昨年9月に加納俊輔、迫 鉄平とのグループ展「ライツカメラアクション」を愛知・名古屋 Lights Galleryにて開催し、今年は2月発表の星野 源『MUSIC VIDEO TOUR 2 2017-2022』のアートワークを加納、迫と組むTHE COPY TRAVELERSの一員として手がけた上田 良(うえだ やや)が、ソロ・エキシビション「METAL GLUE / スロウ・ドローイング苑」を東京・神宮前 ニュースペース パにて4月21日(金)から30日(日)まで開催。
同展では、自作の造形物を撮影した写真作品のシリーズ「METAL GLUE」と、ドローイング作品「スロウ・ドローイング苑」シリーズの新作を展示販売。4月29日(土)18:00からは、「メタル・グルーこぼれ話」と題したアーティスト・トークの開催も予定されています(要1ドリンク・オーダー + 投げ銭、予約不要)。
| METAL GLUE / スロウ・ドローイング苑によせて
今回の個展では、近年制作の中心となっている自作の造形物を撮影した写真とドローイング、二つのシリーズの新作を発表します。
「METAL GLUE」
2014年から取り組んでいる写真作品は、自作の造形物をカメラの前に設置し、その一時的な状況を撮影するというものです。造形物の存在を平面に留めることにより、ボリュームや重力、空間との関係から切り離すことで、物体の形状や色彩に焦点を当てることを試みてきました。
今回の作品では、“METAL GLUE”という言葉から得たインスピレーションがとても強く影響しています。1970年代に活躍したイギリスのグラムロックバンド、T-REXの代表曲に「METAL GURU」という曲があるのですが、私は最近まで「METAL GURU」の「GURU=導師」を「GLUE=接着剤」だと思い違いをしていました。自作の崩れやすく脆い造形物の形を永遠に留めるためにカメラを用いてきた私にとって、カメラは金属(=METAL)でできた最強の接着剤(=GLUE)であり、まさに“METAL GLUE”は私の作品の根幹を指し示していたのです。シャッターを切る一瞬の間だけモチーフ同士がくっつき、関係しあうこと、造形物とカメラがせめぎ合いながらも互いの特性を生かした共犯関係を築き、作品として立ち上がってくるところに興味を持っています。
「スロウ・ドローイング苑」
近年、スケッチブックの中にドローイングをすることを日課としています。紙の束が綴じられたスケッチブックでのドローイングは、いわば蓄積型ドローイングで、前のページに描かれたドローイングの上に線や色をのせながら少しずつ継ぎ足すように描くことができます。このスケッチブックでの実践を応用させることで、スケッチブック以外の紙に描く場合でも、行ったり来たりしながら描き進める、蓄積型ドローイングへと展開させることができました。
複数のドローイングを行ったり来たりしながら時間をかけて着地点を探ることは、あらかじめ綴じられたスケッチブックに描いていく中で得た感覚だと言えます。このように“スロウ”に進みながらもイメージがぽつぽつと集ってくるようなドローイングの在り方を“スロウ・ドローイング苑”と名付けることにしました。
今回の作品は、一枚の紙の上に存在する時間の経過を可視化しようと試みた“スロウ・ドローイング苑”シリーズの新作です。時間をかけてイメージが蓄積されていく様子や、複数のルートを探りながらも一枚の絵として留まっている状態について考えています。
METAL GLUE / スロウ・ドローイング苑という“両A面”の作品から、最近の制作モードを感じ取ってもらいたいと思います。
――上田 良
■ 上田 良
METAL GLUE / スロウ・ドローイング苑
2023年4月21日(金)-30日(日)
東京 神宮前 ニュースペース パ
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-20-9 ホワイトビル1F
13:00-20:00 | 会期中無休
[アーティスト・トーク]
メタル・グルーこぼれ話
2023年4月29日(土)
18:00-
※ 要1ドリンク・オーダー + 投げ銭
※ 予約不要。定員を超える場合、入場をお断りするまたはお待ちいただく可能性があります。予めご了承ください。
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