文・撮影 | Takashi Makabe / Zodiak
こんにちは、グラフィック・デザイナーの真壁(Zodiak)です。どうぞよろしくお願いします。今年に入ってからも仕事ばかりの毎日ですが、光栄なことに大好きなアーティストのデザインを担当する機会を多くいただいております。最も敬愛するアーティスト / バンドであり、私がドイツ音楽に心酔するきっかけになったDIE TÖDLICHE DORIS(ディー・テードリッヒェ・ドーリス)のSuezan Studio(スエザン・スタジオ / 小柳カヲル氏が運営)再発シリーズのデザイン諸々をお手伝いしており、今回はこちらを選びました。
DIE TÖDLICHE DORISの魅力は多くありますが、好きになったきっかけで特にショックと印象が大きかったのはビデオ映像『Die tödliche Doris – Natur-Katastrophen-Konzert(自然災害コンサート)』でした。録音マイクを燃やしながら鍵盤に画鋲のついたアコーディオンを血だらけで演奏する奇妙でスリリングなパフォーマンスに惚れ込み、当時「こんなにもかっこいいものをつくるアーティストと同じ街に住んでみたい!」という理由だけでベルリンに住んでた過去もありました。ベルリンのクロイツベルク地区に住んでいた時は、メンバーのWolfgang Müllerと隣の家(!)というミラクルもあって勝手に縁を感じており、今回の参加できたのは光栄すぎる出来事でした。個人的に最も聴き込んだ、Blixa Bargeld(EINSTÜRZENDE NEUBAUTEN)のプロデュースによる『” “』(邦題『ファースト・アルバム』)の荒削りで奇妙な脱臼サウンドは、再発盤で特に聴いていただきたいノイエ・ドイチェ・ヴェレ(ジャーマン・ニューウェイヴ)史に残る名作です。
また、DIE TÖDLICHE DORISの再発をリリースしたSuezan Studioの最新リリースであるMAU MAU(マウ・マウ)の2LPもノイエ・ドイチェ・ヴェレの名作です。1983年制作で未発のままだった幻の2ndアルバム『Auf Wiedersehen』(30年後にCD化)もアナログの2枚目として封入されています。2019年にアナログで『Auf Wiedersehen』が聴ける喜び。未発表の貴重なバンド・メンバーの写真(激渋!)も内側にレイアウトされ、ファンとしてもデザインをする立場としても非常に喜ばしい出来事となりました。
Takashi Makabe 真壁昂士 | Zodiak
https://takashimakabe.com/
グラフィック・デザイナー / DJ。
美術展示 / 映画チラシ、音楽作品のカヴァーから書籍まで多岐に亘ってデザインを手がける。アラブ首長国連邦「Bedouin Records」アート・ディレクション、東京 / 大阪のクラブ「Circus」グラフィック・デザイン、Ryo Murakami主宰「Depth Of Decay」、小柳カヲル主宰「Suezan Studio」諸作に携わる。音楽作品ではZomby、Merzbow、SHE LUV ITほか、書籍では『ゲーム音楽ディスクガイド──Diggin’ In The Discs』、『フューチャー・デイズ──クラウトロックとモダン・ドイツの構築』、『クラウトロック大全』などのデザインを担当。
インダストリアル / ベース・ミュージックを主軸に用いながらも不定形なスタイルが異色のDJとして、2018年にドイツ・ベルリン「Berghain」で開催された「Bedouin Records Label Showcase」に出演。
2019年6月29日(土)
大阪 北浜 Compufunk Records
20:00-深夜
当日 1,000円(税込 / ドリンク代込)