのパンク・バンドを組んで、ESKORBUTOやCICATRIZといったバンドから影響を受けた。それからモッズ文化に夢中になって、人生で一番好きなバンドであるTHE JAMに出会ったよ。今でも一番よく聴いているのは77年パンクとパワーポップだけど、THE BUSINESS、THE REAL KIDS、EDDIE AND THE HOT RODS、THE SWEATみたいなバンドはもちろん、LA SOURIS DÉGLINGUÉE、BLESSED VIRGINS、BIJOUとか、フランスのバンドからも影響を受けたよ」
Chris 「僕はフランスとポルトガルの家系で、労働者階級の家庭で育ったから、自然と自分の社会階層の音楽に惹かれていったんだ。10代の頃、最初に影響を受けたのはTHE WHO、Renaud、BÉRURIER NOIR(1stアルバム)とかで、その後THE LAST RESORT、NO CLASS、LSD、L' INFANTERIE SAUVAGEなどの多くのバンドから影響を受けたよ」
Tonio 「父がパンクスで、タトゥ・アーティストでもあったから、僕はパンクやスキンヘッド、バイカーなど、社会から疎外された人たちに囲まれて育ったんだよ。9歳か10歳くらいの頃からロック全般を楽しみ始めて、12歳頃にはTHE EXPLOITED、THE 4 SKINS、THE BUSINESS、そしてNYHCのバンドに出会ったんだよね」
Thomas 「11歳か12歳の頃、いとこの元彼のおかげでパンクにハマったんだ。彼がテープやCD、レコード・プレイヤーやレコード、そしてエレキ・ギターやアンプ、エフェクターまで貸してくれたんだ!! だから、10代になる直前にすっかり夢中になっちゃったよ。故郷(ブルターニュ地方のフジェール)にはリハーサル・スタジオもあって、僕が高校生だった頃にはそこで常に12組くらいのハードコア・パンク・バンドが活動していた。僕は彼らのセッションにかなり頻繁に参加していたんだ。それから地元のライヴや練習場所にスキンヘッドたちがやってくるのを見て興味を持ち始めて、車で30分ほどの距離にある大きな都市・レンヌで、とあるグループと出会った。そして18歳のときにレンヌへ引っ越すことになったんだ。僕に音楽的な影響を与えたバンドとしては、TAXI DRIVER、THE TEMPLARS、PETER AND THE TEST TUBE BABIES、RED ALERTとかの他に、NEW ORDERやCLAN OF XYMOXとかも挙げられるね」
――君たちの歌詞の中にも出てくる「BSC」について教えてください。君たちの周りのバンドを追うとよく見かけます。「BSC」とはどんな集まりで、いつ頃から形成されてきたのでしょう?君たち以外にどんなバンドがいるのでしょうか。
Thomas 「BSCは“Bastille Skinhead Crew”の略で、20人くらいの友人たちで集まったグループなんだ。バスティーユからそう遠くないパリの別のエリアにあるパルマンティエのクルーの流れを汲んでいて、首都でコンサートとかDJセットとかのイベントを企画するための組織も兼ねて始まった。2011年から2012年頃だったと思う。僕は2014年にそこに引っ越してきたときに、この集団に加わったんだ」
Tonio 「BSCに所属するバンドは、LION'S LAW、RIXE、SQUELETTE、BROMURE、ALVILDA、TAKE IT IN BLOOD、そしてRÉSILIENCEかな」
――SQUELETTEの音からも感じるけど、フレンチOi!は全体的に、愁いを含んだ独特なメロディやフレーズを感じます。最近ではその特徴がより先鋭化して“コールドOi!”なんていう言葉も生れています。このような独特なサウンドはどこから生まれたと考えていますか?
Thomas 「正直言って、そのレッテルは好きじゃないんだよね(笑)。80年代のフランスのバンドはどれも独自のサウンドを持っていたと思う。当時は新しいものだったから、より新鮮で、よりクリエイティヴだった。それに、スタジオのエンジニアたちは彼らが何をやっているのかさっぱりわかっていなかったから、時には偶然から宝石が生まれることもあったんだ。わかるだろ?“コールドOi!”っていう用語は、ポストパンクの影響を受けたハードコア・パンク・バンド(SYNDROME 81を筆頭に、TRAITREなど)と、よりダークなサウンドを持つ本格的なOi!バンドの両方に使われてきた。SQUELETTEが結成される数年前、僕は自分の“やることリスト”とか“ウィッシュリスト”に“ポストパンク / Oi!バンドを始める”って書いていたんだ。当時、僕はすでにコールドウェイヴ、ミニマルシンセやポストパンク、ネオフォークなどをたくさん聴いていた。トリッピーな音楽だってね! でも肝心なのは、そういう音色をオリジナルのOi!サウンドと真に融合させることだった。もし君たちがアメリカやフランスから遠く離れた国の出身だったり、Oi!のシーンにあまり馴染みがなかったりするなら、コールドOi!みたいな造語が便利に感じられるのも理解できるけどね」
――SQUELETTEの歌詞は主に誰が書いているのでしょうか?君たちの歌詞からは、変化していく状況の中で前に進んでいこうっていう自分を貫くメッセージだったり、人の生活や内面の変化を描写した繊細な面、社会への批判や自然環境についてのメッセージなどが見て取れるけれども、歌詞を作る上でのテーマはどのように決めているのでしょうか。
Thomas 「僕たちが取り上げた様々なテーマについて、とても的確に捉えてくれているよ。歌詞の多くは僕が書いているけど、他のメンバーもいくつか書いているよ。あと、WESTPORT FIRMのヴォーカルだったFrançoisにも歌詞を書いてもらった。特定のテーマがあるわけではなく、あくまで書いたときの気分、“ゾーンに入っている”ときの感覚次第かな」
――新譜『Soir d'Orage』MLPについて聞きたいです。BROMUREとのスプリット・リリース(『Aux Bons Amis』2020, Pressure)あたりから感じられたポストパンクのニュアンスが、今回のMLPではさらに強まっているように思います。それがOi!パンクから乖離せず、しっかりOi!パンクとして成立しているのがとても魅力的です。特にイントロやアウトロのダーク・アンビエントな音にこだわりや全体的なテーマを感じるけど、どういった経緯でこの音に繋がったのでしょうか?
Thomas 「このことについてはこれまでの質問でもかなり話してきたけど、たしかに時間が経つにつれてその方向性をさらに追求しようとしているのは事実だよ。インストゥルメンタル曲は、そのすべてを表現するための手段かな!もうひとつの理由は、現時点で100%ポストパンクのプロジェクトを始める時間やモチベーションが自分には全くないということ。だから、僕のアイディアはすべてSQUELETTEに注ぎ込まれているんだ」
――Thomasへの個人的な質問になってしまうのですが、YouTubeチャンネル「Digitized Scars」を始めたきっかけを教えてください。オブスキュアなフレンチOi!音源の発掘や「Skinhead Morning Radio Show」のアーカイヴなど、音楽を楽しむことにだけ特化せず、とても資料的価値の高いチャンネルですよね。初期eastern youthのライヴ動画は日本でも有名です。
Thomas 「12歳くらいの頃、NIRVANAのライヴ音源とか、行方不明になっていたスタジオ・セッション音源とかを交換するテープトレードを始めたんだ!それが自然とパンクやOi!へと広がって、18歳になる頃にはパンクやスキンヘッド系のバンドのテープを交換するようになっていた。20年が経って、かなりのアーカイヴを収集することができたよ。その中にはレコードとしてリリースする価値のあるものもあるんだ。僕のレーベルBanlieue Griseをチェックしてみて!それ以外は、YouTubeで喜んで共有している。目標は、僕が夢中になったサブカルチャーを保存して、世界中に広めつつ、地元でも興味を持ってくれる人……年配のかたから若い人まで……に届けること。あと、テレビの報道番組やその他の映像素材もデジタル化しているよ。現在は主にフランスのものに焦点を絞っているけど、海外のバンドもたくさん掘り起こしているから、僕のチャンネルでeastern youthの過去のパフォーマンスを観ることができるんだ!! スカやレゲエ、ハードコアも少しあるし、ブラックメタルもいくつか準備中だよ」
――日本に知っているバンドいたら教えてほしいです。それと、それぞれ日本で楽しみにしていることがあったら教えてくれませんか?
Eva 「80年代の日本のパワーポップ・バンドTHE BADGEや、THE MAMMYS(EP『London Boy In Blue』は最高!)に夢中だったんだ。現地に行って新しい友達を作ったり、レコードを掘り出したりするのが待ちきれない。ツアー終了後は、東京のぷあかう(下北沢)でDJセットをする予定だよ!あとは山に行ったり、伝統的な旅館に1泊したりするために、少し長めに滞在する予定」
Tonio 「SxOxB、GAUZE、JUDGEMENT、BEYOND DESCRIPTIONみたいなクラシックなバンドも大好きだけど、今はデスメタルやハードコアのシーンにすごくハマってるんだ。DYINGRACE、SECOND TO NONE、BLUNT FORCE TRAUMA、DEAD-REFORCE、DISCONFORMITY、NUMB、SAND、43 URBANとか……あれは1000%俺の好みだ。GREENMACHiNE、CHURCH OF MISERY、COFFINSも大好きだよ。日本では何でもやる気満々だから、行けるのが本当に嬉しい」
Thomas 「YELLOW MAGIC ORCHESTRAが本当に好きだ。日本の“Oi!シーン”をすべて掘り下げたんだけど、特にeastern youthにはすっかりハマった。彼らのサウンドの進化がすごく興味深かった。10代の頃はenvyも聴いていたし、GAUZE、THE COMES、BASTARD、EFFIGY、MOBS、KRIEGSHÖG、FRAMTID、DISCLOSE、G.I.S.M.、SKIZOPHRENIAとかも好きだ……。もちろんシティポップも好きだよ。友人のJulien Outsidersが、日本のスカ / レゲエに関する本(『Ska & Reggae In Japan』2026)を出版したけど、僕自身はそのシーンについてはほとんど知らないんだよね。日本を訪れるのは今回で2回目(1回目は2019年にRIXEで。タカシ、元気してる?)。前回と同じ場所だけじゃなくて新しい場所にも行けると思うし、本当に楽しみ!もっと歴史的な建物を巡ったり、ゲームセンターに行ったり、できるだけたくさん食べたりしたいな!!! 新しいバンドを発見したいし、DRYACIDとの共演も楽しみにしているよ!」
――日本のみんなにメッセージをお願いします。
Eva 「日本で演奏できるなんて、本当にラッキー。まだ信じられない!日本に行くのは今回が初めてなんだ。日本語を勉強し始めて4ヶ月になるけど、すごく難しい(笑)。ぜひ会いに来て、冷えたビールを一緒に楽しもう!」
Tonio 「みんなに会えるのが待ちきれないし、おいしい料理も食べるのが楽しみだ」
Thomas 「2度目の来日になるけど、前回出会った友達に再会できるのも、新しい友達ができるのも本当に楽しみ!! ハングアウトしよう!絶対に全力を尽くすよ」
Chris 「僕も右に同じ!」
■ SQUELETTE Japan Tour 2026
| 2026年10月10日(土)
福岡 天神 public space 四次元
開場 18:30 / 開演 19:00
3,000円(税込 / 別途ドリンク代)
[Live]
DRYACID / THE HELLVETTES / SECRET TEMPLE / SQUELETTE / STRANGE OBSESSIONS
[DJ]
Takeshi (Frontline Productions)
| 2026年10月11日(日)
"SHIT BLIZZARD presents"
岡山 奉還町 DogVuilt
開場 17:00 / 開演 18:00
3,000円(税込 / 別途ドリンク代)
[Live]
BELCH / DRYACID / NEED FOR SPEED / SHIT BLIZZARD / SQUELETTE / TILL EWING
[DJ]
Ayaka / Takao
| 2026年10月12日(月)
大阪 北加賀屋 CORNER PRINTING SELF 北加賀屋店
開場 14:00 / 開演 14:30
2,500円(税込 / 別途ドリンク代)
[Live]
DRYACID / impending civil extinction / MOONSCAPE / SQUELETTE
[Flyer]
Keigo Kurematsu
| 2026年10月13日(火)
京都 神宮丸太町 Pop! Pizza
開場 18:30 / 開演 19:15
2,500円(税込 / 別途ドリンク代)
U25 1,000円(税込 / 別途ドリンク代)
[Live]
BLACK HOURS / Jocko / PUKE ADULTS / SQUELETTE
| 2026年10月14日(水)
愛知 名古屋 REFLECT STUDIO 今池店 5F Cスタジオ
開場 19:00 / 開演 19:30
2,000円(税込 / 別途ドリンク代)
[Live]
KESKOSET / THE LAST PINT / NO SUBSTITUTE / SQUELETTE
| 2026年10月15日(木)
東京 小岩 BUSHBASH
開場 19:00 / 開演 19:30
3,000円(税込 / 別途ドリンク代)
[Live]
THE DRUNKERS / DJ HOLIDAY / J.COLUMBUS + BLAH-MUZIK / SQUELETTE
[Food]
RDR Foods
[Poster]
KTYL
| 2026年10月16日(金)
"¡¡No Estamos Solos!!"
宮城 仙台 MusicSpace BARTAKE
開場 19:30 / 開演 19:50
前売 2,000円 / 当日 2,500円(税込 / 別途ドリンク代)
[Live]
DESPERDICIO / 円盤BOYS / GxAxMxE / SQUELETTE
[DJ]
Ishida / Kyuhei
[Food (After Party)]
槻木BISTRO
| 2026年10月17日(土)
東京 新大久保 EARTHDOM
開場 17:00 / 開演 17:30
前売 3,400円 / 当日 3,900円(税込 / 別途ドリンク代)
U23 2,400円(税込 / 別途ドリンク代 / 要ID)
[Live]
BLACK AND WHITE / THE BREATH / DRYACID / GAME & CHIPS / KVÄLLS LOVTAL / SOLVENT COBALT / SQUELETTE / THE WEST AGROS>
[Poster]
楊牡丹n>
■ ROAR DOWN THE ROAD RECORDS
| SQUELETTE
『死して屍拾う者なし Soir d'Orage』
12" MLP | 国内流通限定帯付き
https://roardowntheroad.stores.jp/items/6ac0011118098e62dbc874cc
| SQUELETTE
『Roar down the road presents French Oi! Rough Cut』
CD
https://roardowntheroad.stores.jp/items/6a9ac0cafad3bfa3fd13d440





